シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

神と悪魔に鉄槌を。ジョン・ランディス 映画「大逆転」

大逆転 (字幕版)


「星の王子 ニューヨークへ行く」の中で登場する二人のホームレス。

彼らは、映画「大逆転」において、主人公たちを翻弄し、気まぐれで人間を陥れてしまう存在として描かれていましたが、最後に彼らは失敗してしまいます

前日談というほどのものではありませんが、「星の王子 ニューヨークへ行く」を見て、ジョン・ランディス監督作品が気になった方にむけて、簡単に内容を説明しつつ感想を述べていきたいと思います。

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すべてを手に入れた男

「星の王子 ニューヨークへ行く」の冒頭と、本作品は、変わらないような始まりだったりします。


主人公であるルイスは、商品仲介会社であるデューク&デューク社に勤め、将来を嘱望される男でした。

恋人もいて、お金ももっていて、商才もある。

恋人との結婚も目前に控え、まさに絶頂期にある男といって過言ではありません。

片一方の視点からみれば、本作品は、すべてを手に入れた男が、すべてを失い、再び取り戻すという物語といえるかと思います。

お金やステータスばかりしかみていなかったまわりの人間に気づき、本当に信頼できる人間関係を築くことができる、という点がわかっていく物語になっています。

もう一人の主人公は、エディ・マーフィです。

人は環境に左右されるのか。


エディ・マーフィ演じるビリー・バレインタインは、もともとはホームレスとして生活をしていました。

傷痍軍人のふりをしてお金をとろうとしたりして、とても、まっとうな生きかたをしているとはいいがたい人物でした。

そんな彼が、デューク兄弟に目をつけられてしまいます。

 

兄弟は、それぞれ言います。

「人間は環境に左右される」

「人間は血で決まっている」

昔からよくいわれている議論ではあります。

劣悪な環境にいれば、人は悪い人間になってしまうのか。

悪い人間として生まれてくれば、それは環境にかかわらず悪い人間なのか。

 

性善説か。性悪説か。

そんなことを証明したくなり、デューク兄弟は、禁断の賭けを行ってしまうのです。

 

ヨブ記

さて、突然ですが、本作品をみて思い出したのは、聖書におけるヨブ記です。

ヨブ記とは、神への信仰が厚い男をみて、神とサタンが賭けをするというものです。


信仰心の強い男であるヨブは、どれほどひどい目にあったとしても、神への信仰を捨てないのか、という賭けを行うことになったために、ヨブは世にもひどい目に合うのです。

「大逆転」においては、デューク兄弟こそが、その神とサタンに該当するように思われます。

1ドルという価格をかけて、人の人生をもてあそぶ。

会社を成功させてお金もちになった彼らは、貧乏人や、力のないものたちをもてあそんでいいはずもなく、最後には天罰が下るという点も、エンターテインメントとして当然の構造となっています。

 

環境か?

さて、物語としては、ホームレスをやっていたビリーが、思った以上に適正を発揮し、デューク社で頭角を現してきます。

デューク社の内容を、簡単にきかされて、ようは、ノミ屋だ、といいあてるあたり、もともとの頭の良さもあるように思えます。


エディ・マーフィ演じるビリー側からみると、人間というのはやはり環境によって左右される、という物語に見えます。

また、すべてを奪い取られてしまったルイスは、物語の途中拳銃をもって殺人をおかそうとするあたり、やはり、環境にだって影響を受けるという作品にも見えます。


ですが、本作品の本質は、やはり、人間をコマのように扱うと、最後には、自分が痛い目にあう、という内容になっているところです。

 

原題

原題は、「Trading Places」です。

まさに、立場が入れ替わる物語です。

貧乏人とお金持ちが入れ替わり、本人たちが働いている仕事もまた、相場によって、優劣が簡単に入れ替わってしまう商売でもあります。

最終的に主人公たちは、立場が入れ替わったとしても、血統や環境ではかわらない仲間を手に入れて終わる物語となっています。

まさに、邦題はまさに、「大逆転」となる話なわけです。

 

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以上、神と悪魔に鉄槌を。ジョン・ランディス 映画「大逆転」でした!

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