ゾンビウイルスで世界崩壊。ルールを守る男「ゾンビランド」感想
ゾンビものの映画は数多くありますが、今回紹介する「ゾンビランド」は、誰でも楽しめるゾンビものとなっております。
一応、年齢制限はかかっていますが、暴力表現についてはほとんどありませんし、冒頭だけゾンビが人の肉を食べていますが、それを薄目でみてやり過ごせば、悲しい展開もなく、まさしくゾンビランドといった感じで楽しむことができる映画となっています。
そんな安全・安心なゾンビランドについて、面白さを語ってみたいと思います。
スポンザードリンク
?
少年は生き延びた
主人公であるジェシー・アイゼンバーグ演じるコロンバスは、ちょっとギーク寄りな青年です。
ジェシー・アイゼンバーグといえば、Facebookの創始者であるマーク・ザッカーバーグを主人公とした映画「ソーシャルネットワーク」で一気に有名になった人物でもあります。
少し偏屈ではあるけれど、その意思によって道を切り開いていく男として、ゾンビランドにおける主人公は、「ソーシャルネットワーク」の前の出演作とはいえ、まさにはまりやくといったところではないでしょうか。
突然ゾンビが大量発生したことで、世界が崩壊しかけている中、彼は、自分自身にルールを設けており、それをかたくなに守ることによって、生き延びてきました。
オタクな男が、惚れた女のためにルールを破るというのが、本作品の大枠となっていますが、そこで出会う絆のものがたりになっているところが見どころです。
31のルール
本当にゾンビウイルスが発生したときに、どのように生き延びればいいのかということを、本気で書いた本として有名なものにゾンビサバイバルガイドがあります。
もしも、本当にゾンビが現れたときにどのような武器が効果的か、逃げるときはどうするべきか、ということが書かれた本になっていますので、ゾンビに対してのルールについてもっと深く考えたいという方は、こちらをオススメします。
本作の主人公は、いろいろなゾンビものから拝借したであろう、独自のルールを設けています。
すべては、書きませんが、たしかになぁ、と思うルールが目白押しです。
「ルール2 二度撃ちしてとどめを刺せ」
ただ見ているだけの我々からすれば、どうして、ゾンビがちゃんと死んだかもわからないで、登場人物たちが安心できるのかハラハラしてしまうのですが、本作品は、ちゃんと、二度撃ちを推奨しています。
二度撃ちをしないせいで、足をかまれてしまったりと、二度撃ちの重要性がよくわかります。
「ルール22 逃げ道を確保しろ」
だいたい、不意のことが発生して今までつかえていた逃げ口が使えなくなるものです。
「ゾンビランド」では、そういった、視聴者がヤキモキするような事柄を、すでに、ルールとして提示することで、主人公たちが決してパニックになってバカになる人物ではないことがすぐにわかるところが安心です。
「ルール17 ヒーローになるな」
ヒーロー気取りのやつは、あっという間に殺されるというゾンビものの掟も含めて、パロディやらなにやらも入った、安心して楽しめるゾンビ映画となっています。
クソったれな相棒をみつけろ
一人で旅をしていたコロンバスは、タラハシーと名乗る男と出会います。
タラハシーは、ちょっと変わった男ですが、コロンバスが、ゾンビ後の世界で久しぶりに出会った人物で、スコップだけでゾンビを倒せる頼れる男です。
「ゾンビランド」は、キャラクターがはっきりしており、タラハシーが、トゥインキーという、体に悪そうなお菓子をこよなく愛しており、それを手に入れることができるのか、ということも大きな目標になっています。
ちなみに、トゥインキーというのは、ウン十年経過しても腐らないという伝説的なお菓子となっており、アメリカでは超有名なものとなっております。
日本では、ほとんど出回っておりませんが、それはそれはおいしいそうで、作中でもできてますが、そのトゥインキーを油で揚げたフライドトゥインキーなるものまで存在するぐらいですから、もう、察して余りあるお菓子といえるでしょう。
そんな相棒とともに、彼らは、エマ・ストーン演じる女性ウィチタとその妹と出会ったりして、恋をしたりするのです。
この世はゾンビランド
本作品が、他のゾンビものと違うのは、この作品は、ゾンビで荒廃した世界でありながら、登場人物たちが、ゾンビ化した世界を楽しんでいることでしょう。
彼らは、パシフィックランドというアミューズメント施設へと向かいます。
実は彼らには悲壮感はなく、人がいなくなったセカイで、それなりに楽しんだりしています。
無人となった雑貨屋で、店をむちゃくちゃに壊してみたりして大笑いです。
ちなみに、ゾンビ化前の世界では、主人公は、引きこもりの男であり、タラハシーは、家族を亡くした男でもあります。
ウィチタたち姉妹は、詐欺をしながら全国を渡り歩いており、はっきりいって、ゾンビ化以前の世界に、彼らに居場所があるわけではなかったのです。
そんな彼らが偶然出会い、生き延びて、疑似家族のようになっていく姿はほほえましいものがあります。
そして、彼らは、そのゾンビランドと化した世界を楽しみながら、でも、危なく死にそうになるのです。
ヒーローになるな
ネタバレはもう気にしないで書きますが、チェリーボーイであるコロンバスは、あっという間にウィチタに惚れてしまいます。
でも、強烈な人間不信をもつ二人は、なかなか接近することができません。
そんなコロンバスは、ピエロが怖いというクラウン恐怖症ですが、自分のルールや恐怖を打ち破って、彼女を助けるというところが描かれます。
一応、これは、現実で疎外されていた人たちが、ゾンビランドで、成長しながら旅を続ける物語となっており、ゾンビものにありがちな、どこか心が重たくなるような、あるいは、俺たちの戦いはこれからはじまる的なものではないところが面白い点です。
ビルマーレイを忘れない
あと、本作品では、ビル・マーレイがものすごくプッシュされています。
ビル・マーレイといえば、もちろん作中でも紹介されている「ゴーストバスターズ」は言わずもがなといったところですし、同じ日を繰り返しながらも、最後には本当の自分に気づき町の人たちを救う「恋はデジャヴ」なんかも有名です。
そんなビル・マーレイが本人役ででてきて、登場人物たちがめちゃくちゃビル・マーレイを好き、という謎展開は、映画愛なしにはみれないところでしょう。
とにかく、ゾンビランドを楽しんでいるのが本作品なのです。
他オススメゾンビ映画
ゾンビ世界を良くも悪くも楽しむという点では、「ショーン・オブ・ザ・デッド」をはずすことはできないでしょう。
ジョージ・A・ロメロ監督「ドーン・オブ・ザ・デッド」のパロディであり、アメリカ人がなんとなくいってしまうショッピングモールに対して、イギリス人は、パブにいってしまうという心理をおもしろおかしく演出したゾンビ映画となっています。
ゾンビものというのは数多くありますが、好きな人物が死んでしまうとやっぱり悲しくなるものです。
ですが、本作品は、ビル・マーレイは別として、安心してみることができるゾンビ映画となっていますので、ウイルスがまさに世界を侵食している今、明るい映画をみるのもいいのではないでしょうか。
以上、ゾンビウイルスで世界崩壊。ルールを守る男「ゾンビランド」感想でした!