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シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

シン・ゴジラのあとには岡本喜八を。ブルークリスマス

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庵野秀明監督が多大なる影響を受けたという岡本喜八

当ブログでも、「日本のいちばん長い日」を取り上げましたが、特にエヴァンゲリオンの使徒の血が青いという点でも、リスペクトを捧げている「ブルー・クリスマス blood type:blue」も解説してみたいと思います。

 

特撮を使わない東宝映画


当時、未知との遭遇や、スターウォーズなど、特撮をつかった映画がはやりにはやった時代にあった中で、岡本喜八監督「ブルークリスマス」は、特撮を一切つかわないというコンセプトのもと作成された映画です。

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内容は、地球人の血が青くなるという現象が発生し、政府が徹底的な弾圧工作や情報操作をしていく中で、犠牲になる人々を描いています。


主人公は主に二人であり、仲代達矢演じる国営放送の報道部員である南(みなみ)、そして、国防庁の部隊員である沖(おき)です。


物語の前半部は、報道部員である南が、新人女優の血が青いということを友人に知らされたことを、うっかりしゃべってしまったことが原因で起こるトラブルが描かれます。


また、UFOの存在を学会に発表した兵頭博士は、アメリカの諜報機関に連れ去られてしまい、行方不明となってしまいます。

物語の冒頭に存在感を示しておきながら、物語の後半まで姿をみせず存在感のみを示すやり方は、シン・ゴジラ」の牧博士に通じるところがあります。


そして、後半では、青い血の人間を抹殺する部隊に身を置く沖が、抹殺指令を受けたのは、自分が唯一愛した女だった、という悲劇が描かれるのです。

 

人間の差別はかわらない。

劇中では、何度もナチを取り扱った映像が流れます。


ユダヤ人を差別し迫害し、殺害することで世論を統一していったナチ政権のありようを、青い血の人間を差別する人たちに重ねることで、よりその人間の業を強調しているのです。

また、自分の理解できない人間がでてきたときの、政府のみならず従来の人間の恐怖など描いています。


血が青くなった人間の見た目は、赤い血の人間とまったく同じです。

ただただ、血が青いだけ。
舌が青いという描写もはじめでてきますが、後はそれほど重要視されていません。

青い血の人間は、UFOによって、理由なく青い血にさせられただけで、政府から狙われて、命すらもとられてしまうのです。


ですが、青い血の人間は心が穏やかになり、争いごともしなくなると語られています。


人を憎み、疑うことをやめることのできない人類からすれば、いいことのように思いますが、青い血の人間は、赤い血が大多数である状態では悪なのです。


人種差別とは異なり、わかりやすいのは、青い血には、いつなるかわからないということです。

劇中で、青い血の人間を取り締まる隊員がでてきますが、自分の腕を毎日傷つけて、「俺は恐ろしい」といっているのです。


いつのまにか、自分こそが迫害される側になっているかもしれない。

また、時代に取り残されるかもしれない、という恐怖を描いた作品でいえば、リチャード・マチスンの作品「地球最後の男」が有名です。


これは、共産主義に偏っていくアメリカに恐怖をした人々を描いたものですが、様々な形で映画化されています。


この作品は、吸血鬼が支配する世界の中で、唯一の人間である主人公が、吸血を倒しながら生きる、という話を描いています。

ですが、吸血鬼側が圧倒的多数になって社会を形成したあと、吸血鬼を殺してまわる主人公そのものこそが、吸血鬼の社会からすれば悪だったことがわかるという価値観の逆転。

時代に遅れてしまったものの苦悩を描く作品となっています。

「オメガマン地球最後の男」一番最近の映画では「アイ・アム・レジェンド」などが有名なところです。

 

 

ブルークリスマス」では、価値観が変わりきることのできない、途中の社会を描いているのです。

 

青い血の影響


さて、重たい話から少し離れてみましょう。


この作品の中では、なぜ青い血になってしまったかが語られます。

「青い血といえば、イカの血液なんかも青いですね。人間の血が赤いのはヘモグロビンが鉄と結合しているのですが、青い血は、ヘモシアニンと銅と結合しているため青いのです。イカの血は、人間の血に近い成分をしているんです。」

と、研究所の人間が、仲代達矢演じる南に説明してくれます。


人間との血液上は近いという点から、その知性へと発展させていき、日本の漫画などでも、イカをすこし変わったポジションから扱った作品も存在します。


虚淵玄がシナリオを担当した「翠星のガルガンティア」では、人類が海で生きるためにイカと同化することで、結果として人類を殺すことになる敵となってしまった世界を描いています。

 

翠星のガルガンティア ~遥か、邂逅の天地~ 下

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また、ギャグ漫画でいえば、地球を侵略しにきた「侵略!?イカ娘」なんかもありますが、こちらは、特に影響は受けてないかもしれません。

 

 

もっとも、影響が大きいのが、冒頭でも書いたとおり、庵野秀明監督「新世紀エヴァンゲリオン」なのです。

使徒の血が青いのは、ブルークリスマスでの血が青いことにオマージュを捧げているといわれております。そして、おそらくは、人間と使徒の違いが、それほどの差ではないということを暗に示しているのではないでしょうか。

 

脚本は倉本聰

倉本聰といえば、「北の国から」シリーズでおなじみの脚本家です。

北の国から」のイメージが強烈な倉本聰ですが、ブルークリスマスなんかも書いているところが驚きです。

 

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物語の前半部は、差別や政府の動き、全貌が明らかになっていくところが大きいですが、後半になるに従って、その大きな流れの中で、悲劇にあってしまう男女が描かれます。


特殊部隊の隊員である沖は、必要もないのに床屋に通う実直な男です。

理由は、そこに勤めている女性に恋をしているためです。そのため、彼はがんばってその女性とお付き合いをはじめることになります。


一方で、特殊部隊である沖は、青い血の人間を取り締まり、弱者ともよべる彼らを抹殺していく立場にあるのです。

ことさら気にすることもなかった彼ですが、愛した女性が青い血であったことで、迷いが生じてくるのです。


「俺のおふくろに会ってくれ」


実直な彼がいうには非常に大変な決断だったはずです。

しかも、なぜか、兄はあの田中邦江です。

青い血のことを無視しながら二人は愛をはぐくみますが、彼の元には、愛した女性を抹殺するように、指令が下ってしまうのです。


いつの世の中でも差別というのはなくならないものですが、この映画では、いつなんとき自分が青い血になるかもしれないという恐怖と、大多数の人間たちこそが、マイノリティな人々を理解することなく、弾圧してしまっているという現実を描いた作品となっています。

人間の心がどうしてもせまくなってしまっている現代だからこそ、観るべきところが多くある作品ですので、「シン・ゴジラ」に興味をもった方は、是非この機会に、岡本喜八の映画から、その世界に入ってみるのも、面白いかもしれません。


以上「シン・ゴジラのあとには岡本喜八を。ブルークリスマ」でした!

 

シン・ゴジラ岡本喜八の記事については以下となります。

 

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