シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

洋画

どちらから見るか。/クリント・イーストウッド「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」

クリント・イーストウッド監督が硫黄島プロジェクトと称して作成した2部作品。 「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」について、主に父親たちの星条旗をメインにしながら、どのような物語かを解説していきたいと思います。 突然、英雄になってしまっ…

ミニオンはついていく/怪盗グルーの月泥棒

「怪盗グルーの月泥棒」は、ユニバーサル・ピクチャーズ初の配給となる3Dアニメ作品です。 何はなくとも注目されるのは、主人公である怪盗グルーよりも、黄色くて愛らしいキャラクターであるミニオン達ではないでしょうか。 映画館のCM中にも時々出演し…

オタクが妄想する理想の恋愛/「トゥルー・ロマンス」  

トム・クルーズが主演し、ミュージックビデオを思わせる音楽の使い方とレイバンのサングラスやMA-1などで注目を浴びた「トップガン」、その監督を務めたトニー・スコット監督による、オタクのための理想の恋愛を描いた作品が「トゥルー・ロマンス」です…

アン・ハサウェイの代表作/プラダを着た悪魔 感想&解説

ファッション系のおしゃれ映画なのかと思ってしまう題名「プラダを着た悪魔」ですが、この作品は、社会を知らない若者が、ものすごい理不尽に触れながら、仕事を通して成長していく仕事映画といっていい作品となっております。 アン・ハサウェイという類まれ…

サピア=フォーフの仮説で思考は変わる/映画「メッセージ」感想&解説

テッド・チャンの名作「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ(Arrival)」について、俗にファースト・コンタクトものと呼ばれる本作品の圧倒的な魅力と、原作のよさを生かしながらも映画的に優れた作品に仕上げた部分について、解説してみたいと思…

過去も含めて愛さなきゃ殺す/ヒストリー・オブ・バイオレンス

瞬間移動の装置の中にハエがいたために、ハエと同化してしまった男の悲劇を描く「ザ・フライ」や、ロシアマフィアによる人身売買の現実について知ってしまった女性が巻き込まる「イースタン・プロミス」などで有名な、デヴィット・クローネンバーグ監督。 そ…

誰かの幸福は誰かの不幸/クリント・イーストウッド「トゥルー・クライム」  

クリント・イーストウッド監督といえば、俳優では「ダーティ・ハリー」「マディソン群の橋」、監督では「許されざるもの」や「グラン・トリノ」といった素晴らしい作品に出演・撮影している大物中の大物です。 そのクリント・イーストウッド作品の中でも、す…

マイルを貯める人生/マイレージ・マイライフ

ジョージ・クルーニーが主演。ゴールデングローブ賞脚本賞を受賞。圧倒的な脚本の力とテンポのいい編集によって一気に引き込まれる作品「マイレージ・マイライフ」。 あらすじなどでは、年間322日も出張し、リストラを言い渡す「宣告人」をやっている主人…

人生はクイズだ! /ダニー・ボイル「スラムドック・ミリオネア」

「スラムドック$ミリオネア」といえば、岩を手に挟まれたことで遭難してしまった孤独な男を描いた「127時間」や、スコットランドの若者がドラックにおぼれながら前に進もうとする姿を描く「トレインスポッティング」などで有名な監督である、ダニー・ボ…

ロビン・ウィリアムズの代表作/ミセス・ダウト

ロビン・ウィリアムズといえは、若くして亡くなってしまいましたが、その俳優としての存在感や、演技力についてはずば抜けたものがある個性派俳優です。 「ガープの世界」「今を生きる」「フィッシャーキング」など、名だたる名作に出演した彼ですが、とりわ…

パソコンの父は暗号解読者?/イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

チューリングテストといえば、機械が知能をもっているかどうかを判定するテストとして有名なテストです。 また、チューリングマシンといえば、現在におけるパソコンの基本的な考えをつくりあげたものであり、我々が生活する中で切り離せないコンピュータの基…

麻薬中毒から更正するために/トレインスポッティング

ダニー・ボイル監督の代表作の一つであり、ユアン・マクレガーが主演した「トレインスポッティング」は、ドラックをやっている人間からすると非常に身近なものに感じられるそうです。 そのドラックにはまった人間の心境がよくわかってしまう作品であり、人間…

復讐の鬼/パク・チャヌク監督「オールドボーイ」

日本の漫画を原作として、それを韓国を舞台に再構成した映画「オールドボーイ」について、語ってみたいと思います。 復讐の物語 主人公は15年間監禁された後、いきなり解放されます。 わけもわからない主人公オ・デスは、殺人事件の犯人にさせられたあげく…

