シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

ニャロ目

昭和十年、東京にて。  中島貞夫『まむしの兄弟 懲役十三回』(1972年)

『まむしの兄弟』シリーズの3作目。監督は中島貞夫。なぜか舞台を昭和十年に移し製作された作品です! 主な登場人物 政(菅原文太)・・・まむしの兄弟。 勝(川地民夫)・・・まむしの兄弟、弟分。 弥之助(天知茂)・・・浅草菊村一家の代貸(だいがし)。…

ヤクザ映画おすすめブックガイド!

今回はヤクザ・任侠映画を観る前・観た後に読むと大変オモチロイ本を紹介してしまいます! ヤクザ映画なんて観たことないよー! という人でも楽しめるような本、実際に自分が読んでみてよかったと思う本を紹介しますので、気になる方はぜひぜひ手に取ってく…

おかめ横丁戦争   中島貞夫『まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯』(1972年)

今日は中島貞夫監督作品『まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯』を取り上げます。『まむしの兄弟』シリーズの4作目となります。 主な登場人物 ・政太郎(菅原文太)・・・「まむしの兄弟」。政太郎。 ・勝次(川地民夫)・・・「まむしの兄弟」。不死身の勝。政をア…

おかあやんとヤサグレのジュン  『まむしの兄弟 二人合わせて30犯』(1974年)

今日は菅原文太・川地民夫主演の人気シリーズ『まむしの兄弟』の7作目『二人合わせて30犯』(1974年公開)を取り上げてみたいと思います! 監督は大物監督の工藤栄一。脚本は鴨井達比古が担当しています。 まむしの兄弟 二人合わせて30犯 [DVD] 出版社/メー…

文太と由美子、その悲恋のゆくえ  佐伯清『現代やくざ 盃返します』(1971年)

今回は菅原文太主演、佐伯清監督『現代やくざ 盃返します』(1971年)を取り上げます。 『現代やくざ』シリーズは菅原文太の代表作の一つです。とはいえ、あまりヤクザ映画に興味のない方、あまり観たことない方は聞きなじみのないシリーズだと思われます。…

夜桜銀次、死神を背負う男  『山口組外伝 九州進行作戦』(1974年)

大変、お久しぶりです。ニャロ目です。 今回は菅原文太主演、山下耕作監督の1974年の東映実録路線の傑作である『山口組外伝 九州進行作戦』を取り上げたいと思います。 長らくソフト化が待たれていましたが、山口組の最近の騒動を知ってかしらずか、2015年に…

現代風にアレンジされた「正統な」ヤクザ映画  北野武『龍三と七人の子分たち』

2015年現在、北野武最新作である『龍三と七人の子分たち』をDVDで観賞しました。『アウトレイジ』前後からエンターテインメントを志して映画製作を続けてきた北野監督。本作品の見どころを紹介します。 龍三と七人の子分たち [DVD] 出版社/メーカー: バンダ…

増毛駅よ、永遠に  高倉健『駅 STATION』

2016年度の廃止が予定されている北海道の増毛駅。 その増毛が主要な舞台となっている映画『駅 STATION』(1981年、132分)を取り上げたいと思います。 降旗康男監督、主演は高倉健の一本でございます。 この夏に実際に増毛駅を訪れてみたので、映画をもう一…

入り江とあなたの物語  『思い出のマーニー』

米林宏昌監督『思い出のマーニー』(2010年)は、少女・杏奈の自己救済の物語です。 思い出のマーニー [Blu-ray] 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 発売日: 2015/03/18 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (12件) を見る 両親…

悪臭ふんぷんたるレジスタンス  深作欣二『狼と豚と人間』

今回は深作欣二監督のギャング映画『狼と豚と人間』(1964年、95分)を取り上げます。 出演は高倉健(黒木次郎=次男)、三國連太郎(黒木市郎=長男)、北大路欣也(黒木三郎=三男)というそうそうたるメンツでございます。もう50年前の作品なんですね~。…

