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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

デス・ゲーム物では一番マシ!?  深作欣二監督『バトル・ロワイアル 特別篇』

ニャロ目 邦画 深作欣二

今夜は深作欣二監督の実質的な遺作である『バトル・ロワイアル 特別篇』(122分、2001年)を取り上げてみたいと思います。

 

興行収入30億、R-15指定など大きな話題になったこの作品。はたして映画としての出来はどんなものなのでしょうか。

 

あ、ちなみに無印『バトル・ロワイアル』と内容は99パーセント一緒みたいです、この『特別篇』は。

 

主なキャラクター

・七原秋也(藤原竜也) 

・川田章吾(山本太郎

・桐山和雄(安藤政信

・中川典子(前田亜季

・千草貴子(栗山千明

・キタノ(ビートたけし

 

スピーディな展開

原作未読状態で映画を見てみました。ずっと観てみたいと思ってたのですが、タイミングを逸してしまって映画公開から14年後に観るという素敵な展開になってしまいました。

 

さて、序盤(オープニング~バトル・ロワイアルの開始あたりまで)は世界観の説明のために、ダイジェストを見てるかのようなスピーディな展開で物語が進行します。説明といっても一応設定を伝えてみたよ、という程度の内容なので、まあノリで理解しましょう。

 

映画自体は若い役者の「演技的な演技」もあいまって非常に虚構性の強いものとなっています。

 

残虐描写も物凄い迫力があるというよりも、作り物感が強い印象を受けますね。

 

序盤以降はただ単に観客を置き去りにするような過激なシーンが続くわけではなく、最低限の説明をうまく挟んであるため、わかりやすく且つ扇情的なシーンが続きます。

 

登場人物、さらに鑑賞者に対し「巻き込まれ感」を出すためですね、このアゲアゲな展開は。

 

そんなわけでやりすぎなくらいサクサクスピーディでしたが、自分は序盤から物語に引き込まれましたよ。

 

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 バト・ロアお気に入りシーン

 

好きなシーン、印象に残ったシーンを幾つか挙げてみます。

 

まずは、灯台での女生徒たちのやりとりですね。

 

七原を毒殺するために女生徒の一人が毒物を昼食に入れたことから互いに疑心暗鬼になり、撃ち合いとなります。

 

彼女たちは極限状況の中でも仲良くコミュニティを作ろうとしますが(それは非日常的な空間に日常性を持ち込むことにより精神を安定させようとしているわけですが)、一人の不用意な行為により、一気に悲惨な状況に転んでいく感じがでてますし、場所が白亜の灯台というのも白昼の凄惨な現場にマッチしていて、とてもイイネ! でございます。

 

もうひとつ好きなシーンは、陸上部の千草と幼馴染(?)の男子生徒のパート。とくに栗山千明の過剰な演技(の演出)が良く、見ていて楽しめました。セリフまわしもこの映画でも珍しく面白かった。本来は柴咲コウがこの役をやる予定でしたが、監督の意見により交代したそうです。結果オッケーというやつですね。

 

千草が死ぬシーンは遠景のショットもあり、気合入ってるなと思いました。

 

あとは教師キタノのパート。

 

予告でも使われた「今日はみなさんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」という身も蓋もないセリフや、娘に「おじさん」呼ばわりされてるところや、中川典子の夢に登場し仲良く川辺でだべったり(これは典子に理想の娘像を投影してるのかな)、ふら~と典子の前にあらわれて傘を渡したりなど、奇妙な場面が多くて、気に入ってます。キタノが画面に出現すると思わず集中してみたくなるような不思議な存在感がありますね。

 

七原と典子の武器がそれぞれ、なべのふたと双眼鏡というちょっとしたギャグもよかったです(なべのふたは戦闘で役に立ちましたしね)。

 

作品全体の評価としては…

ただ、作品全体としては序盤のドキドキ感を超えるような展開ではなかったこと、何となく予想のつく範疇に物語が収束してしまったことが少し不満でした。

 

自分は深作欣二監督は、邦画における娯楽作品の王様だと思っていて、とくに70年代から80年代初頭の作品が好きではあるのですが、この映画は素晴らしいカメラワークが散発的で全体としてのまとまりを感じられませんでした。

 

作監督の放り込みたかったメッセージとかテーマ性はある程度伝わるのですが、ちょっと脚本が弱かったかなと。

 

セリフについても、中学生らしい直接的な、語彙の乏しいものが多くてそんなに迫力はありませんでした。

 

主人公の心の葛藤も描ききれてないんじゃないかな、と思いました。典子との関係性もさらに掘り下げられたのではないかなー。

 

ついでにいえば、ラスボス的役回りである桐山のキャラクターもちょっと弱かったです。

 

初登場時から、こいつがヤバそうというのはわかりきっていたので、もうちっと捻ってほしかったです。

 

類似作品、後続作品と『バトル・ロワイアル

「閉鎖された状況で殺し合い(デス・ゲーム)が行われる」という作品は、この映画の大ヒットの影響からか、今に至るまで数多く作られるようになりました。

 

例を挙げると、洋画では『CUBE』シリーズ(バト・ロアより古い作品です)や『ソウ』シリーズ、邦画では『リアル鬼ごっこ』、『インシテミル』、『王様ゲーム』、『ジョーカー・ゲーム』、『人狼ゲーム』など。最近劇場公開されたm私立恵比寿中学エビ中)の柏木ひなた竹富聖花主演の『脳漿炸裂ガール』もこのジャンルに入ると思われます。

 

極限状況におかれる内容なので、演技の方向性もまとめやすいでしょうし、何より予算を抑えられるという理由があるのでしょう。

 

ただ、あくまで自分の印象ですが、どれもあまりパッとしない…。

 

役者の演技力とか監督による演出力や編集が問われるのでしょうけど、そもそも似通った設定の中で個性を出すのはなかなか難しいんじゃないかなと。

 

そう考えるとこの『バトル・ロワイアル』は突飛な設定を撮影の規模や監督の能力で押し切った、このジャンルの中では恵まれている作品であることに間違いはないでしょう。

 

さすがに深作監督、多少のアラはあっても見せ場はきちんと作れますから。

 

そんなわけでデス・ゲーム物は(邦画に限定するならば)『バトル・ロワイアル』を見ればお腹いっぱいかな。続編の『バトル・ロワイヤルⅡ 鎮魂歌』はたぶん観ないと思います…。

 

まあ、デス・ゲーム物の映画たちがデス・ゲームをしたら『バトル・ロワイアル』が生き残った、という感じなんですかねえ…(よくわからないオチ)。

 

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