シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

中二病は止まらない。リブート「ゴーストバスターズ」2016年版  

「ゴーストバスターズ」オリジナル・サウンドトラック


ゴーストバスターズといえば、海外ではいまだにゴーストバスターズの衣装で活動している人もいるという根強い人気がある作品です。

1984年に公開され、新作が公開されないままにきてしまった本作品が、満を持して公開されたことから、第一作目と比較をしながら、ゴーストバスターズに迫ってみたいと思います。

リブート!

本作品は、リブート作品と言われています。

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最近、はやりつつある手法ですが、簡単に言いますと、設定を引き継いで一からまたやり直した作品のことだと思っていただければ大きな間違いはありません。


バットマンシリーズは頻繁に行っていますし、アメイジングスパイダーマンなんかもリブート作品の典型といえるでしょう。

 

 

シリーズものの作品は、年月がたつと新規にその映画のシリーズに触れる人間が少なくなってしまう傾向にあります。

そのため、物語を一番はじめに戻して再スタートを切りますよ、というのがリブート作品の狙いなのです。

本ブログでも紹介した、ターミネータジェニシスがこれにあたります。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

リメイクとは何が違うのか、という点ですが、リメイクは、基本的な物語に変更を加えることはありません。演出によって、本来の話を膨らませてみたり、現代風にアレンジしてみたりするという意味合いが強いです。


巨匠ヒッチコック監督による「サイコ」に代表されるような、ガス・ヴァン・サント監督がまるまるリメイクし、内容がそのままで綺麗になりました、というもの。

本ブログでも紹介した、ジョン・カーペンター監督がリメイクした「遊星からの物体X」なんかも、もととなる作品が存在する映画です。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

数え上げれば、キリがなくなってしまいますが、物語の基本的な流れはかわりません。


リブートは、もととなる作品の設定を受け継ぎながら、自由度を高く変更し、同じ部品をつかってつくりなおすイメージとなります。


この場合、前作のファンも見てくれる可能性が高まりますし、気になっていたけれど古い作品だからと敬遠していた人たちが、ファンになってくれるという場合も想定されるため、出資者が大きなお金をだすことになる映画で、やりやすい方法なのです。

 

中二病だって退治したい!

それでは、リブートされた「ゴーストバスターズ」は、どんな点が変わっているのでしょうか。


知っている方が大半だと思いますが、今回の主人公は女性です。

第一作目は、冴えないおじさん4人組が、ゴーストを退治する話でしたが、人物そのものを変更している点はかなり大胆な変更箇所です。


根強いファンが多い作品だっただけに、賛否両論あるようですが、彼女らがどうしてゴーストを退治にするようになったのか、という点など、アレンジが加えられています。


主人公の一人であるエリンは、コロンビア大学で終身雇用されるかどうかの微妙な時期です。

アメリカでは、大学に勤めている中で、終身雇用という制度があり、終身雇用されるかどうかで人生が大きくかわるといっても過言ではありません。

ただし、大学側でも変な人間を終身雇用したくないので、身辺がおかしくないか、大学にとって有益な人物であるか、というのが審査されるのです。

そんな微妙なタイミングで、エリンは、「貴方の書いた本について聞きたいのですが」と声をかけられます。


それは、「過去からのゴースト」という著作です。


エリンにとって、それは中二病を併発していたときに書かれたものであり、消したい過去でした。

非常に大切な時期である彼女が、昔、ゴーストを研究していて本までだしていたなんてことがわかったら、終身雇用などできません。


その本の出版をやめてもらおう、とするところから物語ははじまります。

 

 

好きなものはとめられない。


えてして中二病というものは痛いものですが、この作品では、中二病的なものをいいものとして描いています。


エリンは、ゴーストを研究していた頃の自分を消し去ろうとしていましたが、結局、引きづりこまれてしまいます。


はじめこそ避けようとしていた彼女ですが、本物のゴーストと出会うことで、本当に自分が好きなものを、再び好きになっていく、というストーリーになっているのです。


第一作目の主人公たちにしても、彼らは自分が好きなものに対しては情熱を注いでいます。


リブート作品の中でも、彼女たちの情熱が本物であることが伝わってきます。

 

