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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

映画で見る明友会事件の裏表~裏篇~ 『実録外伝 大阪電撃作戦』(1976年)

ニャロ目 邦画 中島貞夫 任侠・やくざ映画 松方弘樹

今回は松方弘樹主演、中島貞夫監督・高田宏治脚本の『実録外伝 大阪電撃作戦』を取り上げます。

やくざの抗争事件の中に明友会事件というものがあり、大阪の愚連隊である明友会がそれとは知らずに山口組三代目にいちゃもんをつけ、そのために討伐隊が結成され、非常にスムーズに明友会が滅ぼされました。

これがきっかけで山口組の全国進出がはじまったといわれております。

実録やくざ路線をつき進んでいた東映は当然この事件を映画化。本作でもメインに扱われています。

明友会事件とは?

明友会事件についてさらに説明しておきます。

 

 舞台は1960年の大阪。当時の大阪には戦後に現れた新興ヤクザが群雄割拠しており、柳川組をはじめとする山口組系の組織もいましたがどれも決め手にかけ、大阪一帯を取り仕切るような組はありませんでした。

しのぎを削っている組の中に在日朝鮮系のチンピラっが集結した明友会がありました。彼らは千人軍団と呼ばれており、姜昌興がトップをつとめ、ほとんどの組員が胸元に髑髏などの刺青を入れるなどしてミナミで乱暴狼藉を働いていました。

 

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8月9日、ミナミのサパークラブ「青い城」で当時の人気歌手を連れて飲んでいた山口組三代目、田岡組長に明友会の組員が手をだしてしまいます。

これには山口組側も黙っていません。その場では抗争にはなりませんでしたが、幹部たちは報復を決意。田岡組長自身は穏便に済ませてもいいのではないか、という立場だったようですが、大阪制圧の第一歩としてもここで叩いておくべきという幹部の意見を尊重したともいわれています。

関西博徒の諏訪組組長を通じて明友会は和解を提案するも山口側は拒否。

ミナミの旅館に山口組関係者が速やかに集まり、明友会に対する「人間狩り」作戦の会議を開きます。

陣頭指揮を執ったのは若頭の地道行雄。彼は各団体をバラバラに分けた上で4,5人の見知らぬ者同士のグループを10数個作り、それぞれに明友会組員を捜索させ血祭りにあげることを競わせました。

このスピード感溢れる作戦に次々と明友会は狩られていきます。

あまりの暴れっぷりに明友会側は全面降伏。

事件発生からわずか2週間後の23日、旅館にて手打ち式が行われました。姜組長以下幹部が詰めた指を持参するなどまさに明友会側の一方的な敗北。ほどなくして明友会は解散に追い込まれたのです。

 

この事件をメインに取り上げた作品として他に『山口組外伝 九州進攻作戦』(1974年)、『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』(1975年)などがあります。『仁義なき戦い 代理戦争』(1973年)でもチラっとでてきます。

このように何度も実録もののモデルとなっていることから、この事件の衝撃度が非常に高いことがわかりますね。

 

『実録外伝 大阪電撃作戦』登場人物紹介

 さて、本作の内容に入る前に登場人物を整理していきます。

 

明友会は双竜会として登場。

姜会長役は室田日出男(役名は趙)。

主人公の双竜会組員・安田を演じるのは松方弘樹

山口組は川田組として登場。

川田組長(モデルは田岡組長)役は丹波哲郎

地道行雄をモデルとする山地に扮するのは小林旭

山本健一をモデルとする掛田は伊吹吾郎が演じます。

山口組系の柳川組は大東組として登場。

組長大東を成田三樹夫が演じます。

夜桜銀次が元ネタの平田清次役は郷鍈治。

諏訪組組長をモデルとする南原役は織本順吉です。

組員の宮武は梅宮辰夫が、高山を渡瀬恒彦が演じています。

 

というように大きくわけて双竜会ー川田組(と大東組)ー諏訪組という三つの勢力が登場するわけです。

本作は明友会事件を「殲滅」させられる明友会側から描いています(主人公がやられる側ということですね)。

 

やられていくものの美学

脚本を担当した高田宏治は『東映実録路線 最後の真実』の中でこう語っています。

東映が前年に製作した『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』は山口組・柳川組、つまり狩る側の視点から物語を描いている。ならば今回はやられる側のほうから物語を組み立ててみようではないか。それがドラマというものではないか、と。

そして彼の頭の中には、『仁義なき戦い』シリーズを生み出した監督深作欣二・脚本笠原和夫のコンビがあったようです。

本作で監督をつとめた中島貞夫もかつて明友会事件をモデルとした映画を企画しており、中島・高田コンビで『仁義なき戦い』のような名作を作り上げたいと思ったわけですね。

 

その「やられていくものの美学」が結実したのがラスト近くの松方が死亡するエレベーターでのシーン。この松方が演じた役には明確なモデルがいないそうなのですが、それ故にこの凄絶な死に様を作り上げることができたのではないでしょうか。

この絶命シーンは評価も高く、実録やくざ映画全体を通してみても出来がいいです。

この頃の中島監督、主演の松方、脚本の高田、そして東映自体もノリに乗っていた時期で、その勢いが全ていい方向にでた作品といえます。

山口組による明友会狩りの描写も激しいですし、同じ題材で小林旭が主演した『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』よりも実録の度合いが増している感じです。

『実録外伝 大阪電撃作戦』感想・評価まとめ

冒頭からボクシングのシーンが出てくるのですが、このボクシングがいたるところで出てきます。これも本作の特色ですね。殴りあうことで登場人物が仲良くなったり、ジムを別の組に奪われたり、物語上の重要なファクターなんですね。

松方は相手が大物やくざと知って弱腰になる室田日出男に反旗を翻すなど恐れるものなどないという異様な迫力。

そして渡瀬の熱演も見ものです。芸能界喧嘩最強伝説は本当なのではないかと信じてしまうほどの暴れっぷりで、物語に華を添えます。

「やられる側」である松方や渡瀬。全く勝ち目のない戦いにあえて身を投じ、一瞬の美しい輝きを放ちながら滅びていくその姿は、東映実録やくざ路線そのものを体現していたとも言えそうです。

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山口組外伝 九州進攻作戦』の感想はこちら

cinematoblog.hatenablog.com

 

 

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