男子に辛く。男はバカな生き物。青い体験
青春というのは人それぞれですが、誰しもが最近の日本映画のように、イケメンと美女と学校生活、という青春ではないでしょう。
「青い体験」は、主人公は中学生くらいの男の子になっています。
母親が死んだのと同時にやってきた、美人な家政婦さんによって、頭がどんどんおかしくなっていく一家を描く、エロティックコメディです。
正直、笑えませんが、そんなあたりを含めて感想&解説を書いていきたいと思います。
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男ってバカ
母親を亡くし、父親、兄、自分、そして、小さい弟による、男だらけの一家に、ラウラ・アントネッリ演じる家政婦さんがやってきます。
ラウラ・アントネッリは、イタリアにおいてはセックス・シンボルとして存在していた人であり、一時期におけるマリリン・モンローのような存在だと思っていただければいいかと思います。
男所帯にやってきた家政婦さんは、部屋を片付けてくれたり、おねしょをする末っ子のトイレを始末してくれたりと大活躍。
あっという間に、家族の中で中心的な存在になります。
ただ、ラウラ・アントネット演じるアンジェラは美人すぎました。
棚に上ろうものなら、男たちはスカートの中身をのぞこうと床に這いつくばったりする始末で、このあたりの滑稽さには、苦笑させられてしまうところです。
男の子の友達
ニーノの友達もまた思春期まっさかりであり、ことあるごとに裸がみたいとか、見ていて恥ずかしくなってくるところです。
「青い体験」の面白いところは、いわゆる「筆おろし」ものというジャンルになるそうで、もてなくて自信のない少年が、年上の女性に手ほどきを受けるというところに少なからずの夢があるところでしょう。
ニーノは、アンジェラに対して様々な要求を出します。
棚にある本をとってくれ、といってみたり、裸になるように命じてみたりと、正直、常軌を逸した行動に思えますが、思春期バリバリの少年のもとに、四六時中美人の家政婦さんがいたら多少はおかしくなってしまうことでしょう。
そんな、まともだった(とはいえ、どさくさに紛れて未亡人の足をさわったりする変態性をもっています)少年が、その純粋さゆえに犯罪的な行為に走っていくところは、現代の世の中からみてみると、恐ろしいものがあります。
実は、サスペンス
「青い体験」は、男の側からみれば、思春期に振り回される男の話であり、いい年をしているにもかかわらず、若い女性をおっかけてしまう中年男の心理も表現された、ある意味において面白い映画となっています。
しかし、家政婦であるアンジェラからすればどうでしょうか。
「やっと、幸せになれると思ったのに」
と、彼女は言います。
劇中では、正直、できすぎた存在に思えてしまうアンジェラ。
若くて美人で、家事全般ができて、子供たちのことも好きである、という完璧っぷり。
本来は、家政婦として仕事のために働きにきているはずなのに、一家の長であるイグナティオからは、求婚されますし、その長男からは、いやらしい目でみられたり、迫られたりします。
一番純粋そうなニーノは、はじめこそ、花をこっそりプレゼントしてくれる純情そうな少年だったのが、友達に自分の裸をのぞかせるわ、もう、とんでもないことになっていきます。
物語終盤の、ほぼ全裸になりながらの逃走劇からの反撃などは、もう、わけがわからないぐらいです。
幸せになることを望んでいた彼女は、バカな男たちから嫌な視線を受けながら、それを必死にかわして生きることになるのです。
おそらく、彼女はイタリアへの移民なのか、決して幸福な人生ではなかったはずです。
ようやく職にありついたからこそ、彼は、家族からの性的ないやがらせに耐えながらも必死にやり過ごそうとするのです。
性的なところでいえば
前述のとおり、本作品は筆おろし映画にもなっておりますので、年上からのアプローチもあります。
ニーノが足を怪我したときに、アンジェラが、下半身をまるだしにさせたニーノに薬を塗るシーンや、雷が鳴る中での情事などは、悪夢と夢とのぎりぎりのラインといえるでしょう。
むしろ、現代であれば、トラウマになってしまうかもしれないぐらいです。
「青い体験」は、思春期の主人公の、どうしようもない心とエロスに蝕まれた精神性がわかる作品となっていますので、中学生男子の心をわかりたい方は、見てみても面白いかもしれません。
また、一定の年代にとってすれば、日常にあるエロスを含めた中で、思い出深い作品になっていると思いますので、そんなあたりを考えながら見てみるのも面白いかもしません。
以上、男子につらく、男はバカな生き物。青い体験 でした!