シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

2016年映画10本 シネマトブログ振り返り

noir city

2016年も当シネマトブログでは、新旧問わずに色々な映画を紹介してまいりましたが、本ブログで今年公開され、本ブログでも掲載した映画を改めて紹介していきたいと思います。

 

スポンザードリンク

?

 

イットフォローズ

「それ」がゆっくりとやってきて、やがて「それ」に殺される。

その運命から逃れることができないながらも、生きていく主人公たちを描く。

ホラー映画をつかって、青春や生きることの残酷さを描いた作品です。

人間は誰しもが「それ」から逃れることができない。

制作費が2億円たらず、という映画の制作費としては非常に少ない額ながら、設定の妙によって、スマッシュヒットした斬新なホラー映画でした。

でてくる怪物のような「それ」が、だいたいだらしない格好をしているのがポイントです。

  

cinematoblog.hatenablog.com

 

セーラー服と機関銃 -卒業-

 

セーラー服と機関銃といえば、相米慎二監督、薬師丸ひろ子主演の映画としてカルト的な人気を誇る映画です。

「カ・イ・カ・ン」

といいながら、大人たちが大切にしてきたものを機関銃でぶっぱなしてしまう、という爽快感が素晴らしい作品でしたが、2016年には、橋本環奈が主演でリメイクではなく、原作の「セーラー服と機関銃」のその後の話を描く、というひねった続編として製作されました。

橋本環奈の女優としての演技が素晴らしい一作です。

角川映画40周年記念ということもあって、力の入った作品ではありますが、相米慎二と見比べることで、また、色々と思うところがあるのも面白いかと思います。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

レヴェナント 蘇えりし者


レオナルド・ディカプリオがとうとうアカデミー賞主演男優賞をとった、ということでも話題になったのが本作品でした。

実際の雪山で撮影され、凍傷になりながらの撮影だったということからも、過酷なロケだったことがわかる作品です。


物語は、ディカプリオ演じるヒュー・グラスが、熊に襲われて大怪我をしながら、息子を殺した男への復讐のため、あらゆる手をつかって復活し、追い詰めていく、という物語です。

プライベート・ライアンを思いこさせるとんでもない戦闘シーンと、生きるために工夫をこらしながら地面を這いずるディカプリオの活躍には、目を見張ります。

「息が続く限り、戦い続けろ」


神の気まぐれとしか思えない仕打ちを受けながら、それでも、ディカプリオは戦い続けるのです。


大自然を前にしたとき、人間とはあまりにちっぽけな存在だということがわかる、自然VS人間の物語となっています。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

ズートピア


ディズニーが誇るCG映画です。


様々な動物たちが一緒にくらす世界ズートピアで、ウサギで、女の子の新人警官ジュディが、偏見と戦いながら、夢を叶えることができるズートピアで、成長していく物語です。

ズートピアは、多民族国家であるアメリカの象徴のような世界となっており、動物たちの種別そのものが、偏見とつながっている、というところも見所です。


また、バディものとしてみても面白く、詐欺師だという偏見をもたれるキツネと、可愛らしくて非力という偏見をもたれるウサギの二人が、いがみ合いながらも、お互いを理解していく、という姿は、差別や偏見が強くなっていく現代においって、意味がある映画であり、かといって、そんなややこしいことは考えなくても、楽しめる映画になっています。


職業に対して考える映画ともなっており、自分がたとえ不遇な目にあったとしても、その中で、楽しみながら生きることの大切さを教えてくれます。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

デットプール


第四の壁を越えるマーベルコミックのヒーロー、デットプールの物語。


不死身の彼ですが、顔がぐしゃぐしゃになってしまったことで最愛の彼女に会うことができないでいます。


音楽の使い方が面白く、主人興が拷問されてボコボコになっていくシーンなどには、「彼を見たことないぐらい可愛くしてよ」と唄われるミスターサンドマンといった曲が流れる等、ユーモア溢れる選曲になっています。


うがった見方をするのであれば、自分が醜いと思っている男が、そんなことはどうでもいいと言ってくれる彼女に心を許し、改めて愛を語る、という物語とみることもできる作品です。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

シン・ゴジラ

 

