シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

おっさんのゲーム魂は傷つかない。映画「ピクセル」

ピクセル (字幕版)

ホーム・アローン」で有名な監督、クリス・コロンバス監督によるビデオゲーム全盛の時代を生きた人間の、ブロマンス映画的であり、トラウマ克服映画でもある本作品について、どのような点を強く見ていくといいのかを解説してみたいと思います。


オタクは、世界を救うのです。

 

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クリス・コロンバス

監督についての説明から入っていきますが、一人で留守番をすることになってしまった少年が、泥棒を退治する「ホーム・アローン」や、すれ違いの結果離婚することになってしまった主人公が、子供たちのために特殊メイクをつかってベビーシッターとして活躍する「ミセス・ダウト」。

 

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グレムリン」や、「グーニーズ」といったSFや冒険ものまで幅広く脚本も製作する人物であり、その面白さには定評のある監督です。


近年でいえば、ハリー・ポッターシリーズの監督も手がけていますので、だいたいどのような代表作があるかわかるかと思います。

 

さて、そんな監督が手がけた「ピクセル」は、どのような話でしょうか。

オタクが世界を救う。

1980年代にビデオゲームの魅力に取り付かれた主人公は、ゲームの動きを読み取る才能を開花させ、ビデオゲームの大会で決勝戦を迎える。


しかし、「ファイヤー・ブラスター」を名乗る少年にドンキー・コングで負けたことで自信をなくし、その後落ちぶれた人生を過ごしてしまいます。


十数年後、宇宙に打ち上げたビデオメッセージを宣戦布告だと勘違いした宇宙生命体は、地球に対してゲーム勝負を挑んでくる。

かつて天才的なゲームのチカラをもっていた主人公たちが、力を合わせて地球を守る、というのが、おおざっぱな内容になります。


この映画は、よくよく考えると設定がおかしい気がしますが、あくまでオタクたちが自信を取り戻すための映画としてみると面白くみることができます。

オタクなおとこたち

アダム・サンドラ演じる主人公のサムは、ドンキー・コングでエディという男に負けたことで、自信を失ってしまいます。

かつて奥さんもいた彼は、離婚してしまい、オタクによるオタク電気で配線接続の仕事をしているのです。

宇宙人の侵略と通して、再び苦手としていたドンキー・コングによって自信を取り戻せるのか、というのが大きな筋となります。


また、「ワンダー・キッド」と名乗るラドローという少年だった男は、ドージョークエストというゲームにでてくるレディ・リサに惚れてしまい、一生をかけて愛することを誓っています。

彼は、陰謀論を信じてしまう微妙な人物ではありますが、キャラクターへの愛はホンモノです。

オタクは敬遠されがちとは思いますが、何かを一途に愛するオタクの心がフューチャーされているのはすばらしいです。

オタクの友情が世界を変えていく話しで面白い映画といえば、サイモン・ペッグニック・フロストが活躍するオタクが世界を救う作品「宇宙人ポール」などでしょうか。

 

宇宙人ポール (字幕版)

宇宙人ポール (字幕版)

 

 

オタクは愛するもの。

「オタクは、キスを大事にする」


サムが言います。

これは一瞬、意味がわからない方もいるかと思います。

でも、考えてみてください。

ゲームに限りませんが、マンガにしてもアニメにしてもゲームにしても、勝利をしたらキスされることが多いはずです。

その後のことではなく、オタク少年たちにとってすれば、キスこそがゴールなのです。


また、ラドローが、好きなキャラクターのために、実際に出会ったときのことを妄想したことを本にしてしまうあたり、正しいオタクといえるでしょう。

オタクによる愛が最終的に成就するという点が、仮にすこし違和感があったとしても、すばらしいのです。

 

レトロゲームすき集まれ

本作品は、いわずとしれたレトロゲーム好きにはたまらない映画となっています。


ギャラガ」や、「パックマン」、「ドンキー・コング」


日本人であれば、かつてゲームの世界を牽引していたのが日本だったというノスタルジーに浸ることができるでしょうし、何より、そのときのゲームというものがどういうものだったかも教えてもらえます。

「ゲームセンターは、社交場だったんだ」

コインをもって、ゲームをする。

文化の最先端だったことがわかるところです。


レトロゲームなどやらなくなった人たちに対して、宇宙人が戦いを挑んでくるという、ある意味、古いゲームの逆襲のような内容になっていると考えても面白いかもしれません。


パックマンの生みの親までカメオ出演するぐらいの徹底ぶりで、ゲーム好きにはよりたまらない内容になっています。

 

設定がおかしい。

主人公たちは、ゲームが得意なのであって、射撃が得意なわけでも、体力があるわけでもありません。

特に、パックマンとの戦いにおいては、車をバリバリ運転しますが、それはあまりゲームと関係ないところだと思います。

もちろん、主人公たちがレースゲームにはまっていて、それが実生活でも転用できるなら話は別ですが、そういうものではないはずです。


また、空に向かって光線銃を発射するなんてこと、訓練していない人間は長い間できるとは思いません。

体力のほうが先に尽きるはずですが、そういうところはファンタジーです。


ですが、「ピクセル」をみるにあたっては、そのような考えはもたないでいたほうが面白く楽しむことができます。

親友が大統領で、宇宙人がゲームで勝手に宣戦布告してくるわけですから、そのあたりは気にせず、オタクでだめな主人公たちが、オタクであるからこそ再び人生を取り戻す、という点こそがこの作品の面白いところです。

 

誰がみても楽しめる映画

老若男女問わずに楽しめる映画を数々つくってきた監督なだけあって、本策もまた年齢を問わない面白さがあります。


レトロゲームを知っているほうが楽しみ方が増えますが、「現代のゲームはパターンがなくてつまらない」

「キャラクターに感情移入するんだよ」

といったやり取りなど、世代間の考え方の違いをみせてみたり、オタクと一般人の考え方をみせてみたりと、歩み寄るような内容になっています。


何よりも、オタクだからといって世間から後ろ指さされるのではなく、活躍できる場所が必ずある、と教えてくれる勇気を与えてくれる映画となっているのが「ピクセル」となっています。


また、難しいことを考えずに主人公がドンドン戦って勝利していく物語としてもみて楽しめるエンターテインメントになっています。


以上、おっさんのゲーム魂は傷つかない。映画「ピクセル」でした!

 

 

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