男女がかわると、かわること

 


主人公たちを演じるのは、女性コメディアンの人たちです。


女性ならではのギャグというのが会話の中で多くなっており、観ている人が男性が女性かで、多少印象が異なるかもしれません。


今回は、女性が主人公ということもあって、受付に男を雇います。


そこで来たのは、ムキムキの身体で、しかもさわやかで可愛い男の子です。


エリンは一目見ただけで「採用よ」と言いますが、他のメンバーは慎重です。


結果として、その受付の男は、電話もまともにとれない、常識もない、ただかっこいいだけの男なのですが、なぜか憎めないところがたまりません。


飲みかけのコーヒーを、ついつい飲んでしまうエリンなどをほほえましく観れるかどうかが、この作品のギャグを楽しめるかどうかの分かれ目といえるでしょう。


そんなギャグどうなんだろうか、という人もいると思いますが、これは可愛い女の子だったら、メロメロになってしまうという男性側の心理をついたギャグを、女性側に裏返しただけだと思っていただければ、何も違和感なく楽しんでもらうことができると思います。

 

作中での彼女たちの扱いが、また異なるところも気になります。

男女がかわったから、なのかわかりませんが、一作目とは違って、それほど作中の世間で注目をあびません。

youtubeなどで映像が公開されているにも関わらず、事実上黙殺されているという点が異なり、1984年当時とはあきらかに異なる雰囲気が映画でわかるところです。

 

ゴーストたち!


ゴーストバスターズといえば、やはりゴーストです。

今回も、ゴーストがでてきます。

一作目でも人気を博したキャラクターマシュマロマンは、ほとんど友情出演ぐらいの活躍ですが、しっかりでてきます。

また、食べ物をあさる緑色のゴーストは、今回、彼女(?)と思われるゴーストと一緒に、青春を謳歌するかのうように動きます。

ちなみに、その彼女のゴーストの髪型が、映画「ヘア・スプレー」にでてくる主人公の髪型になっております。

 

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この作品では、ところどころに他の映画の話をコネタとして入れてくるので、映画を知っていればくすりとくるところも多いかもしれません。


ついでにいえば、一作目のゴーストバスターズの出演者たちもしっかりカメオ出演しているので、好きな人は是非注目していただきたいと思います。

 

みどころ!

1984年版でも同じく、冴えない主人公たちが、冴えない道具をもって戦う、というところに一種のカタルシスがあります。


お馴染みの、ゴーストを捕獲する機械からビームを発射。

襲いくるゴーストを新兵器で次々と倒していくのは、痛快です。

また、一作目との類似点を時々みせてくるのも、にやりとできるポイントです。

一作目は、消防署あとを事務所にしますが、今回は、中華飯店の二階に間借りします。


これは、中国市場に向けたPRもかねている可能性があるのを感じられて、販売戦略がわかる設定となっています。


ゴーストバスターズのテーマソングもしっかりかかりますが、目一杯流れてくれないのはやや残念ではあります。

 

この作品は、おばけがでてくるコメディ映画です。

そのため、難しい問題などは考えず、冴えない女性主人公たちが、好きなもののために頑張っていく姿を観るのがいいと思います。

 

主人公のエリンが、ゴースト研究という自分が好きなものを捨てることで失ったものを、ゴーストによって再び取り戻す物語なのです。

あきらかに、2作目が存在するつくりとなっておりますので、リブート前の「ゴーストバスターズ」も観ながら、ゴーストバスターズの最新作を気にしてみるのもいいのではないでしょうか。

 

以上、中二病は止まらない リブート「ゴーストバスターズ」2016年版でした!

 

1984年版のゴーストバスターズについては以下の記事があります。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

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