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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

ドブネズミと人間    深作欣二『恐喝こそわが人生』

ニャロ目 邦画 深作欣二 任侠・やくざ映画

こんにちはニャロ目です。

 

今日は、深作欣二監督、松方弘樹主演『恐喝こそわが人生』(1968年、90分)を紹介したいと思います!

 

強請り屋組織「四ツ葉会」

「カツアゲのコツは三つある」

「仲間を増やさないこと」

「無理押しをしないこと」

「一度カツアゲた獲物に二度と手をださないこと」

 

キャバレーで働いていたチンピラ、村木(松方弘樹)は偶然、密造酒に関する秘密を知ってしまう。ヤクザにボコボコにされ復讐を誓う村木は旧友たちと組み、その密造酒をネタに酒屋やヤクザを強請る。

 

それがあまりにうまくいったため、こりゃいいわ、ということで彼・彼女らは四人組の恐喝組織「四ツ葉会」を結成する。

 

つんとすましている人間も一皮剥けば欲望にまみれ、秘密を抱えた動物である、と喝破する村木は、盗撮グループや芸能人などを恐喝し、富と快感を得ていく。

 

そして、政界と財界の癒着を証明する大田黒念書を手に入れた彼らは、日本を影で支配する政界の大物、水野(丹波哲郎)と対決しようとするが、一人殺され、一人離脱していく。それでも諦めない村木は一億円をふっかけ大勝負にでるが、大田黒念書は水野たちの機転により役立たずの紙切れとなってしまう。

 

そして村木は水野の放った刺客により白昼堂々刺され、群衆の取り巻く中で、恨みの言葉を吐きながら息絶える。

 

深作欣二in松竹

 

この映画は後に東映実録路線の『仁義なき戦い』シリーズ(1973年~)を担当することとなる深作欣二が。松竹にて監督した作品です。主演も東映松方弘樹です。

 

ゴキゲンなオープニングから畳み掛けるように流れるストーリー、そして主人公たちの破滅。確かに、東映流フィルムノワールの雰囲気がでている作品ですね。

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チンピラとお偉方

村木は日々をぐうたらに過ごすケチなチンピラです。現状に不満を抱えながらも、それを発散する方法を持たない。

 

それが偶然にも「恐喝」という武器を得てから勢いづく。

 

ドブネズミと呼ばれ、暗い世界を這いずり回っていたが、ついには国会議員などの「お偉方」を強請るまでに成り上がる。

 

しかし栄光はいつまでも続かず、彼らドブネズミは人間の足で無残にも踏み潰されてしまう。そして群集はその死に様をただ無表情に見つめるだけである。

 

無名の反抗者VS権力者の対立を大きなテーマに、ある意味階級闘争すらも読み込んだ作品と言えます。

 

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深作演出

度々インサートされる、汚れた海に浮かぶネズミの死体。

 

それは「四ツ葉会」の彼らの行く末を暗示するものであり、人間全体の薄汚さを象徴するものでもあります。

 

村木が女優を恐喝するシーンでは、村木の足の間から女優の顔を見上げるような画面作りがなされています。

 

これは「ドブネズミ=村木=地面を這いずるもの」が「女優=名声を得るもの」をねめつけているような印象を与えます。

 

また、足の間から女優の顔が覗くわけですから、その後の肉体関係も暗示させていますね。これ、けっこうお気に入りシーンです。

 

で、村木はその女優の愛人になるのですが、「四ツ葉会」の紅一点、お時(佐藤友美)に呼び戻されます。

 

その後、仲間の一人である元ボクサー、野口(城アキラ)が殺されるんですが、その死に様は、血まみれになりながら虚空に拳を何度も突き出して息絶えるという凄まじい演出がされております。

 

で、元ヤクザの関(室田日出男)が勝負の相手が悪いとのことで離脱し、最後は村木とお時だけになるのですが、二人は雨がフロントガラスを叩く車中で初めて体を重ねます。

 

まあ、このように一線を超えるシーンが、夜中・雨という不穏な状況が展開されると、この後にはバッドエンドしか残されていないという印象を与えます。

 

そしてそのバッドエンドが、白昼、交差点で刺し殺されるというものなのがスゴイ。

 

「暗い夜・二人きり・車の中」で結ばれた二人が「明るい昼・大勢の人の前・開けた路上」で永遠に引き裂かれるというラストなんですから。

 

いかに頭の切れ、威勢のいいドブネズミでも、お天道様の前では生きていけない。

 

(映画撮影ということを知らない)通行人たちの前でもがき苦しむ松方の演技は非常に見ごたえがあります。

 

まだ見てない方は、ぜひこのドブネズミの死に様を目に焼き付けて下さい!

 

映画監督 深作欣二

映画監督 深作欣二

 

 

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