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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

ぬいぐるみとの熱き友情。大人になるまで待てないver/テッド

洋画 ぺぺろん

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テッド2が劇場公開されましたが、今回は、金曜プレミアムでも放映された「テッド 大人になるまで待てないver」もあわせて紹介していきます。

 

テッドといえば、かわいいクマのぬいぐるみが目を引いて、子供向けのファンタジー映画と勘違いする人もいるでしょうが、実際は、シモネタとギャグ満載でありながら、男の友情と葛藤を描いた名作です。


男同士の友情を描いたブロマンスでもあり、単なるおっさんテディベアというだけの話ではない深くて楽しい内容になっています。

 

「テッド2」のエントリーも書いておりますので、テッド1の記事をみたあとに、見ていただけるとありがたいです。

 

 

イマジナリーフレンド

 

アメリカとか海外の子供達には、小さい頃にたいてい、イマジナリーフレンドがいるようです。

 

イマジナリーフレンドとは、子供の頃に寂しさを紛らわせるために生み出される想像上の友達を指します。

 

お気に入りの人形を友達として扱うっていうのが代表で、大人になるにつれてやがていなくなっていくというのが通常なのです。

 

しかし、テッドは、そのイマジナリーフレンドのような存在が、実際に星に願ったことで、魂をもってしまうというところが発端となります。


オープニングでは、テッドと主人公のジョン・ベネットが、どんな幼少期を過ごし友情を深めてきたのかが、端的にわかりやすく描かれています。

 

そこには、スピルバーグ監督「E・T」のまねをしてみたり、テレビ番組に出演するシーンがあったり、彼女と出会って仲良くなったりと、彼らの人生がダイジェストで語られます。

 

8歳の時に出会い、主人公が35歳になったにも関わらず、子供のときのイマジナリーフレンドがそのままいる。

 

すると、そのテディベアもまた、中年になってしまっていた、というのが、もうみなさんご存知、テッドなのです。

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大人になれない。

 

マーク・ウォールバーグ演じる主人公には、付き合って4年になる彼女がいます。


目がめちゃくちゃでかいミラ・クニスです。


ミラ・クニスといえば、ナタリー・ポートマン主演の「ブラック・スワン」で、黒鳥役として主人公を悩ませ、「寝取られ男の恋バカンス」では、彼女に振られた男を勇気づけてくれる素敵なホテルの従業員としてすばらしい活躍をしている女優さんです。

 

 

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また、原題はExtractという、抽出とか、エッセンス的な意味をもつにもかかわらず、ミラ・クニスの役名を前面にだして「シンディにおまかせ」という日本語タイトルにして、内容とタイトルが乖離してしまうような作品にかえてしまう、とても、魅力的な女優さんなのです。

 

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主人公であるジョンは、彼女のことを愛しているのですが、テッドが結果として邪魔をしてしまいます。

 

これから、いざ大人な行為をしようっていうときに、雷が鳴ります。


主人公は35歳にもなって雷が恐ろしく、また、テッドがベッドにやってきて、二人して歌いだして、おならの音をだす。


これからっていうときにそんなことをやられたら女性のほうも興ざめです。

 

テッドは、大人になろうとする主人公を阻害する存在であり、同時に、悪友であるため、主人公はその間で悩むことになります。

 

誰にでもいる、いつまでもつるんで遊ぶ男友達。

男友達と一緒に遊ぶのは楽しい。

でも、いつまでも、男友達と一緒にはいられない、という葛藤の中で、そういった切っても切れない親友の象徴がテッドというテディベアなのです。

 

だから、単に中年になったテディベアだけではなく、自分の身近でも起こるかもしれないことだからこそ、ギャグでありながら、主人公自身の悩みが自分自身の悩みのように思えてしまうのです。

 

小ネタが満載

 

テッドを見るにあたっては、随所にちりばめられた小ネタがたまらないです。

 

映画マニアならずとも、その雰囲気に面白くなってしまうこと間違いなし。

 

ダンスの回想には、サタデーナイト・フィーバー。

 

 

テッドの耳が取れたあと、ドアから手を出してとるシーンは、インディ・ジョーンズ(音楽まで流れていました)

映画好きであればあるほど、気づけるところが多くなります。

 

物語に関わる一番重要なのは、フラッシュ・ゴードンです。


フラッシュ・ゴードンといえば、アメリカの小説・漫画・映画とかをみていると、時々、フラッシュ・ゴードンが云々っていうのがでてくるときがあります。

 

