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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

可もなく不可もなく 本広克行『幕が上がる』

ニャロ目 邦画

今回はももいろクローバーZ主演、本広克行監督、平田オリザ原作、喜安浩平脚本の映画『幕があがる』(2015年、119分)をとりあげたいと思います。


人気絶頂のアイドルが主演ということで話題になった今作、はたして映画としての出来はどうだったんでしょうか?

 

幕が上がる (講談社文庫)

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アイドル映画の期待作

何を隠そう、私はももいろクローバー及びももいろクローバーZのファンです。

 

彼女たちから「アイドル」というものを認識しまして、80年代アイドルにさかのぼったり、ももクロも所属するスターダストプロモーション所属のアイドル(私立恵比寿中学チームしゃちほこKAGAJO☆4Sも…)もよく聴いてました。


というわけで非常に思い入れの深いアイドルなので、久しぶりのアイドル映画の快作きたか!? と思って鑑賞した次第です(原作本は読んでません)。

 

では『幕が上がる』のポイントを3つにわけて見ていきましょう。
・セリフについて
・画面構成について
・ストーリーについて


登場人物
・高橋さおり(百田夏菜子
・橋爪裕子(玉井詩織
・西条美紀(高城れに
・中西悦子(有安杏果
・加藤明美(佐々木彩夏
・吉岡美佐子(黒木華

 

セリフについて

映画を観始めれば誰でも気づくでしょうが、主人公であるさおりのモノローグが非常に多いです。

 

とくに前半部分。セリフとセリフの隙間を埋めるように誰かが喋り、喋ってない部分はさおりが心境を呟きます。

 

彼女が内にこもって深く考えるタイプの人間だということがよくわかる演出です。

 

吉岡先生と出会い、演劇に関する考え方に一筋の光を見出してからはさおりのモノローグが少なくなります。

 

心の中で迷うことが減り、目的が定まっていく様子が伝わります。

 

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 ただ、前半部分のセリフで沈黙を埋めていく、という演出はやはり映画としてはどうなんだろうと疑問に思います。

 

やっぱりちょっとうるさいなー、表情やカメラでもっと表現できるんじゃないかなー。

 

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画面構成について

オープニングの映像は、「お、映画がはじまった!」と感じさせる出来でよかったです。


たびたびでてくる田舎の遠景はとても見ごたえがありますし、室内のシーンが続いたあとに風景が入るのは目に優しいですね。


この田舎の風景(あるいは田舎の夜空)というのは、後にでてくる東京の夜景(夢・将来への希望、もしくは自らの存在の小ささを象徴)と対比させてるのだと思います。


せっかくなので、もっと都会の夜景をバーンと美しく表現してほしかったのですが…。

 

ビルを見上げる彼女たちをぐるぐると回る演出はちとどうかなーと感じましたよ。

 

全体的な画面構成としては、いい部分(美術室での練習→そこを見下ろしている優子と悦子、というつながり)もありましたが、退屈な部分が多く、観るのが疲れました。

 

どうにも画面に奥行きがなく、平べったい印象を受けてしまいます。接写も多く、もっと撮りようがあるんじゃないかと感じましたね。これはもう、好き嫌いになってしまうと思うのですが、せっかく映画ですので、テレビドラマでは見られないような凝った構図をバンバン入れてほしかったです。


それで登場人物の心境もあらわすことができますし…。

 

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ストーリーについて

原作本に目を通してないので、もとがどういう話かよくわかりませんが、2時間に収めるにはちょっとサイズオーバー気味です。

 

そのため、何だかダイジェストを観たなーという印象を受けます。


ヒッチコックは、映画はワンアイデアで作ることができるので長編小説よりも短編小説のほうがあっている、と発言しています。自分もそう思います。

 

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筋を追うことを重要と考えるなら、映画ではなくテレビドラマのほうが向いてますからね(もっというならば、ストーリーを知りたいなら小説を読んだほうがはやいですし)。

 

ももクロちゃんの演技は悪くなかったし、原作者も脚本家も監督もかなり悩みながらの難しい戦いだったのではないかなと思います。

 

というわけでストーリーそれ自体の評価はしようがありません。演出のせいなのかストーリーがあわなかったのか、少しも心揺さぶられるような気分にはなりませんでした(自分が非常に鈍感なのかもしれません)。

 

『幕が上がる』と『櫻の園

女子高(『幕が上がる』は共学のようですが)の演劇部の映画、といえば自分は中原俊監督の『櫻の園』(1990年)を思い出します(むしろあんまり映画観てないのでそれしか思い浮かびません)。

 

櫻の園』も冒頭からのカメラの動きがすばらしく、おそらく本広監督も多少は参考にしたのだと思いますが、画面の構成としては『櫻の園』のほうが上手です。

 

観ていて疲れないですし、ストーリーも省略をうまく使っており、そのくせ臨場感があるんですよね。

 

いずれ、『幕が上がる』と『櫻の園』の構図の比較をしたエントリーをあげたいと思いますので少々お待ちください。

 

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というわけで

改めて振り返ると、百田夏菜子はじめ役者陣はがんばってたし、ももクロ関連の小ネタもふんだんに盛り込まれており、エンタメとしてわかりやすいストーリー展開ではありました。

 

あくまで個人的な感覚ですが、作品として特別な冒険をしてたなーという気分にはならなかったので、可もなく不可もなく、点数としては55点くらいの映画というのが正直な感想でございます。

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