インテリヤクザはお手の物!! 成田三樹夫特集!!
本日はやくざ映画で大活躍した個性派俳優・成田三樹夫さんについて書いていきたいと思います。
一目みたら忘れられない風貌で人気となった成田氏。今でもファンは多いです。
東映ヤクザ映画で大人気! 悪役ならまかせろ!
成田三樹夫は山形県生まれ、東京大学に入学するもドロップアウトするという異色の経歴を持っています。大映退社後に出演した東映のやくざ映画の敵役でおなじみになりました。
代表的なところでいえばやはり『仁義なき戦い』シリーズの村岡組幹部・松永役でしょうか。他のやくざのキャラクターが太鼓持ちだったりいざという時はしり込みしたりといった情けない部分が目立つものが多かったのですが、『広島死闘篇』ではヒットマン・山中に村岡組長の仕組んだ筋書きを伝えたり、殺すんならワシを殺せ、と男気をみせたりする割りと筋の通った役回りでした。『代理戦争』でも若頭・武田にお辞儀をして組を離れるシーンが話題を呼びました。
続きを読む相米慎二監督、デビューす。 『翔んだカップル オリジナル版』(1982年)
『翔んだカップル オリジナル版』は1980年に公開された『翔んだカップル』のディレクターズ・カット版で15分ほど長くなっております。
相米監督のデビュー作でもあり、鶴見辰吾・薬師丸ひろ子の初主演作品という初々しい作品です。
その後、開花することになる相米監督独特の演出が作中のそこかしこで見つけることができます。
今回はその相米監督の絵作りを中心にこの作品を語りたいと思います。
全てはここから始まった
原作は柳沢きみおのマンガ作品。
主人公・勇介(鶴見辰吾)と圭(薬師丸ひろ子)はクラスメイトでありながらひょんなことから二人きりで同棲することになります。次第にお互いを意識するようになる二人でしたが、そこに同じくクラスメイトの中山わたる(尾美としのり)と杉村秋美(石原真理子)が絡んできて…という青春ラブストーリーです。
本作は恋愛映画でありながら青春の苦悩も盛り込まれ、単に能天気で明るい印象を与えるものではありません。
それは相米監督の絵作りの影響が大きいためです。
続きを読む汚れちまった悲しみに・・・ 『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)
本日はゴジラシリーズ11作目『ゴジラ対ヘドラ』(監督・坂野義光)を取り上げます。
みんな大好きゴジラ作品の中でも一際異彩を放つ本作。果たしてどのような内容なのでしょうか。
われわれが生み出した怪物・ヘドラ
ヘドラはもともとは宇宙から飛来した鉱物が工場排水、ヘドロなどの汚染物質と合体した怪物です。成長するに従って変形し、活動範囲も広がっていきます。ヘドラが空を飛ぶとその付近にいる人間や動植物は息絶えてしまいます。迷惑極まりない怪物ですが、これは当時の公害を「擬獣化」したものです。見た目がものすごく不気味で、赤い目が縦についているのがいかしています。
ヘドラ襲来とほぼ時を同じくしてゴジラも姿を現します。海洋生物学者・矢野の息子である研をはじめ、この当時のゴジラはすっかり子供たちのヒーローとなっていたのでした。
続きを読むやくざだけど野球をやってみた。 岡本喜八『ダイナマイトどんどん』(1978年)
今回ご紹介する映画は岡本喜八監督の『ダイナマイトどんどん』。
戦後、民主主義がアメリカから持ち込まれたことにより、それまでの血で血を洗う「抗争」から「野球」でやくざ同士を競わせて、平和的に社会に溶け込ませるという内容。
実際に東映などの任侠映画に出演していた俳優たちがコメディタッチに野球をするという、「任侠映画・やくざ映画」のパロディ作品でもあります。
戦後民主主義とやくざ達
舞台は昭和25年の九州。菅原文太の所属する岡源組と、新興成金やくざの橋傳組は抗争を繰り返していました。
進駐軍の視線を意識した警察が、地元やくざ同士の争いをどうにか止めたいと考え出したのが「野球」。
トーナメントで野球大会を開き、やくざの闘争心をうまくおさめつつ、平和的に解決を目指す。
続きを読む相米慎二、かく語りき。 『セーラー服と機関銃 完璧版』(1982年)
今回は本編公開の翌年に公開された薬師丸ひろ子主演の『セーラー服と機関銃 完璧版』について語りたいと思います。
四代目は女子高生
『完璧版』とは編集の段階で切り落とされた部分を追加したディレクターズカット版です。本編が予想外の大ヒットを記録したため、監督の本来の構想を実現した形で公開されました。
何の変哲もない一介の女子高生が父親の死をきっかけに薬を巡る裏組織の争いに巻き込まれていくという、やくざ映画風味のアイドル映画です。
配給を担当したのが任侠/やくざ映画でおなじみの東映だというのが面白いところです。
センセーショナルHIROKO
1970年代のやくざ映画隆盛の時期が過ぎ、新たな映画産業の担い手として角川春樹が70年代後半に登場、次々と大作映画(『人間の証明』、『野生の証明』など)を製作します。
80年代に入り、角川映画は路線を変更し、制作費を抑えたアイドル映画を発表していきブームを巻き起こします。
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