制作費約50億!映画化していた!「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」
任天堂が誇るスーパーマリオといえば、世界で知らない人はいないんじゃないかというぐらいのビックタイトルです。
8ビットのひげのおじさんが、今も現役で活躍するゲーム業界でありますが、この映画が映画化されていた、ということについては、意外と語られていないように思います。
1993年に作られた本作品について、ツッコミどころ満載の解説をしていきたいと思います。
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これはマリオなのか。
スーパーマリオブラザーズといえば、きっちりとした設定を知っている人というのは案外に多くはないのではないでしょうか。
それでも、マリオの職業は配管工であり、たびたびクッパにさらわれるピーチ姫を、一介の配管工が救い出すというのが毎回のお決まりパターンとなっていて、だいたいそのあたりは把握されているに違いありません。
マリオがでてくるゲームはいろいろありまして、ドクターマリオもあったり、テニスをしてみたりとまぁ、マリオは多趣味且つ才能あふれる男ではありますが、基本的には配管工ということになっているようです。
イタリア系であり、ルイージという弟がいるというところもまた共通認識ではないでしょうか。
そんなマリオ達が、アメリカで映画になって登場した結果、ツッコミどころ満載のものができており、たとえば、キノコ王国というものがあるのかというとそうではなく、舞台から何から不思議なものとなっていたりしたとすれば、まぁ、みないわけにはいかないでしょう。
セカイ設定
映画「スーパーマリオ」では、ヒロインは、デイジーという恐竜の女性です。
恐竜の女性というと謎ですが、本作品の中では、謎の隕石によって世界が二つに分裂し、恐竜たちが独自進化を遂げて人間のような姿になったセカイと、我々人間が住む世界に分かれてしまったセカイがあるというものになっています。
このSF設定はなかなかわかりづらいところとは思いますが、さらにわかりづらいたとえ方をすると、
「バトルコマンダー 八武衆、修羅の兵法」という1991年に発売されたスーパーファミコンソフトがあります。
この作品は、当時のゲームとしては恐ろしく複雑なゲームとなっているのですが、本作品の設定をついつい思い出してしまったりしました。
バトルコマンダーは、三つに分かれていたセカイが、ある日、その境目が消えたことにより、お互いの種族が戦争をはじめてしまう、というものです。
SFを超えた超常の力によってセカイそのものが分かれていたにもかかわらず、その力が消えたことで争いになってしまうバトルコマンダーと、隕石によって分かれてしまったセカイを再び一つに戻そうとする「スーパーマリオ」。
映画「スーパーマリオ」は、地下の世界に見えますが、あくまで、隕石によって別世界が作られており、その地下世界のような不毛な場所には、恐竜が進化した種族が住んでいたという設定です。
もしかしたら、この当時はこういった設定がはやっていたのかもしれません。
ということで、デイジーは恐竜の進化した存在なのですが、なぜか人類の教会に預けられて、その後、恐竜の化石発掘を行う人になっていたりするのです。
さて、改めて、ストーリーのほうを見ていきます。
セカイと姫を取り戻せ
マリオとルイージは、どうやら、かなり微妙な配管工のようです。
仕事の依頼は大手に横取りされ、家賃すら満足に払えなさそうな感じですが、ピスタチオらしきものをポリポリ食べてやる気のないルイージが、デイジーに一目ぼれすることで、関わっていくことになります。
分かれてしまったセカイを一つにして、恐竜族が人間の世界を支配しようみたいなことを考えていて、それを阻止しようとしていたけれど、というのが大枠の流れです。
なぜかわかりませんが、デイジーにはその力があって、それを発動させるためには、隕石のかけらが必要だ、というまぁ、とにかく、必要なアイテムと女性がカギとなる話です。
惚れた女性を救い出すため、別世界へ迷い込んだマリオとルイージ。
マリオといいながらも、物語を動かすための主人公は事実上ルイージとなっています。