秀でた美しさでございます/パク・チャヌク「お嬢さん」

「オールドボーイ」などで有名なパク・チャヌク監督が誇るエロティック・サスペンス。 話題となっている「アガシ」こと「お嬢さん(hand maiden)」について、どのような映画なのか、ミステリー仕立てということもあって、面白さの一旦を伝えづらいところでは…

ジーン・ハックマンは容赦しない/フレンチ・コネクション

アカデミー賞を5部門も受賞し、アメリカンニューシネマを代表する作品の一つでもある「フレンチ・コネクション」。 1971年に公開された映画ということもあって、一体何がそんなに面白いのか。どうしても古い映画は、後発の映画に影響を与えてしまって、…

アカデミー賞を総なめか。感想&解説/ラ・ラ・ランド

ミュージカル映画でありながら、圧倒的な人気を誇る「ラ・ラ・ランド」 いきなり踊ったり歌ったりする映画というのは、なじみがある人と無い人とでは大きく印象が異なるものと思います。 英国アカデミー賞も受賞し、その後も次々と受賞していくであろう「ラ…

貴方は踏み絵を踏みますか?/沈黙ーサイレンスーマーティン・スコセッシ

マーティン・スコセッシ監督が、28年の歳月を経て完成させた大作。 遠藤周作がつくりあげた宗教と人間について語られた「沈黙」を、圧倒的なスケールで映画化した傑作です。 本作品は、江戸時代初期のおけるキリスト教の弾圧を受けながらも、信仰を続ける…

純愛・爆走。ライアン・ゴズリング主演「ドライブ」

「最もセクシーな男性」2位にも輝いた男でもあるライアン・ゴズリングですが、そのライアン・ゴズリングが主演を務め、寡黙なドライバーを演じた「ドライブ」について、非常に映画的である作品の見所について考えてみたいと思います。 ドライブというタイト…

息も、できない。/映画「ドント・ブリーズ」

低予算ながら、その設定によって圧倒的な人気を誇ったホラー・サスペンス映画「ドント・ブリーズ」について、サム・ライミ製作という意味、老人の意味を、ネタバレも含みながら、語ってみたいと思います。 デトロイトが舞台 「ドント・ブリーズ」の舞台は、…

ジャコ・ヴァン・ドルマルの世界 その4/神様メール

寡作な映画監督であり、公開されるたびに良作を放ち続けてきたジャコ・ヴァン・ドルマル監督の4作品目の映画が「神様メール」です。 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は、独自の世界観が特徴となっており、その世界観の中で作品がつくりだされてきましたが、今…

死霊のはらわたは必見。実はコメディ「キャビン イン ザ ウッズ」  

ホラー映画が好きな人は、大体わかってしまうことがあります。 男にこびていくような女性は、すぐに死ぬ。 危機感ばかりを唱えるやつや、頭のおかしいやつは、あっという間に死ぬ。 最後には、心や身体が清らかな人が生き残る、というのが定番です。 ホラー…

物語の意味は。/クラウドアトラス ウォシャウスキー姉弟

映画「マトリックス」シリーズで大ヒットを記録し、一躍有名監督になったウォシャウスキー兄弟ですが、そのウォシャウスキー兄弟が映像化不可能といわれていた作品を映画化した「クラウドアトラス」について、考えてみたいと思います。 「マトリックス」をつ…

誘拐映画。娘のためなら父は/リーアム・ニーソン主演「96時間」  

シリーズ3作目まで作られ、リュック・ベッソンが脚本し、リーアム・ニーソンが主演を務め、娘のために悪いやつらをガンガン処分していく男の物語、「96時間」について考えてみたいと思います。 本記事では、シリーズ2、3作品目では薄らいでしまった、1作目…

生きている実感がない/アメリカン・サイコ

クリスチャン・ベールが主演し、アメリカ人だけではなく、全ての人間がもちうる問題を浮き彫りにした作品、「アメリカン・サイコ」について、解説してみたいと思います。 名刺バトル さて、この映画は冒頭から問題を見せ付けてきます。 高級そうなレストラン…

正しいアメ車の譲り方/クリント・イーストウッド「グラン・トリノ」

クリント・イーストウッド監督といえば、俳優としても監督しても抜群の存在感と才能を発揮する人物です。 そのクリント・イーストウッドの最高傑作と呼び声の高い「グラン・トリノ」について、その魅力を語ってみたいと思います。 頑固ジジィ 物語は奥さんの…

