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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

エピソード4から観るか?徹底解説/スターウォーズエピソード4「新たなる希望」

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 スターウォーズエピソード7「フォースの覚醒」が12月18日に公開されるにあたり、今までのスターウォーズシリーズを予習がてらに振り返りたい、新作が公開されるにあたって、はじめてスターウォーズをみたいけれど、どれからみればわからないといった人たちに向けて、スターウォーズシリーズを順々に紹介していきます。

 

見る順番については、様々な話がありますが、作品を語りながら当ブログ「シネマトブログ」的なスターウォーズの見方をお伝えしていきたいと思います。


まずは、スターウォーズの第一作目にして、エピソードだと4にあたる「スターウォーズ エピソード4 新たなる希望」について、スターウォーズがなぜここまで人気であり、偉大な作品なのかを含めて解説していきます。

 

アメリカン・ニューシネマからスターウォーズ

 

スターウォーズは、1977年というアメリカン・ニューシネマの終焉に現れた映画史的にも重要な作品の一つです。


アメリカン・ニューシネマを簡単に説明しますと、ファミリー向けで、勧善懲悪、必ずハッピーエンドになるという当時の映画業界への違和感と、ヴェトナム戦争によって裏切られた若者たちによる、反動として1960年代後半から1970年代に多く製作された映画の総称です。


大人たちによる嘘が横行し、映画業界もまた腐敗した時代。

 

映画に人が集まらなくなっていた中で、若者達が低予算で次々とつくっていった作品たちがあります。

 

銀行強盗をして各地をまわるカップルを描いた「俺達に明日はない」や、ダスティン・ホフマン演じる優等生の男が自分のやるべきことがわからず人妻と不倫した挙句、女の子を式場からさらってしまう「卒業」。


いずれも、主人公が死んだり、どこか不安をかかえるような、アンハッピーな終わり方をするのがアメリカン・ニューシネマ、またはニュー・アメリカンシネマの特徴です。

 

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しかし、暗い映画ばかりの中にあって、再び人々に人間を賛歌するものとして現れたのが、シルベスタ・スタローンの代表作「ロッキー」であり、今回紹介する、スターウォーズなのです。


ジョージ・ルーカスは、アメリカン・ニューシネマ以前の、大作で、ファミリー向けの、楽しい映画を回帰させようとしました。


そこで、TEDでも登場した「フラッシュ・ゴードン」の映画をつくろうとしましたが、諸般の事情により断念。

そこで、フラッシュ・ゴードンのようなものとして、ジョージ・ルーカス自身が一から作り上げたのが、宇宙が舞台にも関わらず、剣を振り回す人たちが現れるスターウォーズの世界なのです。

 

CGの礎を築いたルーカス

 

今では、当たり前に映画の中でコンピューター・グラフィック(以下CG)が使われていますが、当時はCGなんてものはほとんど使われていませんでした。


しかし、宇宙やデス・スターの戦闘シーンなど、CGなどをつかった特撮技術がどうしても必要になり、ジョージ・ルーカスは、ILM(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)という特撮をする会社を設立します。

 

その一部門が後に、ディズニーに買収されるピクサーになったりし、今日の特撮・CG技術の基礎をつくりあげる場所となっていくことになるのです。

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また、ILMは、そのCGの技術力から、ターミネーター2の液体金属となるTX-1000をつくりだしたり、CGの世界における大革命となる「ジュラシック・パーク」なども成し遂げることになります。

 

スターウォーズは、アメリカン・ニューシネマの終焉を促した作品であると共に、今日におけるCG技術における功労者でもあるのです。


ちなみに、スターウォーズエピソード4では、デス・スターに突入するときの作戦会議で使われる、緑色の線のみで構成されるフレームがCGでつくられています。

 

画面で現れて、どういう風に敵の要塞を攻略すればいいのか、ということが話し合われるのですが、ここででてくる緑色の線ぐらいしかCGは使われていません。

 

1977年当時の技術ではそれが精一杯だったのです。

 

スターウォーズの内容と画期的なこと

 

