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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

サヨナラだけが人生だ 『トラック野郎 爆走一番星』(1976年)

菅原文太愛川欽也主演、鈴木則文監督の『トラック野郎』シリーズは東映にとっても、日本映画史にとっても非常に重要な作品です。

 

当時、人気シリーズだった松竹の『男はつらいよ』シリーズのむこうを張って作られたこの作品、全部で10本あります。

 

どれも問答無用で面白く、泣けて、ある一定のフォーマットに従ってお話を進んでいきます。それでありながら、シリーズの後半に入るにつれ「望郷」というテーマも強くなる、というなかなか深い作品でもあるのです。

 

今回は第二弾の『トラック野郎 爆走一番星』を取り上げてみたいと思います。

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『トラック野郎 爆走一番星』登場人物紹介

 

それでは早速、登場人物をまとめてみましょう。

 

星桃次郎(菅原文太)・・・通称、一番星。住所はト○コ風呂。女に惚れやすく、喧嘩っ早いトラック野郎。

松下金造(愛川欽也)・・・通称、やもめのジョナサン。子沢山。元警察官だが今はトラック野郎。

高見沢瑛子(あべ静江)・・・本作のマドンナ。かわいい。太宰治好きな大学生。何かに悩んでいる様子。

ボルサリーノ2(田中邦衛)・・・スーツ姿のトラック野郎。ジョナサンに恨みがあるらしい。

杉本千秋(加茂さくら)・・・バキュームカーの運転手。桃次郎に惹かれる。

赤塚(なべおさみ)・・・白バイ警官。千秋に惚れている。

小野松吉(織本順吉)・・・家に二人の子供を残し、出稼ぎで働く男。

松下君江(春川ますみ)・・・ジョナサンの妻。子沢山。今作でも妊娠中。

片岡(夏八木勲)・・・瑛子は一番星に「兄」と紹介するが実は・・・。

 

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脚本・・・鈴木則文澤井信一郎

日本縦断! 『トラック野郎』はロードムービー!!

邦画屈指のロードムービーでもある『トラック野郎』シリーズでありますが、今回も姫路、長崎、博多などを駆け巡っております。

 

ど派手なトラックを駆る姿は 説明不要で楽しく、たまに休憩所で仲間とだべるシーンもありますがこれも面白おかしい。

 

一つのところにじっとせず、あっちへふらふら、こっちへふらふらするのが映画的で心をぐっと掴んできます。

 

生まれてきてすみません。

『トラック野郎』シリーズというのは乱暴にいうと大体どれも同じ話です。

 

一番星がヒロインに惚れる→ヒロインはヒロインである問題を抱えている→一番星がその問題解決に力を貸す→トラック野郎のライバルが登場する→ライバルとワッパでの勝負(トラックでレースをする)を行う→問題を解決したヒロインは、一番星の前から去る

 

非常に簡潔にまとめるとこんな感じです。もちろん例外もありますけどね。

渥美清主演の『男はつらいよ』も同じように様式化されていますね。

 

さて今作ですが、様々なエピソードが登場します。

 

・一番星が休憩所で働く大学生のヒロインに惚れて見合い写真を撮る。

・ジョナサンが勘違いしてバキュームカー運転手の千秋に見合い写真を渡す

・その千秋に白バイ警官の赤塚は惚れている

・君江は一番星の男らしい部分に惹かれる

・一番星が自分に惚れているわけではないと君江が知る

太宰治が好きなヒロインの気をひこうと急に文学に目覚めたふりをする桃次郎

・ジョナサンと嫁の新婚旅行が延期に延期を重ねていたために家族全員で九州にでかける

・そこで出稼ぎで、家に子供を二人残してきた男と知り合う

・旅行の途中で、その子供二人とも偶然出会う

・ボリサリーノ2と名乗る男が現れ(部下に3と4もいる)、ジョナサンに暴行する。

・ボルサリーノ2が元警察官で違法運転を取り締まっていたジョナサンに因縁があることが判明する

・一番星がボルサリーノ2とトラックで勝負

・ジョナサンとボルサリーノ2が立場や境遇は違えど、同じような苦悩を抱えていたことをお互いに知る

・「兄」とヒロインに紹介された男が、実はヒロインの姉の夫で、二人は愛しあっているもののヒロインがあと一歩踏み出せないでいる

・除夜の鐘を一緒にきく約束をしていた出稼ぎの男と子供たち。しかし、男は金を作れず、子供たちのところへ帰ることができない。そして子供たちのほうも女の子が急病に。桃次郎が男と偶然出会い、事情を知り、無理やりトラックに乗せて家まで急ぐ。