娘が誘拐されたとき、どうするべきか/プリズナーズ

人は何かによって囚われているものです。 道徳や倫理、国家や宗教。世間など、あらゆる物事は自分たちを囚われの身にしてしまうのです。 ジェイク・ギレンホールとヒュー・ジャックマンが主演する作品にして、同年に「複製された男」も公開したドゥニ・ヴィ…

ブラック企業勤めの心理状況がわかる。映画「セッション」

人は誰でも心が弱ってしまうときがあるものです。自分自身の決断に迷い、後悔するときもあります。 しかし、そんな時でも、人間は進まなければいけませんが、周りが見えなくなってしまい最悪のことを行ってしまう場合もあるのが現実です。 さて、人間という…

私の敵は、私です。/ジェイク・ギレンホール主演「複製された男」

「脳力が試される究極の心理ミステリー」と称された本作品は、一見すると難解にみえる作品ですが、ある程度のキーワードを抑えておくことで、非常に身近で、バカな男の性がわかる作品としてみることができる作品となっています。 ネタバレはあっさりめにして…

スタンフォード監獄実験は、何を語るのか/ES(エス) エクスペリメント

普通の人たちが、理由もなく囚人と監視人にわかれたとき、人はどのような行動をとるようになるのか。 人間の狂気と心理に迫る映画こそが、2001年につくられた「エス」であり、2010年に公開された「エクスペリメント」なのです。 エクスペリメントの…

問題行動を起こすのは何が悪い? ネタバレあり/エスター   

「この娘、どこかが変だ」のキャッチフレーズでお馴染み、「エスター」は、衝撃的なラストと呼ばれる後半もあって、話題作の一つでありました。 この映画は、事前情報なしでキャッチフレーズや画像だけみると、霊能力とかをもった少女の話になるかと思ってし…

スティーブン・スピルバーグに捧げる/J・J・エイブラムス「スーパーエイト」  

スティーブン・スピルバーグといえば、「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「E.T」「プライベート・ライアン」「インディ・ジョーンズ」など、いずれも大ヒット作品を手がけた、ハリウッドにおける超ヒットメーカーです。 そして、そのスピルバーグ監督…

中二病は止まらない。リブート「ゴーストバスターズ」2016年版  

ゴーストバスターズといえば、海外ではいまだにゴーストバスターズの衣装で活動している人もいるという根強い人気がある作品です。 1984年に公開され、新作が公開されないままにきてしまった本作品が、満を持して公開されたことから、第一作目と比較をし…

リメイク版を見る前に。ゴーストはいます!/1984年 ゴーストバスターズ

2016年に主人公を女性に一新してリメイクされる、ゴーストバスターズ。 そのオリジナルを見ないことにはゴーストバスターズははじまりません。 ゴーストバスターズがなぜヒットしたのか。そんな背景も視野にいれながら、1984年に公開されたゴースト…

本当に怖いのは人間/遊星からの物体X ジョン・カーペンター監督

遊星からの物体Xといえば、巨匠ジョン・カーペンター監督の代表作の一つであり、その後の漫画や映画に多大なる影響を与えた作品でもあります。 ついつい、1984年の映画なので、敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、劇中ででてくるその生物や、恐慌…

忘れられない恋を忘れよう/エターナル・サンシャイン

皆さん、忘れたい記憶はありますか。 失敗してしまったことや、みんなの前で恥をかいて、もう何もかも忘れてやり直したい、そんな悪魔的衝動にかられたことのある人は、数多くいると思います。 その中でも、それが恋愛という土俵の上であれば、その数は数限…

ミニオンズ 黄色い生物たちは何者か/「ミニオンズ」

映画館で映画をみていると、その時期、配給会社とのコラボレーションなのか、放送前の注意事項などを映画のキャラクターで紹介されることがあります。 ディズニー系であれば、ミッキーたちがでてきたりすることもありますし、コラボでないもので有名なのは、…

10年目の夫婦が乗り越えること/「アイズワイドシャット」解説&感想  

アイズワイドシャットは、かの巨匠スタンリー・キューブリック監督の遺作となる作品です。 トム・クルーズとニコール・キッドマンという二人の名優が共演し、当時、実際に二人が夫婦だったということもあって、実に生々しく、心に食い込む映画になっています…