隕石のかけらを取られたり、よくわからないうちにクッパと出会ったりしながら、世界は守られるという物語です。
あまりに適当な物語の紹介に驚くかと思いますが、本作品の楽しむポイントはそんなところではありませんので、大丈夫です。
マリオというものをすこしでも知っている方であれば、この作品は、どこをどうつっこめばいいかわからないぐらいの作品になっているためです。
ツッコミどころ満載
さて、まずは、マリオとルイージが血の繋がらない親子のような兄弟のような関係になっているのも謎ですが、主に、恐竜セカイにおけるクッパのたちまわりと、人材不足にツッコミをいれたくなるのが人情です。
セカイを一つにするために、クッパの子分であるコクッパ7人衆の内、イギーと、スパイクがこの世界のクッパのいとことして登場します。
一応、クッパはこの恐竜帝国の一番偉い人なはずなのですが、実に使えない部下であるイギーとスパイクに、デイジーの誘拐を命令して、何回も失敗しています。
隕石のかけらをもっているはずのマリオとルイージを尋問するときも、あたかもたんなる刑務官を装って直接話をしにいきますし、えらい人とはとうてい思えません。
国のトップがいろいろとかけまわらなければならず、その部下としては、頭も退化してしまっているグンバなる手下ばかり。
おっちょこちょいな部下たちでは、マリオたちをつかまえることもできません。
ツッコミどころ満載感がたまりません。
つまり、これはマリオという名前をつかった、壮大なコメディであるということを自覚して、はじめて面白くみることができるのです。
さて、この作品は、50億円近いお金をかけられて、その半分も回収することができなかった悲劇の作品でもあります。
内容はスーパーマリオシリーズとは明らかにかけ離れていますし、ファンが楽しめるような共通点はほとんどないに等しいです。
ですが、お金をかけた悪ふざけと思うと、大変な見どころがあるのです。
映画を寄せ集めたオマージュ作品
この作品、なんかどこかで見たことありそうだなぁ、と思う設定やアイテムがでてきます。
特に恐竜帝国ですが、入った瞬間の、ブレードランナー感。
ブレードランナーといえば、ハリソン・フォード主演による歴史に名前がのこる作品です。
美しく清潔な未来ではなく、薄汚れた湿っぽい暗い未来をつくりだし、独特のネオンが印象的です。
映画「スーパーマリオ」の恐竜帝国はまさにそんなところです。
さらにいえば、アーノルド・シュワルツェネッガー主演「トータルリコール」なんかも思い出す感じです。
また、退化ビームによって変化してしまうあたりなんかは、どことなく、ハエと融合してしまう男を描いた「ザ・フライ」なんかも思い出すところです。
アニマトロニクスな感じの恐竜がでてきて、もしかして、と思うわけですが、案の定、マリオの相棒である「ヨッシー」だったことに気づいた時には、苦笑するしかないほどです。
しまいには、粘菌のような生物になってしまった存在が、父親だということを知ってしまった日には、これは、スターウォーズなのか、と思ったりしもしますが、もう考えれば考えるほどドツボにはまりそうです。
大金をかけること
さて、本作品は、いわゆる感動系でもなければ、アクションシーンがすごい、というわけでは全然ありません。
なんかそれっぽいギミックがでてきて危機を乗り越えたりしますが、それがそれである必然性はなく、姫を助けようと異世界にいって帰ってくる、という単純な物語となっています。
ですが、本作品は、なんだかんだと面白く最後まで見れてしまう作品となっています。
映画というのはたしかに、脚本や編集、美術も含めて様々な内容がからみあってつくりだされる複合芸術となっています。
いわゆる誰がみても素晴らしい映画ではないかもしれませんが、こういう悪ふざけしているようで、でも、誰がみても安心できる作品というのもなかなかありませんので、1時間44分という比較的短い時間設定もありますので、気になった方はぜひ見ていただきたいと思います。
映画を知る前に見るのと、知ってから見るのとでは、また違った見え方があるに違いありません。
異常、製作費約50億!映画化していた!「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」でした!