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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

クリスマスの名作ホームコメディ映画/クリス・コロンバス「ホーム・アローン」

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1990年に公開され、クリスマス映画の代表であり、金曜ロードショーなどでもしきりに再放送されるのが「ホーム・アローン」です。

 

実は2012年にはシリーズ完結編と称して、「ホーム・アローン5」までつくられている長寿作品でもあります。今回は、その第一作目について、いかにしてクリスマス映画の代名詞といえる映画になったのか。

また、クリスマス映画の流れを受け継いだ作品であることも解説してみたいと思います。

 

子供が家に、一人

 

ホーム・アローン」は、家族旅行に行く前に、兄とケンカしたせいでおいてけぼりにあってしまったケビンが、家にきた泥棒を退治するという話です。


子供が大人たちを身近な道具をつかって撃退したりする様は、普通にみていても面白いですが、その中には、いくつもの物語が平行して描かれているのも特徴といえるでしょう。


一つは、マコーレ・カルキン少年演じるケビンの成長。

もう一つは、子供を思う母親が、家に無事帰れるか。

最後に、偏屈なじいさんが少年と交流することで、家族と向き合う。


そして、何よりも、「ホーム・アローン」は、クリスマス映画として非常に意識したつくりをしているのが特徴です。

 

 

 

素晴らしき哉、人生。

 

マコーレ・カルキン演じるケビンは、兄とケンカをし、家族から白い目で見られたことで、屋根裏部屋で一人寝ることになります。

 

その際に、

「家族なんて、いなくなってしまえばいいんだ」

と願ってしまいます。

 

夜、ドアにつけられたサンタの顔がついたリースが大写しになり、嵐と共に停電が起こり、主人公の願いが叶えられてしまった、ということがわかりやすく暗示されます。

 

停電の影響で、家族全員寝坊してしまいます。

そのドタバタの中で、ケビンが置いていかれたまま家族は飛行機に乗って、パリへ行ってしまうのです。

 

ケビンは「願いが叶った」と言って喜び、はじめこそ、好き勝手できることに喜びますが、やがて、家族がいないことに寂しさを感じていきます。


さて、アメリカでは、クリスマスには必ずと言っていいほど放送される映画があります。

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その一つが、フランク・キャプラ監督が誇る傑作映画「素晴らしき哉、人生」です。

ご存知の方も多いと思いますが、住宅への貸付を行っている男が、クリスマスの晩に自殺をしようとします。

しかし、そんな男の前に一人の小太りの天使が現れます。

 

『主人公が存在しなかった世界』を見せることで、生きていることの素晴らしさや、人間が生きることで自分が思っている以上に、他人を幸福にしていることを教えてくれる傑作映画です。

主演のジェームス・スチュアートの演技もさることながら、色々な映画に影響を与えた作品でもあります。

 

クリスマス映画の影響

 

「家族なんていなくなればいい」と思ったりすることは、子供の頃であれば、程度の差こそあれ、誰しも一度は思ったことがあるのではないでしょうか。

 

それを実際に叶えさせてしまったらどうなってしまうのか。

そんな恐ろしい願いを、ファンタジー的な道具をつかわないで、「素晴らしき哉、人生」のように実現させたのが、「ホーム・アローン」におけるシナリオのうまいところです。

 

ケビンの家族が見ているテレビが、「素晴らしき哉、人生」であることから、物語の根幹に「素晴らしき哉、人生」があるのは間違いないでしょう。


また、ケビンの姉が「弟が家で一人きりでかわいそう」とか言い出したり、あれほどいじわるだった兄が、物語の最後で、「留守番ご苦労だったな」といった台詞がでてきます。

 

あれほど意地悪だった兄がどうして、そんなことを言うのか。

それは、みんなが「素晴らしき哉、人生」を見て、ケビンがいないという事実がいかに家族にとって大変なことなのか、というのを映画によって教えられたからではないでしょうか。

 

ホーム・アローン」は、クリスマス映画であると共に、クリスマス映画をみた人たちがどうなるのか、ということも見せている作品ともいえるのです。

 

少年の成長

ケビンはかなり早い段階で大人となり、家を守る決意を固めています。


はじめは、家の地下にあるボイラーが怖くてしょうがなかったケビン。


ボイラーが動いて、まるで口をひらいたような動きをみせますが、これは、子供の頃であれば誰しも経験したことがあるだろう、なんだかわからないけれど怖いものの象徴として描かれています。