キャッチボールは親子の会話/フィールドオブドリームス

野球については全然知らない人間でも、夢を持つことの大切さや、親子の絆を感じ取ることができる、野球を題材にした傑作映画こそが、「フィールドオブドリームス」です。 それを作れば、彼は来る。 ある日突然、ケビン・コスナー演じる主人公の男レイは、謎…

スーツは現代の鎧だ/マシュー・ヴォーン監督「キングスマン」  

靴のかかとを勢い良く合わせると、毒つきナイフが飛び出る。 数万ボルトの電流が流れる指輪や、地下に張り巡らされた秘密機関の鉄道。 大爆発するライター。 ロンドンに存在する謎のスパイ組織「キングスマン」。普段はスーツの仕立て屋。しかし、その実態は…

父は待っている/クリストファー・ノーラン「インターステラー」感想&解説

かつての世界は、宇宙開発競争を征することこそが世界を先駆けることにつながると信じていました。 宇宙に飛び出し、月に到達した人類は、その副産物として様々な恩恵を得た。 そして、そらを見上げる少年・少女たちの心に、輝かしい未来を想像させたもので…

誰しもみんな悩んでる。/ブレックファストクラブ

アメリカのハイスクールというのは、階級がきっちりわかれています。 この場合の階級というのは、つきあう友達によって作り出される、自分の立ち位置のようなものです。 オタクな人間は、オタクとしかかわりをもちません。 スポーツマンは、スポーツマン。 …

自分に自信のない男が見るべき映画/デットプール感想  

2016年6月1日より公開された映画「デッドプール」ですが、このユーモラスで真っ赤なコスチュームのふざけたヒーローが、どんな活躍を見せるのか。 どんなところが見どころかを含めて、感想をつづってみたいと思います。 おばかな物語が始まります。 デ…

これぞ逆境! ゼロ・グラビティ

突然ですが、本当の意味で孤独になる、というのはどういう状況でしょうか。 2013年に公開され、ロードショーで地上波放送も行われることになった「ゼロ・グラビティ」。 この映画はたしかに宇宙を舞台にした映画ですが、一人の女性が、逆境を乗り越えて…

偏見を捨てるなら今!感想&考察 ズートピア

ディズニー映画といえば、やはり「アナと雪の女王」の超ミラクル大ヒットの印象がいまだにありますが、4月より公開されている「ズートピア」について、その見所や、脚本の出来の素晴らしさを踏まえた上で、考えてみたいと思います。 この物語は一見してみる…

この世の果てで恋を歌う青年/ミスターノーバディ ジャコ・ヴァン・ドルマルの世界その3

「ミスターノーバディ」は、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の最高傑作です。 2016年5月には、5年ぶりの新作「神様メールが」公開される予定ですので、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督を予習する意味でも、「ミスターノーバディ」は是非見ておきたい一作で…

ディカプリオ アカデミー賞受賞作品/レヴェナント:蘇えりし者

「レヴェナント:蘇えりし者」は、レオナルド・ディカプリオが5度のノミネートを経てようやくアカデミー主演男優賞を受賞した記念すべき作品でです。 アメリカ西部開拓時代の実在の人物を演じ、実際の冬山で行われた過酷なロケは、その裏事情を知らなくても…

ネタバレあり。彼は飛べたのか。バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)  

「レヴェナント:蘇りし者」も日本公開されようとしている中、二年連続でアカデミー賞をとるという快挙をなしとげたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。 そのイニャリトゥ監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」について、…

吸血鬼の住宅事情。吸血鬼の暮らし方/シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

吸血鬼は、永遠に生きることはできる存在ではありますが、色々な制約があることでも有名です。 ・白木の杭で心臓を貫かれると死ぬ(人間でも死にます)。 ・にんにくが苦手 ・十字架が苦手 ・銀製品に弱い ・招かれないと家に入れない。 ・血を吸わなければ…

吸血鬼は語る。トム・クルーズとブラピ/インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

吸血鬼といえば、すっかり手垢がついた題材です。 人間の生き血を飲むことで、永遠に生きることが出来るバケモノ。 そのあまりに残酷で、残酷でありながら、永遠に生きる存在として、数々のドラマのもとになっていますが、これからもその題材は使われ続ける…

挫折を乗り越えろ!家族と戦うボクシング映画/ザ・ファイター  

マーク・ウォールバーグ主演「ザ・ファイター」は、実在したボクサーであるミッキー・ウォードの実話を元につくられた映画です。 多少の脚色や、時間を繋ぎ合わせた部分はありますが、人生そのものがまさに映画としか思えない劇的な物語となっています。 「…

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