庵野秀明監督にして、日本の映画を変えた作品と言ってもいいのではないでしょうか。

新世紀エヴァンゲリオンの監督がつくるゴジラ、ということで、期待と不安がいりまじった中でしたが、その圧倒的な情報量と、物語によって見るものは引き込まれます。

 

岡本喜八監督「日本の一番長い日」や初代「ゴジラ」などをベースにしつつ、日本にゴジラという災害がやってきたときに、日本政府はどのように対応するのか、ということを、3・11で行われたやり取りを参考に、コミカルに、そして綿密に描いた作品です。

「日本はまだまだやれる」

日本への希望を込めた作品でもありました。

ゴジラというネームバリューも大きいものではありましたが、それ以上に、テンポがよく、最終的にゴジラが日本の再生の象徴になっていく、という皮肉は胸に迫るものがあります。

  

cinematoblog.hatenablog.com

 

ゴーストバスターズ


女性三人を主人公に変更した、大人気映画「ゴーストバスターズ」のリメイク。

最近流行のリブートものといえるでしょうか。

設定を引き継ぎながらも、一からやり直す、という手法です。


現代風にアレンジされており、中二病的にゴーストの研究をしていた女性科学者が、過去を捨てきれずに、やっぱり大好きなゴーストに向かっていってしまう、という話しになっています。


ゴーストを退治する物語ではありますが、自分が大切にしていたことを取り戻す物語としてもみることができる作品でした。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

君の名は。

 

今年の邦画の、特大ヒット映画といえるのではないでしょうか。

アニメ映画といえば、スタジオジブリ作品しか観客が入らない、というイメージが一気に覆されたある意味において記念すべき作品です。

監督である新海誠監督は、上手くいかなかった青春を描くことが多い監督でしたが、「君の名は。」では、SF的な要素を取り入れつつ、二人がお互いの名前を問いかける、ということで、大団円を迎える内容になっています。


中国でもヒットし、日本のアニメ映画は、スタジオジブリ以外でも戦える、ということを示してくれた作品でもあります。


この作品は、3・11を扱った震災映画とも呼べるものであり、人々がどのようにしていけばいいのか。時空を越えて結ばれる男女の青春ともに描いています。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

この世界の片隅に


今年は、アニメ映画が大豊作でした。


こうの史代原作「この世界の片隅に」は、クラウドファンディングによる出資の力もあって映画になった、観客とアニメ会社が一体となってできあがった作品です。

昭和の時代を生きる平凡な女性、北條すずさんが、時代の流れの中で翻弄されながらも、日々を楽しく生きようとする物語です。


アニメーションの素晴らしさや、徹底的なまでに取材されて作りこまれた舞台は、当時の生活を知っている人であれば、あるほど感動の度合いは大きくなること間違いありません。


「困ったねぇ」

といいながら、力強く生きる一人の女性の物語、戦争映画ではなく、これは昭和を生きる女性の健気に生きる様が描かれる、傑作中の傑作です。

もし、2016年で見ていないものがあるとしたら、何よりも先にこの映画を優先してみてもらいたいと声を大にしていえる作品です。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

神様メール

 

ベルギーの映画監督ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の最新作。

「神ははじめにブリュッセルを作った」

パソコンで人間を管理する神に反抗した娘の物語です。

神にも関わらず、昭和の男尊女卑丸出しの父親のような神様が、人間界におりていったら、散々な目にあった、というコメディ映画です。

寿命がわかってしまったら、人間はどのような行動をするのか、ということを描きながら、神の娘であるエアが人々の間をめぐっていきます。


最終的には、おかんがもっともすごい、ということがわかる、ある意味において、肩の力が抜けた作品となっていますので、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の作品を一通りみたあとで視聴すると、一層楽しめる作品となっています。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

以上、2016年にシネマトブログで紹介した映画10本でした。

 

ざっとしたあらすじや感想だけを書きましたので、それぞれ気になった方はその先の記事を見ていただければありがたいです。

日本映画の中では、「シン・ゴジラ」などの今までになかった風が吹き込まれ、アニメ映画では「君の名は。」「この世界の片隅に」といった、スタジオジブリの元スタッフが多数在籍しているという理由もあって、非常にクオリティの高い作品が生み出されているという実態がわかるところです。

 

以上、「2016年映画10本。シネマトブログ振り返り」でした!

 

スポンサードリンク