シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

大脱出!スマッシュなアニキ達。スタローン&シュワちゃん夢のW共演「大脱出」感想

 

大脱出 (字幕版)

 

かつて、アメリカン・ニューシネマ(またはニューアメリカンシネマ)が、シルベスター・スタローン主演「ロッキー」によって終わりを告げ、やがて、筋肉スターたちのアクション映画が台頭してくるようになっていきました。

映画の歴史の中において、いまだに、伝説として生きている人物シルベスタ・スタローン、そして、アーノルド・シュワルツネッガー。

一定の年代の人たちであれば、この二人の名前によって様々な思い出が蘇ることと思いますが、そんなスターが、まさかのダブルで主演する映画「大脱出」について、感想を述べてみたいと思います。

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筋肉スター

アーノルド・シュワルツネッガーこと、シュワちゃんについて説明するのはヤボというものかもしれませんが、知らないかたのために、ごくごく簡単に説明したいと思います。


アーノルド・シュワルツネッガーは、オーストラリア出身であり、且つボディービルダー出身の俳優です。

カリフォルニア知事ということでも長年活躍しておりましたが、やはり、ジェームス・キャメロン監督「ターミネーター」におけるシュワちゃんの存在感は群をぬいているところでしょう。

ボディビルダーとしても絶対的な知名度を誇っており、俳優をはじめる前の時点で実は知る人ぞ知る伝説的な人物でした。

ただし、俳優としてすぐに活躍したか、というとそうわけでもなく、オーストラリア訛りがぬけないために、非常に苦労をしたという逸話は枚挙に暇がありません。


「大脱出」では、多少筋肉量が減ってしまったものの、シュワちゃんのほこる筋肉は一度はみてみて損がない凄まじいものです。

映画「コナン・ザ・グレート」のシュワちゃんは、全盛期といった感じですので、その活躍を知った中で、「大脱出」をみると、歴史の流れが心にささるように思います。

 

努力とアニキ

シルベスター・スタローンもまた、みずから脚本をつくり、それを主演することによって、映画の歴史に名を残し、また、その後にも大きな影響を与えた人物です。

「ロッキー」シリーズの影響はいうまでもありませんし、ベトナム帰還兵の悲しみをえがきつつ、殺しまくった映画としてギネスにまで登録されてしまった「ランボー」シリーズ。

「エクスベンダブルズ」では、不幸な俳優人生を送ってしまっている友人たちを拾い上げつつ、使い捨ての男たちを描いたマルチに活躍できる人物です。


シュワちゃんにしても、スタローンにしても一時代を築き上げた偉人です。


そんな二人が、脱出不可能な刑務所から脱出する、というのは、それだけでワクワクしてきてしまうところです。

 

メタ脱獄もの

さて、そろそろ内容に入っていきますが、「大脱出」は、コンセプト的には非常に面白いものです。


シルベスタ・スタローン演じるレイ・ブレスリンは、わざと刑務所に入ったあとに、脱獄し、その刑務所に対してセキュリティの甘さを指摘した上でコンサルタントを行うという商売をやっています。


物語冒頭では、計算しつくされた行動と、地道な行動と観察の積み重ねによって見事に脱獄をするところからはじまります。


そんな脱獄のプロであるブレスリンが頼まれたのは、民間で運営されている絶対脱獄不可能な刑務所です。


そこのセキュリティを調べるべく依頼をうけるのですが、ブレスリンはあっという間に拉致されてしまいます。


果たして、ブレスリンは最新の刑務所から脱獄できるのか、というのが大筋となっています。

 

脱獄ものといえば

さて、脱獄ものといえば、「ショーシャンクの空」がもっとも有名なところです。

また、クリント・イーストウッドによる「アルカトラズからの脱出」や、ポール・ニューマンによる不屈の闘志と神の試練を思わせる「暴力脱獄」が有名どころでしょうか。

 

 

脱獄ものの解説で重要視されるところは、脱獄不可能な刑務所から、いかにして脱獄するか、というところが注目されがちですが、脱獄もので面白いのは、刑務所というところが社会の縮図として描かれる、という点です。


一般的な社会ではみえていないだけで、ルールによって縛られています。


ある意味わかりやすく反抗しやすいルールがみえる刑務所の中で、主人公たちがどのように生きるのか、というところがポイントです。


「暴力脱獄」のポール・ニューマンは、刑務官に目を付けられて何度も酷い目にあったり、ボクシングで殴られまくったとしても、彼は決してあきらめません。

勝つのではありません。

諦めないのです。

どんなときでも、にやにやと笑いながら、しかし、決して信念を曲げない。

 

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ショーシャンクの空に」にしても、刑務所から脱出するために、リタ・ヘイワースのポスターを張って、その先にある生活を夢みながら地道に脱獄へと準備を続ける男と、その影響によって生きる希望を得た男もまた描いています。

 

 

刑務所も社会も、人の心も変わらない。

脱獄ものは、脱獄が一体何のメタファーなのかを意識することでより一層面白くみることができるのです。

爽快・痛快

「大脱出」ですが、脱出のプロセスそのものはそれほど重要ではありません。

脱獄ものである以上、脱獄はします。

ですが、今回は、シルベスタ・スタローン演じるブレスリンが、脱獄をした経験と考えに基づいてつくった本を出版しており、その本に基づいてつくられた、ある意味理想の刑務所からの、脱出がポイントとなっています。

レスリンは、自分自身と戦っているといえるのです。

 

脱出のプロがつくった刑務所から脱出できるのか。

そんなコンセプトがそそられます。


また、シュワちゃんとスタローンは実生活でも友人であり、そんな二人が映画の中で友情をはぐくむというのは、ファンにとっても嬉しいところです。

 

大脱出の楽しみかた

ただ、筋肉スターが二人そろっていることからうすうす勘付いてしまうかたも多いでしょうが、「大脱出」は、海外ドラマ「プリズンブレイク」のような緻密な脱出劇を期待するような映画ではありません。


先ほど記述したばかりですが、この映画は、脱獄はこういう社会の縮図なのだ、とか、人間心理をたくみについた論理的な脱出が、とかそういうものを求める類のものではありません。

はじめこそ、それっぽく脱獄を見せてくれますが、最後のほうには、銃撃・肉弾戦。

脱獄ものだから、こっそり動くのかと思いきや、見つかったら、銃を奪ってぶっぱなし、敵を倒したら、捨て台詞を吐く。


一部のファンがなぜここまで喜んでしまうのかは、やはり、80~90年代の筋肉マッチョな男たちが大活躍する映画の面影を感じるからに他ならないでしょう。


脱獄するのに協力する男がいるのですが、あっさり弾に当たります。

ほかの雑魚キャラはあっというまに死にますが、シュワちゃんとスタローンはあたりません。

あれほどの銃撃戦であり、当たりそうな場所にいるにもかかわらずです。一応、一発くらいますが、そんなもの演出に過ぎません。

このあたりは、もうお約束です。


この映画は、一瞬老齢な筋肉スターがおりなす頭脳アクションかと思いきや、単なるドンパチをしてしまう、スッキリ感を楽しむ絵映画となっていますので、小難しいことを考えないで、ちょっと細くなった筋肉スターたちの戦いを是非味わっていただければと思います。


以上、大脱出!スマッシュなアニキ達。スタローン&シュワちゃん夢のW主演「大脱出」感想でした!

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