シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

広瀬すず主演オススメ映画 チアダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

 

本作品は、2009年にアメリカのチアダンス選手権大会で優勝をした実際の話を基にして映画化したものとなっています。

物語として演出はあるものの、青春とはどうあるべきか、人間というのは熱中するものがあることでどのように変わっていけるのか、ということを描き出した、青春映画の良作となっています。

広瀬すずが主演をしており、ちょっと、若い子たちのおちゃらけた映画だと思って見逃していたらもったいないので、本記事で魅力の一端を解説してみたいと思います。

 

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漫画のような始まり方

チアダンは、漫画化までされております。土屋太鳳主演でドラマ化もされていますが、映画の導入部は、漫画的な演出が強めになっています。

天海祐希演じる早乙女先生が、「違反したものは、地獄に落ちなさい!」
といった瞬間、教室内に雷がおちてみたり、動くときに妙な効果音がしてみたりと、出演する人物たちのリアクションがいちいちわざとらしかったりするところではありますが、その演出も気にならなくなっていきます。

また、主演の広瀬すずの演技が自然であり、漫画的な不自然さがあるにもかかわらず、いたって問題なく感じさせてくれる点については、演技力の高さと思うべきでしょう。


広瀬すず演じる主人公は、サッカーに打ち込む意中の男がおり、チアダンスへの興味ではなく、国立競技場で応援するために、チアダンス部に入ろうとするかなりよこしまな少女です。


ただ、入りかたこそよこしまなですが、恋愛とかにしか興味がなかった少女が、チアダンスを通じて情熱に目覚めていきます。

 

青春にいけなかったものたち


「チアダンス部は、アメリカを目指しています。私たちは、アメリカにいき、そして、全米大会で優勝します。全米を制覇します」

「国立競技場で十分なんですけど」

広瀬すず演じるひかりは、つぶやきます。


ちなみに、本作品の舞台は、福井県です。

恐竜等の化石発掘においても一大産地と知られる場所ではありますが、日本国内の中では、それほど派手な県ではありません。


そのため、自分たちが福井であることを自虐的に語ってみたり、福井弁を恥ずかしがるそぶりをすることが多々あります。

「ほやね」

福井弁は独特なイントネーションで癖になります。

田舎出身であることを恥じる彼女たちが、アメリカで福井弁を話してやると意気込むあたりは、見ていて胸が熱くなります。


むしろ、地方の出身だ、という精神こそが、彼女たちをより高みへと押し上げる原動力になっているところも本作品の見所です。


広瀬すず演じる主人公や、チアダンス部で粘り強く残る生徒たちは、徐々に自信をつけていく中で、本作品は、青春にのれなかった人たちもきちんと描いています。


主人公ひかりもまた、本来であれば、青春に打ち込むことができなかったはずの人物ですが、チアダンスと出会うことで才能を開花させていきます。

青春もの

青春ものの映画は数多くありますが、本作品を気になった方は、以下の映画もオススメです。

アカペラサークルにはいった主人公が、でこぼこな仲間たちと全国大会目指して奮闘する「ピッチ・パーフェクト」。
音楽ディレクターになるから大学は父親の顔をたてるために入ったにもかかわらず、アカペラにのめりこんでいく主人公の成長が描かれます。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

少し古い映画であれば、問題児ばかりの弱小チームベアーズが活躍する「がんばれ!ベアーズ」なんかも、個性的な仲間たちが協力しあって勝利を勝ち取る作品となっています。

 

がんばれ!ベアーズ (字幕版)
 

 
邦画であれば、妻夫木聡が初主演を果たした「ウォーターボーイズ」も有名です。

 

ウォーターボーイズ [Blu-ray]

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いずれにしても、もともと興味がなかったにもかかわらず、なし崩し的に参加した結果、打ち込めることに出会うことができた人たちを描いています。


青春映画のいいところは、入り口はそれほど重要ではない、ということではないでしょうか。


チア☆ダンにおける主人公のひかるもまた、たんに好きな男を応援したい、という思いから始まったものではありますが、「笑顔だけはよかった」といわれメンバーの中心人物になっていきます。


たとえ、入り口がおかしくとも、何かに打ち込むことができる、ということが大事なのです。

 