子供に人気のスペースオペラ漫画といった感じで、少なくとも大人が読むものではないのですが、でも、大人も人によっては読んでいるという、わくわくどきどきの子供達があこがれるものだったのです。

 

映像作品は、好きな人は好きでありますが、これは、出来があまりよくはなかったとはいえ、それをあえて愛でるという、まさにオタクの愛が試される作品だったそうです。

ジョージ・ルーカスが、フラッシュゴードンの版権をとれなかったために、スターウォーズをつくったというのは、有名な話のようです。


テッドが、「正義と悪を教えてくれたのは、フラッシュ・ゴードンだろ」というところなどがあり、彼らの人格形成がどのように行われたのかにかかわる重要なものであり、青春そのものなのです。

 

そんなフラッシュゴードンを演じていたサム・ジョーンズがテッドのアパートにやってきたとなれば、彼女よりも、そっちにいってしまうのは、仕方がないことでしょう。

 

男の友情は殴りあいでわかる。

 

かわいくも泣けるのが、殴り合いのシーンです。


テッドは、そのリアルな人形の動きによって、本当にテッドというぬいぐるみに命があるように動くのがすばらしいです。

そして、そのテッドと主人公との殴り合いが始まるのですが、これがすごい。


テッドは手足の短さをものともせず、主人公と互角に戦います。
あらゆる道具をつかって。

 

主人公も容赦なくテッドを蹴りつける。


これは、幾度となく彼らがケンカをしてきたっていうことでもありますし、ブロマンスにおいて、男同士の殴り合いっていうのは、男と女における行為そのものの象徴と考えることができるのです。

 

ジョンが、テッドを傷付けようと蹴りつけると、その衝撃でテレビがジョンにおちてくる。


誰かを傷つければ、自分に返ってくる、というのがわかる、すばらしいシーンです。

 

そして、彼らは笑い、仲直りするのです。


ぬいぐるみのテッドがその小さな身体を駆使して、困難を切り抜ける姿はかわいくも面白くみれます。

 

ちなみに、戦いのゴングを告げる主人公の台詞があります。

翻訳では、「お前なんかより、くまもんのほうがいい!」

 

その言葉に、今まで、俺の話を聞いてくれよ、と下手にでていたテッドですが、突然、ぶちぎれます。

 

ただ、僕としては、これだとちょっとギャグに聞こえてしまって、なんでここまでテッドが怒るのかわかりませんでした。

 

これは、お前なんか、たまたま安かったから買っただけで、もっと別のやつが欲しかったんだということがわかる言葉であれば、より、すんなりわかった気がします。

 

人形でもロボットでも、その当時手に入る、テッドよりもいいぬいぐるみであれば、テッドの怒りがよりわかりやすい。

 

どうせ、お前なんて欲しくなかった。

 

それは、ぬいぐるみであるテッドにとって、本当に頭にくることだからです。

「本当は別の男がよかったんだけど、しょうがないから、あんたを選んでやったのよ」といわれたら、男性諸君、ちょっと、頭に血が上るかもしれないでしょう。

 

テッドとジョンは擬似的な恋人関係。ホモソーシャルな関係なので、そんなことを言われたら頭にくるのは当然なはずです。

 

テッドを傷つけた言葉は、愛情の裏返しだからこそ、男同士の殴り合いで見事にお互いのやさしさを再確認でき、仲直りのきっかけになるのです。

 

ちなみに、原語ではテディ・ラクスピンというクマのぬいぐるみだそうです。アメリカ人には、当たり前にわかる一品だそうですが、日本で同じような言葉のものを探すのは困難ですね。

 

子供から大人へ。


テッドが大変なことになるシーンがあります。

 

それは、テッドが自分がいると彼女と幸せになれず、大人にもなれないっていうことに気づき、自分からみを引くのですが、子供のままに成長してしまった悪い人間に誘拐されるアクションシーンです。

 

追いかけられられる中で、鉄塔の上からテッドが落ちるシーン。


このとき、テッドは、「ジョニーーーーーー!!」と叫びます。

 

普段はジョン、といっているのに、ジョニー。

翻訳でも、ジョンになっていますが、これは、普段ジョンと呼んでいたのに、思わずでてしまった叫びです。

 

