シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

シンゴジラのいちばん長い日。ネタバレ解説/シン・ゴジラ  

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新世紀エヴァンゲリオン」や「不思議の海のナディア」の監督である庵野秀明監督がつくったゴジラシリーズの最新作「シン・ゴジラ」がついに公開されました。

12年もの間つくられることがなかったゴジラですが、圧倒的な才能と実力をもって、日本への希望などが示される作品となっています。

 

庵野監督版「ゴジラ」がどのような影響の下作られたのか、その元ネタを探りつつ、シン・ゴジラの魅力に迫ってみたいと思います。

極力、物語の本質的なネタバレは避けておりますが、この映画は、事前情報をいれない状態でみたほうが明らかに面白い作品となっておりますので、すぐにでも映画をみにいける人は、映画をみてから、事前情報が入ってしまった方については、あきらめて当ブログの見方を参考にしていただけると、シン・ゴジラをより考えながら見ることができる一助になると思います。

 

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三毛別羆事件 千葉真一・真田広之『リメインズ 美しき勇者たち』(1990年)

 今回ご紹介するのはこちら、『リメインズ 美しき勇者たち』(1990年公開)。昔はテレビでも放映されていたようですが、最近はやってないみたいです。レンタルでも観られますしDVD自体もそんなに高くないので観ようと思えばいつでも観れる作品となっています。

このページでは本作を、関連作品や元となった事件について触れながら解説していきたいと思います。

 

三毛別羆事件

日本史上、もっとも多数の被害者を出した羆害事件として有名な三毛別羆事件

近年も人が熊に襲われる事件はなくならず、その度に振り返られる事件でもあります。

簡単ですがその内容をまとめてみたいと思います。

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爆裂!相米ワールド 『ションベン・ライダー』(1983年)

『ションベン・ライダー』。

相米慎二の三作目(『翔んだカップル』、『セーラー服と機関銃』に続く)であり、主演をつとめた河合美智子永瀬正敏にとってはデビュー作(主要登場人物である少年少女のもう一人は坂上忍)。

不可解にしてエネルギーに満ち溢れた本作は、映画とは何かまで考えさせるような強度を持つ作品です。

 

変貌する映画

内容を簡単にまとめてしまえば、いじめっ子に仕返しをしようとしている三人の少年少女、そのいじめっ子がやくざに誘拐されてしまい、その行方を三人で追っているうちに中年やくざと出会い、裏の大人の世界に迷い込んでしまうというお話。

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インテリヤクザはお手の物!! 成田三樹夫特集!!

本日はやくざ映画で大活躍した個性派俳優・成田三樹夫さんについて書いていきたいと思います。

一目みたら忘れられない風貌で人気となった成田氏。今でもファンは多いです。

鯨の目―成田三樹夫遺稿句集

鯨の目―成田三樹夫遺稿句集

 

 

東映ヤクザ映画で大人気! 悪役ならまかせろ!

成田三樹夫山形県生まれ、東京大学に入学するもドロップアウトするという異色の経歴を持っています。大映退社後に出演した東映やくざ映画の敵役でおなじみになりました。

代表的なところでいえばやはり『仁義なき戦い』シリーズの村岡組幹部・松永役でしょうか。他のやくざのキャラクターが太鼓持ちだったりいざという時はしり込みしたりといった情けない部分が目立つものが多かったのですが、『広島死闘篇』ではヒットマン・山中に村岡組長の仕組んだ筋書きを伝えたり、殺すんならワシを殺せ、と男気をみせたりする割りと筋の通った役回りでした。『代理戦争』でも若頭・武田にお辞儀をして組を離れるシーンが話題を呼びました。

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相米慎二監督、デビューす。 『翔んだカップル オリジナル版』(1982年)

翔んだカップル オリジナル版』は1980年に公開された翔んだカップル』のディレクターズ・カット版で15分ほど長くなっております。

相米監督のデビュー作でもあり、鶴見辰吾薬師丸ひろ子の初主演作品という初々しい作品です。

その後、開花することになる相米監督独特の演出が作中のそこかしこで見つけることができます。

今回はその相米監督の絵作りを中心にこの作品を語りたいと思います。

翔んだカップルオリジナル版 (HDリマスター版) [DVD]

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全てはここから始まった

原作は柳沢きみおのマンガ作品。

主人公・勇介(鶴見辰吾)と圭(薬師丸ひろ子)はクラスメイトでありながらひょんなことから二人きりで同棲することになります。次第にお互いを意識するようになる二人でしたが、そこに同じくクラスメイトの中山わたる(尾美としのり)と杉村秋美(石原真理子)が絡んできて…という青春ラブストーリーです。

本作は恋愛映画でありながら青春の苦悩も盛り込まれ、単に能天気で明るい印象を与えるものではありません。

それは相米監督の絵作りの影響が大きいためです。

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汚れちまった悲しみに・・・ 『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)

本日はゴジラシリーズ11作目『ゴジラ対ヘドラ』(監督・坂野義光)を取り上げます。

みんな大好きゴジラ作品の中でも一際異彩を放つ本作。果たしてどのような内容なのでしょうか。

われわれが生み出した怪物・ヘドラ

ヘドラはもともとは宇宙から飛来した鉱物が工場排水、ヘドロなどの汚染物質と合体した怪物です。成長するに従って変形し、活動範囲も広がっていきます。ヘドラが空を飛ぶとその付近にいる人間や動植物は息絶えてしまいます。迷惑極まりない怪物ですが、これは当時の公害を「擬獣化」したものです。見た目がものすごく不気味で、赤い目が縦についているのがいかしています。

ヘドラ襲来とほぼ時を同じくしてゴジラも姿を現します。海洋生物学者・矢野の息子である研をはじめ、この当時のゴジラはすっかり子供たちのヒーローとなっていたのでした。

しかしゴジラもこの難敵・ヘドラに大苦戦。

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やくざだけど野球をやってみた。 岡本喜八『ダイナマイトどんどん』(1978年)

今回ご紹介する映画は岡本喜八監督の『ダイナマイトどんどん』。

戦後、民主主義がアメリカから持ち込まれたことにより、それまでの血で血を洗う「抗争」から「野球」でやくざ同士を競わせて、平和的に社会に溶け込ませるという内容。

実際に東映などの任侠映画に出演していた俳優たちがコメディタッチに野球をするという、「任侠映画・やくざ映画」のパロディ作品でもあります。

ダイナマイトどんどん [DVD]

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戦後民主主義とやくざ達

 舞台は昭和25年の九州。菅原文太の所属する岡源組と、新興成金やくざの橋傳組は抗争を繰り返していました。

進駐軍の視線を意識した警察が、地元やくざ同士の争いをどうにか止めたいと考え出したのが「野球」。

トーナメントで野球大会を開き、やくざの闘争心をうまくおさめつつ、平和的に解決を目指す。

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