恋愛映画ではない。

広瀬すず演じるひかるは、サッカー部の男を応援するためにやっていましたので、あまり相手にされていないことに気づくと、すぐに部を去ろうとします。

アメリカなんかどうでもいいし。福井のほうが好きやし。やめるわ」


しかし、中条あやみ演じる彩乃に

「一回だけいいから。一曲通して踊れば、チアダンスの魅力がわかるから」


と言われて、しぶしぶ最後まで踊ることになります。


そして、ひかりはチアダンスの魅力に気づいていき、やがてサッカー部の男子にふらつかなくなっていきます。

一方で、サッカー部の男は、PK戦に失敗したことで自信を失ってしまい、サッカー部からいなくなってしまいます。

そのときに、ひかりのことを遊びに誘いますが、ひかりはチアダンスに情熱を注いでおり、サッカーから逃げた男に寄りかかられても、ふらつかなくなっています。


何か打ち込めることがあることで、挫折した人間を勇気づけることができたり、まわりをかえていくことができるという前向きな思いも教えてくれる、恋愛映画ではなく、まさしく青春映画となっています。

 

青春を笑うな

「笑われてた?」

「知らんかった? みんなに笑われてたで。どなられてるだけやし。いけてないのぉ」

「いけてるとか、いけてないとか。関係ないが、そんなの」

 そう、笑われたって関係ないのです。


「チアダン」のよいところは、夢をもった人間を応援する映画であるということです。


天海祐希演じる先生が「自分の大きな夢を書いて」といいます。


福井県の高校の生徒たちが、アメリカのチアダンスの大会で優勝するというのは、笑われてしまうかもしれない夢です。


「とんでもない場所にたどり着くための方法はただひとつ。日々の積み重ねです」


人生に裏技などありません。

ですが、何が大切なのかをしっかり教えてくれます。

立場によっての苦しみ。

主人公の成長ももちろんすばらしいのですが、脇を固める人たちの立場によって考えが異なるという点もよくできています。


中条あやみ演じる彩乃は、もともとお嬢様気質ではあるものの、部長に任命されてしまったために、重責を背負うことになります。

わざと部員に厳しくしたりすることがでてきますが、その苦悩を主人公のひかりは後から知ります。


語られてはいませんが、夢ノートのページが破られて、テープで張られています。

そこのアイテムから、彩乃の苦悩がどれほどのものだったのかがわかるようになっています。

先生もまた、本来は涙もろい人物なのに、生徒たちに大きな夢をもってかわっていってほしいという思いの中で、立場を意識してこらえているところが見られます。

主人公たちを支える大人たちも含めて描かれている点は、多少余計な部分があるように思うものの脚本として面白いところです。

ちなみに、蛇足ですが、天海祐希専門のスタイリストがスタッフロールにでてくるあたりもすごいところです。

青春の光と闇

本作品は成功した人間の物語ですが、成功できなかった人物を描いているという点でも優れています。


サッカー部の男は、国立競技場にいくのが夢だったはずなのに、結局負けてしまって、チアダンス部の応援を受けることができませんでした。

「あたしは世界を目指す。あたしはあんたらとは違う人間やけ。あんたらが逆立ちしたってできないことやってやるけ」

といって、チアダンス部を去っていった女生徒は、結局何者にもなれず、チアダンス部の活躍を見るだけの立場になっています。


情熱を注いだからといって成功するとは限りません。


主人公のひかりもまた、怪我によってダンスの完成度があがらず、メンバーからはずされてしまったりします。

残酷だけれど、そんな真実もしっかり描いています。


ストーカーか一途か

「付き合ってください」

といって、中条あやみ演じる彩乃に何度も告白する男子がいます。

たんなるミーハー野郎かと思うところですが、彼は変わっていきます。

はじめの理由こそよくわかりませんが、彼女のことを理解しようとしはじめ、最終的には、彼女と話ができる人間になっていきます。

一歩間違えばストーカーですが、誰かを外見ではなく、中身で見ていこうとするということを教えてくれたりする場面もあるのが、面白いです。

 

明るく素直に美しく

チア☆ダンは、広瀬すずの魅力がわかる作品であると同時に、青春の光と闇、何かに打ち込むことで人は変わることができるということをあらわした、よくできた作品となっています。


少なくとも、彼女たちが成功したのは、掛け声のとおり「明るく素直に美しく」を実践したからに違いありません。


以上、広瀬すず主演オススメ映画 チアダン 女子高生がチアダンスで全名制覇しちゃったホントの話でした!!

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