シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

サム・シェパードよ永遠に。正しい資質とは/ライトスタッフ

ライトスタッフ [DVD]


数多くのファンに愛されながら、3時間を越える大作ということもあって、見られる機会も少なくなりがちな作品の一つに「ライトスタッフ」があります。


これは、人類を月に向かわせるためのマーキュリー計画(MISS、Man In Space Soonest、 人間をできる限り早く宇宙へ行かせるという計画のうちの一つと思っていただいても、大きく間違いはないと思われます)に関わった、マーキュリー・セブンと呼ばれる宇宙飛行士を通じ、夢に向かって突き進む男達の葛藤や、その影で苦悩する人たちを描く、傑作映画です。


何度も描きますが、3時間を越える作品ですので、まずは、作品の前半部をメインに語りつつ、作品がもつ魅力について語ってみたいと思います。

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どちらから見るか。/クリント・イーストウッド「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」

父親たちの星条旗(字幕版)

 

 クリント・イーストウッド監督が硫黄島プロジェクトと称して作成した2部作品。

父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」について、主に父親たちの星条旗をメインにしながら、どのような物語かを解説していきたいと思います。

突然、英雄になってしまったとき、人はどのような末路を迎えるのか。

英雄と言う名のプロパガンダになってしまった人間が、どんな苦悩を抱えてしまったのか、フラッシュバックする想いを読み取ってみたいと想います。

 

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ミニオンはついていく/怪盗グルーの月泥棒

怪盗グルーの月泥棒 (吹替版)

 

「怪盗グルーの月泥棒」は、ユニバーサル・ピクチャーズ初の配給となる3Dアニメ作品です。

何はなくとも注目されるのは、主人公である怪盗グルーよりも、黄色くて愛らしいキャラクターであるミニオン達ではないでしょうか。

映画館のCM中にも時々出演してきて気になる彼らですが、その初登場となる「怪盗グルーと月泥棒」について、どんな内容のものだったのかを、解説してみたいと思います。

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オタクが妄想する理想の恋愛/「トゥルー・ロマンス」  

 

トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版(字幕版)

 

トム・クルーズが主演し、ミュージックビデオを思わせる音楽の使い方とレイバンのサングラスやMA-1などで注目を浴びた「トップガン」、その監督を務めたトニー・スコット監督による、オタクのための理想の恋愛を描いた作品が「トゥルー・ロマンス」です。


キル・ビル」や「パルプ・フィクション」などでおなじみ、クェンティン・タランティーノ監督が脚本をつくったという、映画好きはだいたい見てしまうだろう作品となっておりますが、その魅力の一旦について語ってみたいと思います。

オタクの妄想

本作品を簡単に説明してしまえば、好きになった女性の過去を清算するために映画のように戦いにいったら、間違えて大量の麻薬を手に入れてしまい、それを現金化して彼女と楽しく暮らそうとする話しです。

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マエダ・エスカープメント/メル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

 Hacksaw Ridge [Blu-ray]

 

本作品は、「アポカリプト」以来となるメル・ギブソン監督作品となっています。

メル・ギブソンといえば、オーストラリア映画を一気に広めたジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」に主演し、映画監督としても数々の作品をつくりだしてきた人物です。


キリストがシオンの丘に行き磔になる一連の出来事を描いた「パッション」や、マヤ文明時代の人狩りをモチーフにした「アポカリプト」をつくり、痛々しい作品を作り出してきた監督が、第二次世界大戦の中でも、激戦地の一つとして知られている「前田断崖」での戦いを生々しく描いた作品となっています。

 

この作品は、反戦映画としてみることもできますが、それだけにとどまらない魅力がありますので、そのあたりも含めて語ってみたいと思います。

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『アウトレイジ 最終章』予告編公開記念!!

10月7日から公開が予定されている北野武監督の『アウトレイジ 最終章』。その予告編が公開されました。

一分半の映像の中に、銃撃・怒号・そしてアウトレイジを象徴する「車」の映像が詰め込まれています。

 

そもそもなぜ北野監督は執拗にヤクザ映画を繰り返し撮るのでしょうか。

この予告編の冒頭のマシンガン乱射シーンは『3-4x10月』を彷彿とさせますし、釣りのシーンは何となく『ソナチネ』の空気感を思い出しますね。相手を首まで埋めて拷問するのは深作欣二『北陸代理戦争』のエッセンスを感じます。

このように予告編を見るだけでも、これまでの北野映画やヤクザ映画の細部を(無自覚に)引っ張ってくる「自己言及」というのは、それこそ北野映画の醍醐味です。その作家性が肥大化した結果が怪作「TAKESHIS'」です。

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恋をしたほうが負け/キューブリック版「ロリータ」

ロリータ (字幕版)

 

スタンリー・キューブリック監督といえば、神という存在を示した「2001年宇宙の旅」や、夫婦円満の秘訣を描いた遺作「アイズ・ワイド・シャット」、ジャック・ニコルソン主演「シャイニング」から「フルメタル・ジャケット」など、あらゆるジャンルにおいて金字塔をうちたてている、偉大すぎる監督です。

そんなキューブリック監督が、1962年につくったのが「ロリータ」です。


記事を読んでいただくまえに断っておきますが、「ロリータ」は少女偏愛のあまり破滅に進んでしまう悲しい中年男性を描いた作品ではありません。

性的な描写はほぼ皆無です。

原作となるロシア人作家V・ナボコフによる小説とはテーマが異なりますので、「ロリータ」を通じて、キューブリック監督が何を描きたかったのかを含めて解説してみようと思います。

 

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