大人にするために、自ら身をひいたはずのテッドが、やっぱり、土壇場になって、思わず、子供のころのあだ名で呼んでしまう。

ここに、テッドの主人公を思う気持ちが見え隠れして、涙が溢れます。

 

悲しみにくれる主人公。

 

雷の音がなりますが、もう恐れたりしない。

でも、親友はもう…。

この結末は、テッドを見てもらうとして、こうして作品は、大人になれないということと、大人になることとはどういうことかを問いかけていきます。

 


大人になるということ。


テッドは言います。

お前が彼女とのパーティーから抜け出したり、会社をズル休みしたりしたのは、全部お前の意思でやったことだ。

俺は、お前と楽しい時間を共有したいから誘いはしたが、無理やり連れ出したことがあったか?

 

俺を責めるっていうことは、お前自身を責めるっていうことでもあるんだぜ、と。


そして、大人になるっていうことは、責任を引き受けるということだ、と大人とはどういうものかを定義します。


主人公がどういう風に責任を引き受けるのか、というのも一つの見所ですね。

 

 

 

大人まで待てないバージョン


テッドにはいくつかバージョンがあります。

オリジナル版。PG12版などです。

金曜プレミアムでは、なんと、テッドの吹き替えをやっている有吉弘行は、これのために収録しなおしているってんですから、驚きです。

ただ、これはあくまで子供でも見れるように編集したので、いくつかの変更点がありました。


まず、テッドがスーパーに面接を受けて店長と話すシーン。

これが少しカットされていましたね。
テッドが、落ちる気まんまんで店長をディスるわけですが、店長は、おまえみたいは奴は初めてだ、と採用に。

でも、ここでテッドは畳み掛けるように、お前の奥さん浮気してるぜ、みたいなことを言うのです。

それだけの軽口を叩いているテッドをみて、こいつはただものじゃないと思わせられるのです。

 

吹き替え版の有吉では、もう、ここでは到底書けない切り替えしをしているのですが、それが間がよくて、さすが芸人。っというか、普通に違和感なくうまい。


吹き替えも字幕も、映画評論家の町山智浩氏がやっていて、こういう言葉のセンスの良さを発揮しています。アメリカの映画事情や風土を理解していなければ、できない翻訳が随所にみられるのも、テッドの魅力でもあります。

 

また、テッドはスーパーで知り合った女性定員タミ・リンと、スーパーの倉庫で、大人なことをやってのけます。

影にはなっていますが、テッドが腰をふっている姿見えて、おいおい、テディベアどうなってんの!

と驚くことになるシーン。これも、カットされてました(あらら)。

 

タミ=リンを気に入ったテッドが、レジの前で下品なことをして面白がらせるシーンもまるまるカットされていました。この下品ながらも魅力的な可愛さによって、タミ=リンを落とすという重要な場面なだけに、ここがないと、なぜ二人があっという間に仲良くなったかがわからなくなってしまいますね。

 

 

あと、極めつけは、フラッシュ・ゴードンと出合ってから。

金曜プレミアム版では、酒を飲むだけですが、オリジナル版では、ハッパをすいます。

 

そう、テッドもドラッグをやりまくりなのです。

率先して、ゴードンがすいまくるあたりが、爆笑してしまうのですが、主人公が彼女のことを、頭からぬけてしまうのは、薬のせいなので勘弁してあげてほしいというところです。

 ですが、大人になるまで待てないヴァージョンでは、薬を吸いまくるシーンがないので、たんに主人公が欲望に負けただけに見えてしまいます、って負けただけなんですけどね。

 

尺の問題もあるでしょうし、やっぱり、大人になるまで待てないバージョンでは、ちょっと規制がきつかったのでしょう。

でも、そのエッセンスはちゃんと入っていますので、子供でも安心して楽しめたのではないでしょうか。

 

ただ、やっぱり、下品さはオリジナル版にはかないませんので、是非、テッド2を見る前に、予習として、改めて、テッドの下品さをみておくのもいいかもしれません。

 

「テッド2 」の感想・考察についても、9600文字に渡り書いておりますので、興味のある方は、是非「テッド2」のエントリーもご覧いただければと思います。

 

 

テッド1をみたあと、テッド2のどこを面白いと思ったかで、大きく評価が変わります。

テッド2を見てからエントリーを見るか、エントリーみてからテッド2を見るか。

 

以上、「ぬいぐるみとの熱き友情。大人になるまで待てないver/テッド」でした。

 
 
 
 
 
 
 
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