家の奥のよくわからない暗闇だとか、公園や森の奥、ちょっと例が古いものが多いですが、子供にとっての恐怖の対象、その象徴が、ボイラーなのです。


さらに、物語の冒頭では、自分で自分の荷物をつめることすらできなかった少年が、ボイラーの前で、洗濯ものを取り込みます。

その最中にボイラーが動き出して、ケビンの心が揺らいでいるかのようにみせるのですが、ボイラーに対して「黙れ!」と言っておとなしくさせてしまいます。

自分自身の中にある恐怖に打ち勝つことで、彼が精神的にも成長していることがわかりやすく伝えられます。

 

また、さらにわかりやすく大人になったことを台詞として言っている場面があります。

泥棒が来る前に、ケビンはサンタに会いに行きます。

「34丁目の奇跡」などをみている人はすぐにわかると思いますが、アメリカでは、デパートに専属のサンタがいます。


そのサンタが、子供たちを膝の上に乗せて、子供たちに欲しいものを聞くのです。

それを聞いた親たちが、そのデパートで子供たちが欲しいものを買い、サンタさんからだといって渡すのがアメリカ的クリスマスのプレゼントの流れになっているのです。

 

「34丁目の奇跡」は、自分のことを本物のサンタだというおじさんが、ひょんなことから裁判にかけられてしまい、最終的に、サンタとはどういった存在であるのか、ということ、アメリカの1ドル札から、信仰の根幹までを明らかにする、深いテーマが語られた作品でもあります。

 

 

さて、小さな子供たちは、デパートのサンタが本物だと思っているのですが、ケビン少年は、そのサンタにむかって「ボクは大人だからわかっているけれど、本物のサンタに伝えてくれるかい」
といいます。

「家族を帰して欲しい」

大人になろうとしながら、一方で、どこかでサンタを信じている少年の純粋さが現れる場面であり、さらりとした場面ではありますが、非常に重要なシーンになっています。

 

母親の帰宅


母親が帰ろうとするシーンと、ケビン少年の叫びと連動したカットが面白い演出になっています。


ケビンが、「ママー」と叫ぶと、場面は母のほうへ飛びます。

見ていると当たり前のように感じますが、こうすることで、まるで想いが通じた、というのがより強調されるのが面白い編集です。


ケビンの母親は、帰りの飛行機のチケットを手に入れるために、自分のイヤリングや時計など、あらゆる方法をつかって子供のもとに行こうとします。

家族の絆や、母親がどれほど、子供を大事にする存在なのかということがわかりやすく、描かれていることも、物語の最後のカタルシスにつながってくるところです。

 

マフィアな泥棒

 この物語を決定的に面白くしているのは、愛嬌のある泥棒二人組みでしょう。


その中でも、小柄な男ハリー・ライムを演じるジョー・ペシが、強烈な存在感を示しています。

特に、ホーム・アローンの中では、憎めない泥棒であり、ケビンに一方的に倒されてしまうところから、それほど凶悪に感じない方も多いかと思いますが、それまでに演じてきた役柄を知っていると、より面白く感じるかもしれません。


ジョー・ペシは、マーティン・スコセッシ監督の代表作の一つである、傑作マフィア映画「グッドフェローズ」に出演し、体は小さいけれど、すぐに切れて人を殺してしまうマフィアを演じています。

普段は楽しげに話をしているのに、

「俺を笑ってやがるのか。おい。俺をバカにしているのかって聞いてるんだ!」

と怒り出し、次の瞬間には「冗談だよ」と笑う。

ジョー・ペシグッドフェローズや、あのセルジオ・レオーネ監督の代表作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」などをみて知っていると、ホーム・アローンでほのぼのとやられる泥棒役をやっていることに、凄まじい違和感を感じることができると思います。

 

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 話によると、ロバート・デ・ニーロが、泥棒役として打診されたという話もあるそうですが、いまとなっては、ジョー・ペシでなければしっくりこなかったかもしれません。 

 

クリスマス映画で間違いなし

 

クリスマス映画は、家族の絆を描いた作品が多いです。

その中でも、アメリカ人の血肉ともいえる「素晴らしき哉、人生」や、「34丁目の奇跡」といったクリスマス映画のエッセンスを取り入れながら、子供の成長や家族のあり方を、コメディをまじえながら描いていくという離れ業をやっているのが、「ホーム・アローン」です。

 

なぜか、13日の金曜日になるとホーム・アローンが放送される、ということになっていた時期もありましたが、クリスマス映画としての流れを汲んだ、何度見ても面白い映画です。

 

以上、『クリスマスの名作ホームコメディ映画の定番/クリス・コロンバスホーム・アローン」』でした!

 

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