映画はエロスなり  鈴木則文『エロ将軍と二十一人の愛妾』

今回は日本映画の誇る名監督、鈴木則文のアダルティーな作品『エロ将軍と二十一人の愛妾』(1972年、91分)を取り上げたいと思います。 けっこうTSUTAYAさんなんかにも置いてありますので、手に取りやすい作品ですが、インパクトのあるタイトルを持つ本作、…

この男もまた、凶暴につき…  深作欣二監督『やくざの墓場 くちなしの花』

今回は前回に続き、深作欣二監督である『やくざの墓場 くちなしの花』(1976年、96分)を取り上げます。 この作品は同じく渡哲也主演『仁義の墓場』の内容のつながりはないものの続編的な位置にあり、同じく深作監督の『県警対組織暴力』などにも通じる「ヤ…

なぜ彼は「仁義」という言葉を墓石に彫ったのか?  渡哲也主演 『仁義の墓場』

今日は渡哲也主演のヤクザ映画『仁義の墓場』(1975年、94分)を取り上げたいと思います。 この映画は『仁義なき戦い』の深作監督が担当しています。 『仁義なき戦い』と『仁義の墓場』。 なんだかタイトルが似ていますね。 しかし、タイトルで扱われている…

芸術における才能とは?  北野武『監督・ばんざい!』/『アキレスと亀』

ニャロ目でございます。 今回は北野武監督の13本目『監督・ばんざい!』(2007、104分)と14本目の『アキレスと亀』(2008年、119分)を取り上げたいと思います。 珍妙なコメディ映画である『監督・ばんざい!』、芸術に生涯を捧げたものの、ついぞ振り向か…

引き裂かれたタケシ、夢の残滓。  北野武『TAKESHIS`』

今日は北野武監督作品、『TAKESHIS`』(2005、107分)を取り上げてみたいと思います。 ファンのあいだでも非常に評価の分かれる本作品ですが、みなさんはどのように感じたでしょうか? 評価さえも「引き裂かれている」 北野作品としては12作目、前作『座頭市…

『北野武映画ザ・ベストテン』&『北野武映画史 1989~2015』

今回は日本の映画史においてこれからも名前の残ると思われる北野武監督作品の中から、自分なりのベストテンを選んでみました。 カウントダウン形式で紹介していきたいと思います。 みなさんも自分のランキングと比較して楽しんでください!! 各ランキングの…

汗をかかないヤクザたち 北野武『アウトレイジ』、『アウトレイジ ビヨンド』

ニャロ目でごじゃる。 今回はみんな大好き、北野武の『アウトレイジ』(2010年、109分)、そして続編にあたる『アウトレイジ ビヨンド』(2012年、112分)を取り上げたいと思います。 過去のヤクザ映画や北野作品と比較しながらみてみましょう。 『仁義なき…

タルコフスキー、観ながら寝るか? 観たあと寝るか? 『ストーカー』

ニャロ目でありんす。 今日はタルコフスキー監督の『ストーカー』(1979年、164分)という映画をとりあげてみたいと思います。 その圧倒的な映像美で評判のタルコフスキー監督ですが、『ストーカー』とはどんな映画なのでしょうか。 ストーカー? ゾーン? …

原色のボディ・性をむきだして  神代辰巳『一条さゆり・濡れた欲情』

ニャロ目でありやす。 今回は神代辰巳監督作品『一条さゆり・濡れた欲情』(1962、69分)を取り上げたいと思います。 一条さゆり 濡れた欲情 [DVD] 出版社/メーカー: 日活 発売日: 2006/12/22 メディア: DVD 購入: 1人 クリック: 123回 この商品を含むブログ…

美しい物は目には見えない・男の友情 『座頭市物語』

ニャロ目でござんす。 今回は名監督三隅研次の『座頭市物語』(1962年、96分)を取り上げたいと思います。 主演はもちろん、勝新太郎。 誕生から半世紀すぎてもなおファンが絶えない『座頭市』シリーズ。 その原点に迫りたいと思います。 予告と本編は結構違…