前段階の話はこれぐらいにしまして、スターウォーズの内容に入っていきたいと思います。


知っている方も多いでしょうが、スターウォーズは、2015年12月に公開されるエピソード7を抜かせば、6作品です。


エピソードが1~6あるのであれば、普通はエピソード1から見るのが普通だと思うでしょうが、実際に劇場で公開された順番は、4、5、6となっています。

そして、6まで公開されてから、1、2、3と公開されています。


実は、スターウォーズは、当時の映画の中でも珍しく、人気がでたから続きが作られたのではなく、巨大な物語の一部分を切り取ったという物語構造をもつのです。


どういうことかといいますと、当ブログでも紹介したTEDで紹介しますと、もともとTEDは、一作で終わる予定の低予算映画でした。

それが予想外のヒットにより、TED2が作られたのは記憶に新しいと思いますし、それがどういう風に当ブログで観ることになったかというのは、以下の記事を参照していただきたいと思います。

 

 

基本的には、1がヒットして、2がつくられるのが通常です。

 

ですが、当時、ジョージ・ルーカスが物語の設定を考えたときに、既に巨大な物語として、エピソード1から6(1980年当時は、全9部作と言われていたそうです)を考えた上で、予算の関係や、当時の技術力を考え、時代的なつながりのない、エピソード4から作り上げました。

 

そして、人気がでたら残りをつくろうとした、という魂胆だったのです。その目論見はみごとにあたり、今日まで続くスターウォーズブームへと発展するのです。


そのため、エピソード4は、劇場公開時は、単にスターウォーズとしてのみクレジットされ、後に、エピソード5にあたる「帝国の逆襲」で副題がつき、後に、エピソードと番号がつけられたわけです。


なんとなく、スターウォーズを知っていた人間からすると、いつのまにエピソードなんとかっていうのがついていたんだ? どれから観ればいいんだっけ、と混乱してしまうこと請け合いです。

 

スターウォーズ エピソード4の内容

 


ようやく、単体の物語について触れます。


エピソード4は、王道を狙ったというだけあって、実に単純明快です。


田舎の星タトゥイーンにいるルーク・スカイウォーカーは、家で畑仕事を手伝っています。

 

まわりの人間は反乱軍に入ってみたり、士官学校にいってみたりする中で、太陽が二つある星で親の畑の手伝いをしながら歳だけ取っていくのだろうかと思っているところに、自分が伝説のジェダイの騎士の息子であることを知り、反乱軍の指導者の一人であるレイア姫を助けだすために、帝国群と闘う。

 

っというのが、大まかな内容です。

 

 

 

姫を守りながら、目的を達成するという、ある意味において王道の中の王道。これを、宇宙を舞台に、銀河帝国と抵抗軍、ジェダイと呼ばれるライトセーバーを使う戦士による戦い、ダース・ベーターという超有名な悪役。

これがあわさって、実に面白く観ることができます。


1977年の映画なんて古い。

 

と思うかたもいると思いますが、特撮をつかった映像は非常に派手で見ごたえがありますし、ミニチュアをつかったようにみえる場面も、工夫によってそうとわからない撮影が行われていて、迫力があります。

かえって、エピソード1・2・3はたしかにCGが沢山つかわれていますが、丁度、半端な時代のCGなので、かえってエピソード4のほうが迫力があるようにみえるのは皮肉なものです。

 

黒澤明の影響

 

さて、エピソード4を語る上でかかせないのが、日本映画の影響です。


一説には、ジェダイの騎士は、「時代(ジダイ)」という日本語から来ているとも言われ、ジェダイの騎士の格好が日本の和服っぽくみえるデザインなのも、ルーカスが日本好きということからもみてとれるものです。

特に、エピソード1では、アミダラの女王は、ほとんど和服同然の格好だったりするので、スターウォーズの世界そのものが、日本に影響を受けていることは否定できません。


中でも、黒澤明監督の名作「隠し砦の悪人」の影響は強く、ジョージ・ルーカスは、隠し砦の悪人を参考にしながら、脚本を書いたとも言われています。


隠し砦の三悪人には、百姓の男である小柄な又七と、身体の大きな太平がでてきます。

この二人はケンカしたりしますが、お互いを大切に思っていながら、自分の保身のために裏切ったりする、でこぼこコンビです。


この二人が、スターウォーズでいうところの、金色の翻訳ロボットC3POと、飛行機にのって闘ったりするR2-D2にあたります。C3POの時々、みせるズル賢さは、隠し砦の2人を参照しているためです。


とぼけたキャラクターも酷似しており、隠し砦の三悪人をみていると、C3POとR2D2をみているような気分になってくるから不思議です。

 