・途中、取締りの警官に捕まりそうになるが、ボルサリーノ2が一番星を助けに入る。

・無事、男を家に届ける一番星。病気で寝ていた女の子も復活。

・白バイ警官は君江を愛していることをつげ、二人はめでたく結婚

・ヒロインも一番星のおかげで勇気を出し、山の測候所で働く男のもとへ。

・ラストへ富士山を映してエンド

 

さよならだけが人生だ

そんな感じで細かいエピソードが頭からお尻までピッチリとつまっているのが本作の特徴です。最後の最後まで観客を飽きさせないサービス精神はまさに見事というほかありません。観客を飽きさせることが決してない娯楽作品になっているのです。

 

鈴木則文監督得意のギャグシーンも冴え渡っています。

 

ダッチワイフを抱えながらトラックを運転する須間田三四郎(山城新伍が演じています。役の読み方はスマタサンシロウ。わりと最低ですね!)。

バキュームカーから汚物が噴射されて頭からもろ被りする一番星。

トイレで紙がなかったから手で拭いたよーといいながらカレーを食べるジョナサン。

知ったかぶりで、太宰は味がおいしいですよね、といってしまう一番星。

バキュームカーの助手で堀釜太郎(ほりかまたろう)という役名のラビット関根(保毛尾田保毛男なみに現代では問題視されそうな役名です)。

 

などなど、どれも最低で最高なキレ味を誇るギャグでございます。下ネタを直球で投げてくる勇気、素晴らしい!

 

他に印象に残ると思われるであろうシーンは、田中邦衛演じるボルサリーノ2がドライバーの休憩所で叫ぶこのセリフ。

(かつて「市民の安全を考えろ」と警官にいわれたことに対し)「この日本に市民なんてどこにいる? いるのは金持ちと貧乏人だけじゃねえか!」

ここはグッときます。

小さなトラックを買うために田畑を売って借金までしたボルサリーノ2。

病気の母親を抱えて、借金を返すために過積載をしながらも懸命に働いていた。

しかし、その違反を見逃してはくれない鬼代官。

その鬼代官こそ、警察官時代のやもめのジョナサンだったのです。

そしてそのジョナサンに嫌みったらしく言われた言葉に時を経て返した答えが上記の言葉です。

仕事を失い、母親までも病気で亡くしたボルサリーノ2の恨みは非常に強く、一方ジョナサンは彼のことを忘れていました。

 

それでもジョサンが警察になったのも何とかして家族を食わせるためだった、許してくれと泣いて頭を下げる様子を見て、ボルサリーノ2は振り上げた拳を下ろすのでした。

 

浪花節は嫌いだぜ」といいながら同じトラック野郎の一番星のピンチにかけつけ、助ける様子にはボルサリーノ2の男気を感じましたね。

 

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『トラック野郎 爆走一番星』感想 まとめ

ギャグがさくさく積み重なるまるでミルフィーユのような『トラック野郎 爆走一番星』。

 

家族愛、複数の恋愛、復讐劇などストーリーそのものも豪華なおせち料理のようにサービス満点。

 

基本的に『トラック野郎』シリーズは話がそれぞれ独立しているのでどれから観始めてもいいと思いますが、初めての方は一作目から順にみていくのが分かりやすいかと思います。

 

一本観始めたら十本目までノンストップで観たくなる『トラック野郎』。

 

未見の方はぜひぜひレンタル屋さんにGO! してください!

 

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