シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

シンゴジラのいちばん長い日。ネタバレ解説/シン・ゴジラ  

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新世紀エヴァンゲリオン」や「不思議の海のナディア」の監督である庵野秀明監督がつくったゴジラシリーズの最新作「シン・ゴジラ」がついに公開されました。

12年もの間つくられることがなかったゴジラですが、圧倒的な才能と実力をもって、日本への希望などが示される作品となっています。

 

庵野監督版「ゴジラ」がどのような影響の下作られたのか、その元ネタを探りつつ、シン・ゴジラの魅力に迫ってみたいと思います。

極力、物語の本質的なネタバレは避けておりますが、この映画は、事前情報をいれない状態でみたほうが明らかに面白い作品となっておりますので、すぐにでも映画をみにいける人は、映画をみてから、事前情報が入ってしまった方については、あきらめて当ブログの見方を参考にしていただけると、シン・ゴジラをより考えながら見ることができる一助になると思います。

 

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本当に怖いのは人間/遊星からの物体X ジョン・カーペンター監督

遊星からの物体X [Blu-ray]

  遊星からの物体Xといえば、巨匠ジョン・カーペンター監督の代表作の一つであり、その後の漫画や映画に多大なる影響を与えた作品でもあります。

ついつい、1984年の映画なので、敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、劇中ででてくるその生物や、恐慌状態に陥った人間の恐怖などを見事に描いた、パニックホラーの金字塔です。

その後に与えたと思われる影響や、物語のつくりかたなどを含めた中で見てみたいと思います。

 

一体何がはじまるのか。

 

有名な映画ですので、どういった内容かご存知の方も多いと思います。

ですが、この映画を純粋に見ていたときに、ファーストシーンからして引き込まれるのは、ジョン・カーペンター監督の力に他ならないでしょう。

一匹のシベリアン・ハスキーが走っているのを、ヘリコプターに乗った人間がライフルで狙うというシーンからはじまります。

実に可愛い犬なのですが、それを執拗なまでに狙うシーンからして、これから何がはじまるのか、なぜ犬が狙われなければならないのか、という疑問が頭の中に膨らんできます。

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忘れられない恋を忘れよう/エターナル・サンシャイン

エターナル・サンシャイン (字幕版)

 


皆さん、忘れたい記憶はありますか。

失敗してしまったことや、みんなの前で恥をかいて、もう何もかも忘れてやり直したい、そんな悪魔的衝動にかられたことのある人は、数多くいると思います。

その中でも、それが恋愛という土俵の上であれば、その数は数限りないことになるのではないでしょうか。

恋人への何気ない言葉で入ってしまった亀裂。


嫌な記憶によって、前に進めなくなる人だって数多くいるはずです。


失恋した人間にとっては、その存在が大きければ大きいほど、次に進むための力が必要になります。

そもそも、そんな記憶そのものがなかったなら、どんなに楽か。


なかったことにしてしまえば、心は傷つかない。

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もはやアートなのか 諸星大二郎特集!!

本日は一部に熱狂的なファンを持つ漫画家・諸星大二郎の作品を紹介したいと思います。もちろん全て自分で読んだものなので、お勧め作品が満載です!

 

そもそも諸星大二郎とは?

高橋留美子の『うる星やつら』の諸星あたるの苗字に引用されているように素人・玄人問わずにファンの多い漫画家です。ホラー・伝奇・ファンタジーなど作風は様々ですが主に非日常的な世界観・徹底的に作り事の世界観が提示されます。絵もストーリーも独特で慣れるまで時間のかかる方もいますが一度ハマると中毒症状を引き起こし、諸星マンガなら何でも買っちゃう! という患者も生み出しています。

そんなカルト作家ながら少年ジャンプでも連載を持っていたこともあり、名前が割りと有名だと思われます。ですが実際に作品を読んだことある方は少ないのかもしれません。それはMOTTAINAIということで私の独断と偏見で手軽に入手できる作品を取り上げてみます。まあ、自分も諸星マンガなら何でも買っちゃう病に罹患しているのですが…。

 

暗黒神話

いわずと知れた(?)諸星先生の代表作。70年代に週刊少年ジャンプ連載。なぜかファミコンソフト化されたこともあります(自分は残念ながらやったことありません…)。

ヤマトタケル伝説を基にしながら様々な要素をぶちこみグツグツと煮込んで、異形の作品が爆誕しました。主人公はアートマンとして覚醒するのですが、この作品自体がアートマンならぬアートそのものでございます。こんな作品が文庫で読めるなんてさすがクールジャパン。

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夏に観たい! 学校×ホラー映画特集!

今回は特別企画ということで、暑い夏に観れば涼しくなる?ホラー映画を紹介します。舞台に学校、もしくは子供たちが主要登場人物になっている作品を取り上げてみます。ぜひ童心に帰って怖がりましょう!

 

学校の怪談』シリーズ(1、2、4平山秀幸監督、3のみ金子修介、1995年~)

1990年代に四作製作されたシリーズ。常光徹著作学校の怪談』、ポプラ社から刊行されている『学校の怪談』シリーズを原作としています(当時、結構な数の子供たちがどちらの作品も読んでたと思います。自分もほぼ全て目を通しました)。が、映画はこれらとほとんど関係ありません(そもそも映画は長編ですし…)。ただ、まあタイトルがシンプルで分かりやすくてよかったと思います。

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ミニオンズ 黄色い生物たちは何者か/「ミニオンズ」

ミニオンズ (字幕版)

 

映画館で映画をみていると、その時期、配給会社とのコラボレーションなのか、放送前の注意事項などを映画のキャラクターで紹介されることがあります。

ディズニー系であれば、ミッキーたちがでてきたりすることもありますし、コラボでないもので有名なのは、顔がカメラになっている怪しげな黒服がでてくる「NO MORE 映画泥棒!」は有名ですね。

これは映画の違法撮影やアップロードですが、上映中に他のお客さんの迷惑にならないように、注意喚起を促すキャラクターたちというのは、ちょくちょく目につきます。

その中で、時々でてくるようになったのが、「ミニオンズ」のキャラクターです。

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もっと映画を楽しむために 映画評論本の紹介!

本日は映画をもっと楽しむために非常に参考になる本を紹介してみたいと思います。全て自分で読んでいいなと思った本なので、ぜひぜひ読んでみて下さい。

 

『定本 映画術』

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

 

 巨匠ヒッチコックの作品に関して、自身とトリュフォーと語り合った会心の書。トリュフォーによるインタビュー形式の作品紹介はリラックスしつつも要点がまとまっており、非常にためになります。たんにヒッチコックの作品を網羅しただけでなく、映画史の流れについてもその都度触れられているので面白い逸話がぽこぽこでてきます。頭から読み通した後は好きなページを選んで自由に読む直すこともお勧めです!

 

『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』

 

映画監督の塩田明彦による映画評論集にして講義集。①の本からタイトルが取られました。演出という、映画そのものといえるものをどう楽しむかが書かれています。例えば「動線」に関する部分は、観客が何となく理解していたことを言葉で具体的に説明してくれます。これを読んだ後では文字通り映画の見方が変わるかもしれません。

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