シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

もはや笑うしかない。ベストキッド2。感想  

 

 ベスト・キッド2 (字幕版)

ベスト・キッド」は、通信空手を二か月しかやっていなかった少年が、空手不良少年たちに目をつけられながらも、謎の日本人ミスターミヤギに稽古をつけてもらって、少年空手大会で優勝するまでを描いた作品です。


その修行の意外さ、面白さ、日本人とアメリカ人との交流を描いた作品として、一定の年代からは、絶大な支持を集めました。

その人気は今でも続いており、配信放送では、ベスト・キッドの正当な続編として「コブラ会」も制作されています。


低予算でありながら、少年版ロッキーを実現した「ベスト・キッド」。

そんな映画の続編ができないはずはありません。

本記事では、続編である「ベスト・キッド2」について、感想とみどころをのべつつ、ツッコミどころも紹介してみたいと思います。

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冒頭は、前作より

 

「ベストキッド2」のはじまりは、前作で行われた試合のすぐ後から始まっています。

2年後に作られた作品とはいえ、あまりに主人公たちがかわらなすぎるな、と思っていたら、一作目でカットした部分の再編集のようです。

一作目で最大の敵であったジョニーは、駐車場で師匠に「2位などクソだ
。破門だ!」といわれて、人生が転落していってしまいます。


コブラ会」では、ジョニーの人生はここから落ちていく、ということが何度も語られるシーンとなっていますので、ベストキッドファンとしては見逃せない、そして、何度もみることになることから忘れられないシーンとなっています。

また、ミスターミヤギが、相手の師匠であるジョン・クリースを打ちのめすシーンもまた、「ベストキッド2」を締めくくる際にも重要なシーンとなっています。


そして、物語は、ダニエルが学校を卒業してからになります。

物語のあらすじ

さて、「ベストキッド2」のあらすじについて、説明します。


少年空手大会優勝の後、ミヤギの父親が危篤である旨の連絡が届く。

ちょうど、母親が不在という事情もあり、ダニエルさんとミヤギの二人は、オキナワへ。

ミヤギが若いころに、サトーという男と女性を巡り対決寸前になったものの、結果としてミヤギが対決を避けていなくなってしまったという事実がわかります。

すっかりミヤギの生まれ故郷だった村で支配者となっていたサトーは、ミヤギとの対決を望みますが、断ります。

ダニエルさんもまた巻き込まれる形で、サトーの甥にからまれますが、なんだかんだと、対決しないというと嫌がらせが行われ、最後には、ドタバタのうちに、ダニエルとサトーの甥が対決して終わります。

 

恐れずに言いますと、本作品は、ベストキッドの一作目のような、少年の成長と日本人ミヤギとの交流はもちろんありますが、それ以外については、わりと薄い内容となっています。

とにかくなかなか始まらない

ベストキッドの一作目は比較的、テンポよく物語が動きます。

空手で活躍する話、というよりは、気弱なダニエルという少年が空手を通じて日本人ミヤギに心を教えてもらうことこそが重要だったため、戦わないことについてそれほど飽きることありませんし、本質はそこではありません。

 

「ベストキッド2」では、ダニエルは、現地の女性クミコと出会い、あっという間に仲良くなってしまいますが、それで、ダニエルが成長するとか、何かを決意するというわけでもなく、ただただ、現地の女性と楽しくしているようにしか見えません。

ミヤギという男が、どのような場所で生活していたかがわかる、という点も悪くはないのですが、ミヤギと決着をつけたいサトーが、無理やりしてくる嫌がらせの数々は、本作品のB級感をものすごく高めてしまっています。