太平と又七が、真壁六郎太という侍大将と共に、雪姫という気の強い女性を、他国まで送り届けるというのが隠し砦の三悪人の内容になります。


そして、スターウォーズでは、この護衛するべき雪姫が、キャリー・フィッシャー演じるレイア姫にあたります。


スターウォーズを観てると、ハリソン・フォード演じるハン=ソロとむちゃくちゃやりあったり、銃を持って主人公たちよりも敵を倒す気の強いレイア姫ですが、もとになる雪姫が、同じように気が強く気高いキャラクターなので、レイア姫がそのようになってしまうのは、当然なのです。


守られるのがお姫様、というイメージがありますが、レイア姫がめちゃくちゃ強く、肉食系な顔立ちであるため、おれの姫様像を返せよ! と憤慨しそうになりますが、みているうちにレイア姫キャリー・フィッシャーじゃないと駄目だと思うようになります。


ちなみに、スターウォーズでは必ず乗り物にのって闘うシーンがでてきます。

隠し砦の三悪人にも、三船敏郎演じる真壁六郎太が、逃げる兵を馬で追いかけて切り捨てるシーンがあり、非常に影響を感じさせます。


これも、エピソード6で似たシーンがでてきますし、エピソード4でハン=ソロが、ドロイドをおっかけると、大量のドロイドがいる待機部屋にいってしまって、逆に追われる立場になってしまう、っていうシーンも隠し砦に酷似した部分があります。


黒澤明映画などの対比を観ながら、スターウォーズをみても面白くみることができると思います。

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はじまりのエピソード4と、フォース

 

大雑把にいってしまうと、エピソード4は、ルーク・スカイウォーカーが田舎からでて、自らの運命を知るというところで物語が終わります。


二つの太陽を見つめるルークの姿をみて、このまま終わってしまうかもしれない自分と重ねてみた人も多いと思いますし、フォースという謎の概念に心を引かれた人も多いと思います。


スターウォーズでは、特にジェダイの騎士があやつるというフォースという概念が非常に重要になってきます。

禅や、気といった概念を取り入れたものと思われますが、作中では必ず、


「フォースと共にあらんことを(may the force be with you)」

と言います。


これは、

「神と共にあらんことを(may god be with you)」

をもじったものとも言われており、スターウォーズの世界の根底に流れる重要な言葉でもあります。


キリスト教的なモチーフが根底に流れており、たまに見かけるルークがライトセーバーをもつイラストなんかが、十字架にみえるようになっているのは、露骨にキリスト教を意識しているからでもあります。

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スターウォーズは、冒頭に流れますが、はるか昔の銀河の物語となっています。これは、我々が生きている銀河ではなく、どこかにある銀河のはるか昔となっています。


いわば、その銀河の創世記として語られている物語であるということも特徴です。

神話を語っているということを前提として、スターウォーズシリーズをみることによって、より理解が深まっていくと思います。

 

特別編

 

余談ですが、エピソード4が、劇場公開のタイミングでいうと一番古いことになります。しかし、スターウォーズシリーズは、DVDになるにあたって何度か修正が加えられています。

 

エピソード4では、ストップモーションアニメで動いていた奴が、CGで作り直されていたり、ハン=ソロが借金をしている、ジャバという巨大な怪物は、作り変えられており、見る影もありません。

町並みが追加されていたりと、ちょこちょことCG追加されています。

これは、エピソード5・6でも適応されていて、かえって、当時の特撮と半端なCGがあわせって奇妙な気分になると思います。

 

CG技術の発展途中だったこともあり、追加されてもなお奇妙に映るので、修正するのはいかがなものかと思いますが、それだけ、手がかけられている作品でもあります。

 

1から観るか、4から観るか。

興味がでたかたは、エピソード7を見る前に、予習として是非、スターウォーズシリーズを観てみてください。

別エントリーでは、エピソード1について紹介しておりますので、興味がでた方は是非以下の記事もみてみてください。

 

ちなみに、どれからみればいいのかについては、律儀に公開順を守るのであれば4からですが、てっとりばやくエピソード7の予習としてみるのであれば、1から順番にみていったほうが、頭に入りやすいと思います。

その理由も含めて、当ブログ内で語って参りたいと思いますので、よろしくお願いします。


以上、『エピソード4から観るか?徹底解説/スターウォーズエピソード4「新たなる希望」』でした。

みなさんが、フォースと共にあらんことを。

 

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