2017年映画9本 シネマトブログ振り返り!
2017年も色々な映画が公開されましたが、当「シネマトブログ」でも紹介した作品について、改めて振り返ってみたいと思います。
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ドント・ブリーズ
デトロイトという町の中で、貧困と戦う若者たちと、悲しい思いを胸に自分の悪魔的な所業を正当化する老人の攻防を描いた作品です。
デトロイトという町は、その特異性から、いくつもの映画の舞台になっており、ドント・ブリーズという映画の中でもその舞台設定が生きているところです。
小金をもっている盲目の老人を襲ってみたら、返り討ちにあって、しかも、とんでもないことになってしまった、というホラー映画です。
サム・ライミが製作にかかわっていることから、恐怖の中にあるギャグセンスにも注目したい作品です。
これをみた貴方は、息ができなくなるかもしれません。
沈黙 サイレンス
マーティン・スコセッシ監督による壮絶なまでの信仰の物語。
窪塚洋介演じるキチジローが物語にとってものすごく重要な役割となっている点、小松奈々といった日本の俳優が演技をしてくれるというところもポイントが高い作品となっています。
宗教弾圧という歴史の中で、それでも信仰をやめない日本人の姿勢。
神の実在について厳しくも問い詰める作品となっています。
もしも、自分が踏み絵を踏めば赦してやるといわれたら、踏まないで死ぬことができるのか。
当時の日本人に対する圧倒的な弾圧の中、次々と死んでいく切支丹。
にもかかわらず、神は沈黙を保つのはなぜか。
その矛盾の中で苦しむ主人公が、踏み絵を踏み続けるキチジローと過ごす中で見つけた答えとは。
圧倒的なスケールで描かれる沈黙ーサイレンスーは一見の価値がある映画です。
ラ・ラ・ランド
2017年に公開された映画の中でも話題沸騰した作品です。
ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンによるすべての夢を追う人にむけて送られた映画です。
ミュージカルという形式でありながら、自然な入り方が特徴的であり、夢を叶える大変さと辛さを描いた作品です。
歌とダンスだけでも見所満載ですが、夢を追い続けることに疑問を感じたときに見ると、勇気をもらえる作品といえるかもしれません。
お嬢さん
「秀でた美しさでごりゃいます」
という胡散臭い日本語で語られる物語。
世間知らずのお嬢さんと、お嬢さんを騙すためにやってきたメイドとの、耽美でエロスな世界が特徴的です。
昔の貴族の醜悪な遊びや、その中でも失わない魂の気高さを感じさせる作品となっています。
また、和洋折衷の洋館や、小道具なども見所満載ですし、海外の映画でありながら、普段では絶対に聞くことのない卑猥な日本語をスクリーンで聞いて気まずくなる作品でもありました。
メッセージ
サピア=フォーフの仮説と呼ばれる、人間の思考はその言語に支配されるという仮説をもとに、宇宙人の言語を学んだ人間は、どのように進化していくのか、というものが描かれた作品です。
宇宙人とのファースト・コンタクトものというのはいくつもありますが、本作品は、非常に面白いアプローチで物語を展開しており、言語の違いも含めて、それぞれの国で、宇宙人に対する対応が違っているという点も面白い試みでした。
ヘプタポッドと呼ばれる宇宙人達の意匠も面白く、未来も過去もない、まったく異なる思考形態の存在とコンタクトをとるという点が素晴らしいところです。
SF作家であるテッド・チャンの「あなたの人生の物語」が原作であり、SF映画としてもものすごくレベルの高い作品となっています。
美しい星
三島由紀夫が原作の「美しい星」を、吉田大八監督が映画化。
父の誕生日には家族で集まってレストランで食事をする、という家族という形を保ちながらも、誰も家族のことをわかっていないという皮肉にあふれた作品です。
自分が金星人だとか、水星人だとか、家族のそれぞれが中二病的な設定にとりつかれて、周りをおかしくしていくのですが、最終的には、家族は一つの事柄にむかって団結していきます。
家族の誰かが「俺は、金星人だ!」と叫んだとしても、この映画をみた後であれば、わかるかもしれません。
ハクソーリッジ
前田断崖と呼ばれる切り立った崖での戦闘がメインにすえられたのが本作品。
戦争という異常状態の中にありながら、「汝、人を殺すことなかれ」という言葉を守って、人を殺さないままに戦争で仲間を救った青年の物語が描かれています。
人を殺すための戦争で、父と子の確執、自分の信念を守ることの大変さを描いています。
また、日本人がとにかく恐ろしく描かれているのも特徴的です。
神出鬼没で、なかなか死なないという点や、火炎放射器の威力を示した作品でもあります。
メル・ギブソン監督の、キリスト教的な寓話がちりばめられた作品となっています。
ベイビードライバー
完璧なまでの音と映像のマッチング作品。
音楽に合わせてカーチェイスが行われ、子供の頃に事故で耳に雑音が入ることから、常にアイポッドを聞いている主人公が活躍します。
リズムに合わせて物語が進むことから、とにかく気分よく見ることができます。
ゲッタウェイドライバーと呼ばれる、銀行強盗などの逃がし屋をやっているベイビー君が、組織から抜け出そうとするものの、結局、抜け出せないというジレンマもしっかり描いています。
エドガー・ライト監督の特徴として、自らの犯した罪にはきっちりと方をつける、というラストもまた他の映画と一線を画するところです。
アトミック・ブロンド
シャーリーズ・セロンが、東西冷戦下のドイツにおいて、対立するやつらをばったばったと倒していく、女性主人公のアクション映画です。
ただし、華麗に倒すのではなく、泥臭く倒すところがポイントです。
身近にある道具や、高低差を利用したりして、か弱い女性であっても、大男を倒すことができるという点を、徹底的に研究して行われた珍しいアクション映画です。
ボロボロになりながらも、戦いからは逃げません。
どこまでも、泥臭く戦います。
決して、華麗なスパイ映画ではありませんが、現実の中の戦いをみせつけられる作品となっています。
さて、シネマトブログで取り上げた2017年作品は以上となります。
ラ・ラ・ランドといったブームを起こしたものもあれば、メッセージといった良質なSF作品がだされるなど、バラエティに富んだ作品が見られたところです。
「ダンケルク」は紹介しませんでしたが、「ハクソーリッジ」も含め、戦争映画に対しても注目の度合いが高まった年だったのではないでしょうか。
各映画のあらすじだけをざざっと紹介しましたが、気になった方は各記事のほうも参考にしていただけると幸いです。
以上、「2017年映画9本 シネマトブログ振り返り!」でした!!