これは『NARUTO―ナルト―』である 北野武『座頭市』

ニャロ目でござんす。 今回は北野武監督の通算11本目の作品『座頭市』(2003年、115分)を取り上げて批評していきたいと思います。 現在のところ、北野映画最大のヒット作であるこの作品。 勝新太郎の『座頭市』シリーズにどう挑んだのでしょうか。 登場人物…

「境界線」をテーマに名作を読み解く  相米慎二監督『お引越し』

ニャロ目でございやす。 今回は『台風クラブ』に続いて、相米慎二監督の『お引越し』(1993年、124分)をとりあげたいと思います。 最近、レンタルでもDVDの取り扱いが始まった(?)ようですので、観賞しやすくなりましたね。 漆場家の人々 ・漆場レンコ(…

可もなく不可もなく 本広克行『幕が上がる』

今回はももいろクローバーZ主演、本広克行監督、平田オリザ原作、喜安浩平脚本の映画『幕があがる』(2015年、119分)をとりあげたいと思います。 人気絶頂のアイドルが主演ということで話題になった今作、はたして映画としての出来はどうだったんでしょう…

王国の未来は?  砂田麻美『夢と狂気の王国』

ニャロ目でございます。 今夜は『もののけ姫』や『となりのトトロ』でおなじみ、スタジオジブリを砂田麻美監督が取材し作り上げたドキュメンタリー作品『夢と狂気の王国』(2013年、118分)を取り上げたいと思います。 邦画史に残るアニメ作品を連発する巨匠…

相米慎二の演出術 『台風クラブ』

こんばんは、ニャロ目でございやす。 今日は雨が降り続いていましたので、ちょうどいい機会だと思い、相米慎二監督『台風クラブ』(1985年、115分)を観返しました。 いやー、やっぱ何度観てもいい映画です。 独特の画面作りに定評のある相米監督。 今作も少…

デス・ゲーム物では一番マシ!?  深作欣二監督『バトル・ロワイアル 特別篇』

今夜は深作欣二監督の実質的な遺作である『バトル・ロワイアル 特別篇』(122分、2001年)を取り上げてみたいと思います。 興行収入30億、R-15指定など大きな話題になったこの作品。はたして映画としての出来はどんなものなのでしょうか。 あ、ちなみに無…

狸たちの失敗 『平成狸合戦ぽんぽこ』

こんばんは、ニャロ目でございます。 今回は高畑勲監督作品『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年、119分)を取り上げてみたいと思います。 抵抗と敗北の物語 この映画は、多摩ニュータウン開発を舞台とした、狸たちの抵抗と敗北の物語です。 ニャロ目的みどころは3…

ドブネズミと人間    深作欣二『恐喝こそわが人生』

こんにちはニャロ目です。 今日は、深作欣二監督、松方弘樹主演『恐喝こそわが人生』(1968年、90分)を紹介したいと思います! 強請り屋組織「四ツ葉会」 「カツアゲのコツは三つある」 「仲間を増やさないこと」 「無理押しをしないこと」 「一度カツアゲ…

人でなしの恋  北野武『Dolls』

こんばんは、ニャロ目でございます。 今回は北野武監督作品『Dolls』(2002,113分)を取り上げてみます。 一連の監督作品の中でも芸術性の高い一本。果たして、どのような意味を持つ作品なのでしょうか? 『Dolls』というタイトルの意味 この作品は「さまざ…

1982年、自分探しの旅  『おもひでぽろぽろ』

今日は高畑勲監督の映画『おもひでぽろぽろ』を取り上げたいと思います。ちょうどテレビでも放送があることですし。 子供時代と大人時代 映画の前半部分は、タエ子の子供時代の思い出が描かれます。実をいうと自分が子供のころこの映画を見ていたときは、こ…

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