ミヤギをその気にするために、畑をブルトーザーで破壊してみたり、盆栽を破壊してみたり、とにかくやることに意味がないのです。

ミヤギは、そんなことには重きをおいていませんし、愛した女性であるユキエとは、心が通じていることがわかり、何の問題もありません。

戦ってしまうと物語が終わってしまうから引き延ばすような感じは、なかなか近年の映画では見られない構成となっています。

空手の心

では、いいところがないかというとそういうわけではありません。

本作品の原題が、カラテキッドであるだけに、空手を通じた精神的な教えがあります。


ミヤギは、これをダニエルさんに説明していきます。

「空手無先手」という文字が書かれています。

空手に先手はなし。

自分を守るために使うということが書かれています。

 

ミヤギは、
「ルールナンバーワン。カラテ フォ ディフェンス オンリー」

 

ちょっと、違う気がしますが、間違ってはいません。

 

また、「先正其心」という掛け軸では、まず先に、心を正せと書いてあります。

 

ベストキッド1から言われていることです。
焦るダニエルさんに、盆栽をやらせて、心を落ち着かせる。

バランスが大事だ、ということを重ねて教えているところからも、この言葉の大事さがわかります。

 

ですが、ミヤギは、英語で

「ルールナンバーツー。ファスト ラン ルールナンバーワン」

翻訳と文字と、英語のセリフが驚くほど一致していません。


ただ、ベストキッドの面白さは、難しい英語を知らなくても、簡素で明快な英語によって、わかる気がするところでもあります。

ベストキッドの型

さて、ベストキッドシリーズでは、ミヤギから技を教えてもらい(1では、鶴の技)をもらいましたが、2では、太鼓の技を教えてもらいます。


でんでん太鼓の姿から、カウンターによる攻撃の極意を教わるダニエルさん。

うまく決まれば、一撃で相手を倒せるのかと思いきや、何度も何度も相手に攻撃を与えます。

技を教えてもらい、最後にはそれをつかって勝つ。

ベストキッドの基本的な流れは確立されています。

 

3に向けて

3についての紹介も別記事で行いたいと思っていますが、「ベストキッド2」で覚えておいたほうがよいポイントだけ記載しておきます。


沖縄に行く飛行機代を、ダニエルさんは大学への学費で払っている、という点です。

ミヤギさんは、そのお金の足しにするために、ダニエルさんが行う氷割りチャレンジに賭けてみたりします。

このお金をもとに、ミヤギはダニエルに学費だといって渡してくれるのです。

しかし、3ではダニエルさんが今度は大学の学費のためではなく、盆栽の店をミヤギに開かせるために使うという、とんでも展開になるのは、3で細かく書いていきたいと思います。

間違った日本感を楽しむ

さて、「ベストキッド2」ですが、正直、最近の映画のように、時代考証とかを考え始めると、ツッコミどころが多すぎてキリがありません。

アメリカ軍基地の中にあるミヤギの生まれ故郷。

飛行機も十分に飛ぶような現代であるはずの沖縄で、あきらかに年代が戦後すぐあとのような有様の村。

葬式がお盆の精霊流しみたいになっていたり、あきらかにおかしいところにある畑や、世紀末ヒーローが活躍していそうな野菜の買い取りのやり取り。

 

盆踊りなのか、バレエなのか、芸者の舞なのか、とにかくゴッチャになっているクニコの踊りに対する姿勢。

田中邦衛にでてくるリアルゴールドのポスター等。

もちろん、氷割をネタにして賭け事にいそしむ人々もどうかと思いますが、もう、架空の国オキナワにおける物語だと思えば、それはそれで楽しみながらみることができます。

 

物語のラストにおける、なぜか、村人全員がでんでん太鼓を無表情でもって、ダニエルさんに、太鼓の技をつかうように促すシーンに至っては、もはやカルト映画の域に達しています。


あまりに有名すぎて逆にみなかったりする「ベスト・キッド」シリーズですが、あえて見てみるとわかる発見や、楽しめるポイントがある作品となっていますので、「コブラ会」等のコンテンツが気になった方は、ぜひみてみていただきたいと思います。


以上、もはや笑うしかない。ベストキッド2。感想でした!!

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