シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

邦画

人は人を裁けない。感想&解説 是枝裕和監督「3度目の殺人」

是枝裕和監督は、戸籍にのらない子供とネグレクトの親を描いた「誰も知らない」や、子供の取り違えから親子とはどういうものかを問うた「そして父になる」などが有名です。 特に、近年では「万引き家族」にてカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞するとい…

広瀬すず主演オススメ映画 チアダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

本作品は、2009年にアメリカのチアダンス選手権大会で優勝をした実際の話を基にして映画化したものとなっています。 物語として演出はあるものの、青春とはどうあるべきか、人間というのは熱中するものがあることでどのように変わっていけるのか、という…

原作との違いは? 映画版アイアムアヒーロー

花沢健吾原作漫画を大泉洋主演で制作された「アイアムアヒーロー」。 日本映画では珍しいお金をかけた本格ゾンビ映画として、その見どころを紹介していきたいと思います。

戦中の同姓愛に踏み込んだ意欲作 山田洋二監督「ちいさいおうち」

「ちいさなおうち」は、中島京子による直木賞受賞作品を、山田洋次監督によって映画化した豪華な作品となっています。 戦争中に、旦那の部下と恋に落ちてしまうという昼ドラのような展開を、女中であるタキという女性の自叙伝によって、半世紀近くたってから…

サブカル系男子必見 映画「モテキ」

漫画原作である本作品は、ドラマ化を経て、さらに映画化もされました。 映画「モテキ」では、原作のキャラクターのいいところを凝縮し、物語的にも、小道具や歌をうまくつかった、素晴らしいできとなっています。 今回は、映画「モテキ」における楽しみかた…

ネタバレ解説。コメディ傑作。面白さの理由は。カメラを止めるな!

「カメラを止めるな!」は、製作費300万程度というものすごい低予算でつくられている映画でありながら、数々の映画館で放映が行われているヒット映画です。 ゾンビ映画を撮影中に、本物のゾンビがまじっていたら、という劇中劇で行われるドタバタ作品を、…

ネタバレなし解説 面白い?つまらない? カメラを止めるな!

各所で話題沸騰の「カメラを止めるな!」ですが、あまりの面白さと、その脚本の巧妙さから、ネタバレをするのが惜しくなる作品となってしまっています。 どんな映画かわからないけど、自分と合うかどうかもわからない、といった方の為に、一般的にこういうも…

クリエイターは必見。職人とアーティストの狭間で。三谷幸喜「ラヂオの時間」

「ラヂオの時間」は、三谷幸喜監督による第一作目の映画作品となっており、そのあとに続く三谷幸喜映画をみるうえでも大いに参考になる作品となっています。 そんな「ラヂオの時間」について、簡単に解説&感想を述べてみたいと思います。

家を建てるときに、貴方は誰に相談しますか/三谷幸喜「みんなのいえ」

マイホーム。その言葉は、かつての日本にとって、いや、今にいたっても特別な響きであることは変わりないのではないでしょうか。 一生を賃貸住宅で過ごすという選択肢もありますが、建売ではなく、設計段階から関わったマイホームとなれば、感動もまた一押し…

園子温の描くエロの先/アンチポルノ

園子温監督といえば、「冷たい熱帯魚」や「恋の罪」といった実際の事件をもとにした映画を製作したり、「ヒミズ」や「希望の国」といった社会に沿った作品もつくるなど、幅広い活躍をしている人物です。 若い頃から、東京ガガガといったパフォーマンス集団を…

映画みたいな人生を送る。「バリー・シール」感想&解説

能力もあってお金もあって、将来性も約束されていて、愛すべき家族がいる。誰もが羨む人生が確定していたとしても、人というのはそのとおりに生きられないものです。 トム・クルーズ主演である「バリー・シール」は、そんな絵に描いたような人生を生きられる…

日本の異常気象は大丈夫か。映画「日本沈没」1973年版

日本は今、異常気象の真っ只中です。 異常気象も毎年続けば、それもまた正常といえる恐ろしさ。 突然ですが、人間のちっぽけさを知ることになると同時に、人間はどう生きるべきかを教えてくれる作品こそが、小松左京原作「日本沈没」です。 もしも、日本が沈…

宮沢りえ主演「湯を沸かすほどの熱い愛」感想&解説

自分の余命がわかったとき、人はどんな行動をとるのでしょうか。 多くの作品がそのような人生の終わりを予感することで、変わる人間を描いてきていますが、「湯を沸かすほどの熱い愛」は、一人の女性が、大きな愛を示し、多くの人間を救っていく物語となって…

ダメな人でも未来を。是枝裕和監督「海よりもまだ深く」

人間というのは、なかなか素直になれないものです。 いいたくもないことを言ってみたり、嬉しいのに怒ってみたり。すべてが自分の思い通りにならないからこそおもしろいといえる人生かもしれませんが、なかなか、そんなに割り切れるものではありません。 そ…

家族も終わる。感想&解説。ネタバレあり。是枝裕和監督「万引き家族」

何かと騒がれてしまっている是枝和弘監督「万引き家族」ですが、本作品を通じてみえてくる事柄や、で是枝監督が描き続けてきた家族というものについて、一つの集大成として描かれた本作品を、ネタバレありで解説してみたいと思います。 誤解をうけることの多…

