シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

疑心暗鬼になった男の末路/黒澤明監督「蜘蛛巣城」

蜘蛛巣城[東宝DVD名作セレクション]

 

黒澤明映画の中でも評価の高い作品の一つに、「蜘蛛巣城」があります。

シェイクスピアマクベス」をもとにして作られた作品であり、黒澤明による映像や、日本の戦国時代に置き換えた内容は、今見ても色あせることはありません。

蜘蛛巣城」について、どういった物語なのか、見所を含めて解説してみたいと思います。

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受験生は必見の映画。有村架純主演/映画「ビリギャル」

映画「ビリギャル」【TBSオンデマンド】

 

成績というのは、なかなかよくならないものです。
あがるのも一朝一夕であれば、下がるのもまた一朝一夕です。

受験生にとっては、どうやって受験へのモチベーションを保つかというのが重要なところですし、受験生がいる親からしても、その姿勢というのは非常に重要となってきます。


今回は、学年でビリのギャルが、慶應義塾大学へ行った、という話題性と共にヒットした作品「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」という長いタイトルの作品について、多少日本映画的な過剰演技などはありますが、脚本のできもよく、主演である有村架純の演技も素晴らしいことから、原作のことは一旦置いておいて、映画「ビリギャル」の魅力について考えてみます。

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サントリー胡麻麦茶でもCM。三船敏郎と加山雄三出演/赤ひげ

赤ひげ[東宝DVD名作セレクション]

黒澤明監督が誇る有名な作品の一つに「赤ひげ」があります。

黒澤明監督の白黒映画最後の作品であり、医療を通じて、その当時の人間模様を描き、同時に、現代の我々にとっても色あせることのない金言が含まれた作品です。

サントリー胡麻麦茶でも、三船敏郎ではない人が演じていますが、赤ひげのパロディをやって、胡麻麦茶の効用についてうたっています。


そんな「赤ひげ」について、紹介してみたいと思います。

 

三船敏郎の魅力


この映画の一番の魅力といえば、三船敏郎演じる赤ひげの人柄をおいて他にありません。

作中では、彼は一見破天荒な人物として描かれます。

ですが、現代の医学を知っている我々からすればいたって当たり前のことであり、赤ひげが江戸時代の中では、先見の明がある人物であることがわかるのです。

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この世界の片隅に、を見たあとに/マイマイ新子と千年の魔法

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

 

圧倒的なクオリティと、積み上げてきた時代考証によって、日本アニメ映画の歴史に壮絶な存在感を示した「この世界の片隅に」。

その監督である片淵須直氏の前作品である「マイマイ新子と千年の魔法」について、「この世界の片隅に」と関連性を考えながら、なぜ、ここまで片淵監督の作品が愛されることになるのか、その理由について考えてみました。

当ブログでは、「この世界の片隅に」の感想&解説も記載しておりますので、是非ご覧いただきたいと思います。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 

想像力豊かな女の子

 

マイマイ新子と千年の魔法」の主人公である新子(しんこ)は、山口県に住む女の子です。

麦畑が広がる村で、大好きなおじいちゃんに千年前の風景や人々について教えてもらうことで、彼女は、想像力を働かせながら日々を生活しています。

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この世界の片隅に。ネタバレ必須の感想&解説。原作と映画の違いも含めて。  

劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック

 

片淵須直「この世界の片隅に」は、こうの史代氏の漫画が原作の映画です。

各所で話題になっている本作品ですが、その圧倒的なまでに作りこまれた世界。アニメ映画ならではの表現。伝わってくる感情の分厚さ。いずれをとっても、とんでもない作品です。

「アニメ映画で、しかも、戦争ものだし」と思う人もいるかもしれませんが、見る前の人は、ネタバレなしの前半を、見た後の人は、ネタバレをしている後半部分もふくめて「この世界の片隅に」の魅力について、その圧倒的な情報量を紐解きながら語ってみたいと思います。

原作漫画も非常に面白いのですが、映画になるにあたって、カットされる部分もありますし、追加される部分もあります。

そのあたりから、映画でのねらいも含めた中で考えてみます。

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潰れた魂に義足は付かない。アル・パチーノ主演/セントオブウーマン 夢の香り  

セント・オブ・ウーマン/夢の香り [DVD]


「セントオブウーマン 夢の香り」は、名優アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を獲得した作品です。

劇中で、瞬きをほぼしないという演技もさることながら、メソッド演技法を駆使した徹底した役作りによる迫力は、見るものを圧倒します。


名作と呼ぶに相応しい「セントオブウーマン 夢の香り」について、心が疲れてしまった人にオススメしたい作品ですので、解説してみたいと思います。

 

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シン・ゴジラのあとには岡本喜八を。ブルークリスマス

ブルークリスマス [DVD]

 

庵野秀明監督が多大なる影響を受けたという岡本喜八

当ブログでも、「日本のいちばん長い日」を取り上げましたが、特にエヴァンゲリオンの使徒の血が青いという点でも、リスペクトを捧げている「ブルー・クリスマス blood type:blue」も解説してみたいと思います。

 

特撮を使わない東宝映画


当時、未知との遭遇や、スターウォーズなど、特撮をつかった映画がはやりにはやった時代にあった中で、岡本喜八監督「ブルークリスマス」は、特撮を一切つかわないというコンセプトのもと作成された映画です。

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