シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

クイーンと出会おう! 映画「ボヘミアンラプソディ」

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

 

クイーンといえば、伝説的なイギリスのロックバンドです。

とはいえ、ボーカルであるフレディ・マーキュリーが死去してから長い年月がたち、名前だけは知っているけれど、あまり詳しくは知らない、といった人たちが多くなってきていたのではないでしょうか。

100メートル先からきいてもわかるという独特のサウンド

伝説のロックバンドの伝記的映画「ボヘミアン・ラプソディ」について、その内容についてネタバレしつつ、映画的な見方を中心に紹介していきたいと思います。


映画をみたあと、再びフレディが貴方の心に現れるに違いありません。

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フレディ

フレディ・マーキュリーという人物をまったく知らないという人はおそらく少ないのではないでしょうか。

「魁クロマティ高校」でも、フレディそっくりのキャラクターがいたりしましたし、そのあきらかにヤバイ風貌は迫力をもって受け入れられてしまうものです。

 

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ただし、その人となりについては、ファンであればあたりまえでも、一般人にとってすれば、興味のない事柄かもしれません。


映画「ボヘミアン・ラプソディ」では、フレディ・マーキュリーという男の生涯を描きつつ、クイーンの音楽を再び観客の心に刻み付けた作品でもあります。

フレディ・マーキュリーは、サンジバル人民共和国出身という特殊な生い立ちです。

宗教は、ゾロアスター教であり、イギリスのアート系の学校でデザインを習っており、凄まじいインテリな人物でもあります。


劇中では、そのあたりの内容はさくっとカットされておりましたが、フレディ・バルハラという人物は、もともととんでもない人物であったのです。


そんな人物が、「スマイル」というバンドに加入し、バンド自体が巨大になっていく姿をダイジェストで描いていくのですが、映画的な要素も盛り込みながら物語は進んで生きます。

 

音楽のつくりかた

ボヘミアン・ラプソディ」のすごいところは、今までクイーンを知らなかった人たちが、楽しく見ることができる、という点ではないでしょうか。

伝記的な作品であれば、その人物を知らなければ面白くないものですが、本作品は、テンポの良い編集と、テーマ性の盛り込み、音楽がどのように作られていくのかをみせていくため、知らない人でも楽しむことができます。


クイーンの代表曲の一つであり、映画のタイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」この曲が作られたときのEMIとのやり取りがあります。


ロックバンドでありながら、オペラをテーマに作り出す、という主人公たち。

ラジオ全盛であり、6分を越える長い曲を発表しようとする彼らのやり取り。


また、フレディが生涯でただ一人愛した女性メアリーに送った曲が、観客全員で歌われる、ということの面白さ。

音楽が自分たちのものだけではない、ということのインスピレーションから、ブライアン・メイが、「ウィー・ウィル・ロック・ユー」の方向にもっていくというエピソードもワクワクします。


音楽ができていく過程がわかる、という点に加えて、このバンドメンバーのやり取りそのものが、フレディという天才にとって、家族とは何かを教えてくれる物語にもなっている点でも、視点を変えてみることができます。

 

家族とは

フレディの父親は、厳格な男です。

ですが、ロックバンドをするという生き方をする息子に、苦々しい想いがあることものぞかせます。

本当は、ボクシングをやるような男らしい息子に育っていって欲しかったはずです。

「善き想い、善き言葉、善き行い」


ゾロアスター教における「三徳」について、その言葉を息子に教えてきたはずなのに、親の期待通りに育っていかないもどかしさがあります。


最終的には、フレディなりのやりかたで、この父の教えを実践することで、親子の和解へとつなげていく、という事実なのか映画的な演出なのかは別として、うまくまとめている手腕があります。


また、バンドの対立を含めて家族とは何かをみせている点も優れています。

 

フレディは、バンドメンバーともめてソロ活動を行うことになります。


一人で音楽を作るのですが、結局彼はバンドメンバーのもとに戻ってきます。


みんなと音楽をしたい、というフレディに対してブライアン・メイは言います。

「それ以外にも理由があるんだろ」

「・・・、彼らは俺に反対しない」


名声を得たあとのフレディに従う人物たちは、フレディの言葉に従うだけで文句の一つも言いません。リライトするなんてこともしません。


それはそうでしょう。

尊敬する人物の言葉が絶対だと思うからです。


ですが、クイーンのメンバーは、時には反発したりしながらも、良い音楽をつくろうとして化学反応を起こしているのです。


対立しても、いがみあっても、それでも、戻ってくる。だからこそ、家族なのだ。

そういう家族のありかたも含めて「ボヘミアン・ラプソディ」はかたっているのです。

 

そっくりさん

さて、余談になりますが、クイーンを知っている人であれば、あまりに登場人物たちが似すぎていて驚くと思います。

フレディ・マーキュリーについては、動きなどは似ていますが、そのほかのメンバーは、見た目までそっくりで、別の意味で面白くなってきてしまいます。

 

もし、映画をみにいっていない人がいれば、実際のクイーンのアルバムか何かで事前にメンバーの顔を覚えてからいくと、不思議な気分になることうけあいです。

 

フレディの役者にいたっては、1年半以上の期間役作りをしたということもあって、コアなファンでも納得せざるえない部分は多いことと思います。

音楽のよさ

ボヘミアン・ラプソディ」は伝記的な映画であり、物語的には、フレディ・マーキュリーという男が、最大のチャリティライブであったライブ・エイドに出演するというはじまりと、終わりにサンドする形で、彼の人生がかたられます。


ボヘミアン・ラプソディ」で曲をきいていると、今まで、テレビのCMや何かの行事で耳にしたことがあることに気づくでしょう。


今までもクイーンの曲に出会っていたと思いますが、「ボヘミアン・ラプソディ」を通じて、改めて曲と出会うことでわかることも多いと思います。


物語としては、事実に基づいて作られているという点もあり、天才の男が成功し、やがて孤独になり、病に蝕まれながらも、再びバンド(家族)のもとに戻るという話しです。


ただ、この映画がたんなる伝説の人物のいい話、という話だけにとどまらずヒットをしたところには、クイーンの音楽を映画館できき、実際に、音楽というものを体感できるからにほかなりません。

主人公は天才ですが、楽をして名声を得たわけではありません。

インド人でありながらイギリスで暮らし、ゾロアスター教徒であり、かつ、バイセクシャルである、といういくつものマイノリティを掛け合わせた人物です。


そんな彼が数々の苦難を乗り越えて、音楽をうたうというところに感動があるのです。


「ドントストップミーナウ」がエンドロールにかかります。


これは、クイーンが、まさにイケイケだったときに発表されたときの曲であり、誰も止められない疾走感があります。


ライブ・エイドを歌い切った後にかかる曲の絶妙さと、その後の「ショー・マスト・ゴーオン」がかかったときの、胸に迫る想いはさすがです。


フレディの没後かなりの年月がたちましたが、クイーンはいまだにショーを続けている。


今まで知らなかった人に、クイーンを教えてくれる映画となっておりますので、何度でも映画館に足を運んでいただきたいと思います。

 

以上、クイーンと出会おう!映画「ボヘミアン・ラプソディ」でした!

 

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