「万引き家族」を見る前に。是枝裕和監督「そして、父になる」感想

「万引き家族」でパルム・ドール受賞するという快挙をなしとげた是枝裕和監督による家族を前面に押し出した作品「そして、父になる」。 福山雅治が初の父親役ということでも話題となった本作品について、どのような作品であるのか、見所を含めて解説してみた…

青春は暴力そのもの。原作も含めた感想。映画「恋は雨上がりのように」

女子高生に好かれる中年おじさんの映画。 ある程度現実というものに巨大な壁があると知っている人たちからすれば、単なる妄想を具現化した作品だと思ってしまうのが「恋は雨上がりのように」という作品のある意味においての不幸なところかと思います。 ファ…

あゝひめゆりの塔、感想。映画そのものが慰霊碑

戦争映画は数多くありますが、その中でも、沖縄での悲劇を描いた作品として有名なものに「ひめゆりの塔」があります。 太平洋戦争の末期に行われた沖縄戦によって命をおとした、ひめゆり学徒隊の悲劇が描かれています。 厳しい現実というのは、誰しもみたく…

時間を止められたら、貴方は何をする?/フローズン・タイム

時間をとめて自由に好きなことができるとしたら、一体何をするでしょうか。 金銀財宝を盗み出したり、はたまた、自分の欲望を満たすために行動を起こすか、いずれにしても、ろくなことにはならなそうです。 「フローズンタイム」は、フォトグラファーでもあ…

二階堂ふみの赤裸々演技。感想&解説 映画「私の男」

「私の男」は、直木賞を受賞した桜庭一樹の作品を映画化したものです。 主に北海道を舞台に、閉鎖的な親子の関係を描いており、内容の過激さも含めて好き嫌いがはっきりする作品とは思いますが、見所を含めて感想や解説をしてみたいと思います。

君の名は。好きな人は前作も。解説&感想「言の葉の庭」

社会現象ともいえる人気となり、日本アニメ会にとって大きな影響を与えた新海誠監督「君の名は。」ですが、その前作にあたる「言の葉の庭」も、ファンであれば抑えておきたいところです。 「言の葉の庭」は46分という、かなり上映時間の短い作品となってお…

主体性がない人は損をする。岩井俊二「リップヴァンウィンクルの花嫁」

岩井俊二監督といえば、蒼井優の出世作となった「花とアリス」や「リリィ・シュシュのすべて」などで有名な監督です。 ミュージックビデオの仕事をしつつ、奥菜恵の存在感が示された「ifもしも~打ち上げ花火下から見るか横から見るか」で話題となり、一躍人…

子供は成長し、親は学ぶ/映画「ルーム」

アカデミー賞ノミネート作品であり、主演のブリー・ラーソンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した作品です。 実際にオーストリアで起こった事件である「フリッツル事件」を基につくられた作品であり、事件そのものは、非常に重たい内容となっていますが、本作…

愛情こそが世界を変える/ライアン・ジョンソン「ルーパー」  

「スターウォーズ 最後のジェダイ」において、脚本・監督を務めたライアン・ジョンソン監督による映画「ルーパー」は、一風変わったSF映画です。 未来からきた人間を殺すと、お金がもらえるという闇社会で生きる主人公が、未来の自分と出会うという物語と…

正義はいったいどこにある。/日本で一番悪い奴ら

「凶悪」でリリー・フランキーとピエール瀧の二人を、ものすごく恐ろしいおじさんとして演出した白石和彌監督。 白石監督のその次の作品にあたるのが「日本で一番悪い奴ら」です。 古きよき日本映画の生臭さをただよわせながら、暴力を時に恐ろしく、時にユ…

苦手な人も。園子温監督 冷たい熱帯魚。解説&感想

園子温監督は多作な監督です。 「冷たい熱帯魚」は、2010年に公開された映画であり、このあたりの園子温監督は、後に続く「恋の罪」などもあって、実際の事件を元に映画にする監督というイメージも若干ついていた時期でもあります。 そのため、見るタイ…

リタイア後の過ごし方/マイ・インターン

アン・ハサウェイとロバート・デニーロが主演。 俳優そのものも豪華ですが、監督・脚本は、「恋愛適齢期」などでヒットをだしたナンシー・マイヤーズが行っています。 リタイヤ後の人生を考えさせられると共に、どういう生き方こそが自分にとって大切なのか…

どちらから見るか。/クリント・イーストウッド「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」

クリント・イーストウッド監督が硫黄島プロジェクトと称して作成した2部作品。 「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」について、主に父親たちの星条旗をメインにしながら、どのような物語かを解説していきたいと思います。 突然、英雄になってしまっ…

マエダ・エスカープメント/メル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

本作品は、「アポカリプト」以来となるメル・ギブソン監督作品となっています。 メル・ギブソンといえば、オーストラリア映画を一気に広めたジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」に主演し、映画監督としても数々の作品をつくりだしてきた人物です。…

恋をしたほうが負け/キューブリック版「ロリータ」

スタンリー・キューブリック監督といえば、神という存在を示した「2001年宇宙の旅」や、夫婦円満の秘訣を描いた遺作「アイズ・ワイド・シャット」、ジャック・ニコルソン主演「シャイニング」から「フルメタル・ジャケット」など、あらゆるジャンルにお…

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