シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

ぺぺろん

マエダ・エスカープメント/メル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

本作品は、「アポカリプト」以来となるメル・ギブソン監督作品となっています。 メル・ギブソンといえば、オーストラリア映画を一気に広めたジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」に主演し、映画監督としても数々の作品をつくりだしてきた人物です。…

恋をしたほうが負け/キューブリック版「ロリータ」

スタンリー・キューブリック監督といえば、神という存在を示した「2001年宇宙の旅」や、夫婦円満の秘訣を描いた遺作「アイズ・ワイド・シャット」、ジャック・ニコルソン主演「シャイニング」から「フルメタル・ジャケット」など、あらゆるジャンルにお…

ライプスタッフ。老人だって宇宙を目指す/スペースカウボーイ

クリント・イーストウッド監督は、「ダーティー・ハリー」シリーズなどにおいて俳優として有名ですが、ハリウッドの中でも数少ないA級監督の一人でもあります。 映画を見終えた後にも余韻が残るのが特徴の一つであり、映画を見終えたあとで考え直すことがで…

アン・ハサウェイの代表作/プラダを着た悪魔 感想&解説

ファッション系のおしゃれ映画なのかと思ってしまう題名「プラダを着た悪魔」ですが、この作品は、社会を知らない若者が、ものすごい理不尽に触れながら、仕事を通して成長していく仕事映画といっていい作品となっております。 アン・ハサウェイという類まれ…

家族はお互いが異星人/映画 美しい星/感想

吉田大八監督による三島由紀夫原作「美しい星」。 主演を務めるのは、「おでんくん」や「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン」で有名であり、俳優としても実力を発揮するリリー・フランキーです。 現代に蘇った三島由紀夫の作品がどのように展開され…

サピア=フォーフの仮説で思考は変わる/映画「メッセージ」感想&解説

テッド・チャンの名作「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ(Arrival)」について、俗にファースト・コンタクトものと呼ばれる本作品の圧倒的な魅力と、原作のよさを生かしながらも映画的に優れた作品に仕上げた部分について、解説してみたいと思…

過去も含めて愛さなきゃ殺す/ヒストリー・オブ・バイオレンス

瞬間移動の装置の中にハエがいたために、ハエと同化してしまった男の悲劇を描く「ザ・フライ」や、ロシアマフィアによる人身売買の現実について知ってしまった女性が巻き込まる「イースタン・プロミス」などで有名な、デヴィット・クローネンバーグ監督。 そ…

誰かの幸福は誰かの不幸/クリント・イーストウッド「トゥルー・クライム」  

クリント・イーストウッド監督といえば、俳優では「ダーティ・ハリー」「マディソン群の橋」、監督では「許されざるもの」や「グラン・トリノ」といった素晴らしい作品に出演・撮影している大物中の大物です。 そのクリント・イーストウッド作品の中でも、す…

マイルを貯める人生/マイレージ・マイライフ

ジョージ・クルーニーが主演。ゴールデングローブ賞脚本賞を受賞。圧倒的な脚本の力とテンポのいい編集によって一気に引き込まれる作品「マイレージ・マイライフ」。 あらすじなどでは、年間322日も出張し、リストラを言い渡す「宣告人」をやっている主人…

人生はクイズだ! /ダニー・ボイル「スラムドック・ミリオネア」

「スラムドック$ミリオネア」といえば、岩を手に挟まれたことで遭難してしまった孤独な男を描いた「127時間」や、スコットランドの若者がドラックにおぼれながら前に進もうとする姿を描く「トレインスポッティング」などで有名な監督である、ダニー・ボ…

安藤サクラがボクシング/「100円の恋」解説

何もしたいことがない。何かに流されて生きている。一生懸命になったことがない。 人というのは、自分がどうしたらいいのかわからないまま年月を重ねてしまうものです。 安藤サクラが主演した「100円の恋」は、そんなどうしようもないところまで落ちてし…

ロビン・ウィリアムズの代表作/ミセス・ダウト

ロビン・ウィリアムズといえは、若くして亡くなってしまいましたが、その俳優としての存在感や、演技力についてはずば抜けたものがある個性派俳優です。 「ガープの世界」「今を生きる」「フィッシャーキング」など、名だたる名作に出演した彼ですが、とりわ…

パソコンの父は暗号解読者?/イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

チューリングテストといえば、機械が知能をもっているかどうかを判定するテストとして有名なテストです。 また、チューリングマシンといえば、現在におけるパソコンの基本的な考えをつくりあげたものであり、我々が生活する中で切り離せないコンピュータの基…

麻薬中毒から更正するために/トレインスポッティング

ダニー・ボイル監督の代表作の一つであり、ユアン・マクレガーが主演した「トレインスポッティング」は、ドラックをやっている人間からすると非常に身近なものに感じられるそうです。 そのドラックにはまった人間の心境がよくわかってしまう作品であり、人間…

ロリータの深田恭子/中島哲也「下妻物語」

深田恭子と土屋アンナが主演し、ロリータとヤンキーという日本の特殊なカルチャーを背負ったキャラクターが活躍する作品「下妻物語」は、中島哲也監督によるコミカルな編集と演出によって人気を博しました。 中島哲也監督のある意味出世作となっている作品で…

かわいい松子は3度死ぬ/中島哲也「嫌われ松子の一生」

「嫌われ松子の一生」といえば、原作がベストセラーになり、中島哲也監督が映画化した作品です。 本ブログでは、映画の「嫌われ松子の一生」について、その見所を含めながら考えていきたいと思います。 松子は嫌われ者なのか。 物語は、川尻笙(かわじり し…

復讐の鬼/パク・チャヌク監督「オールドボーイ」

日本の漫画を原作として、それを韓国を舞台に再構成した映画「オールドボーイ」について、語ってみたいと思います。 復讐の物語 主人公は15年間監禁された後、いきなり解放されます。 わけもわからない主人公オ・デスは、殺人事件の犯人にさせられたあげく…

秀でた美しさでございます/パク・チャヌク「お嬢さん」

「オールドボーイ」などで有名なパク・チャヌク監督が誇るエロティック・サスペンス。 話題となっている「アガシ」こと「お嬢さん(hand maiden)」について、どのような映画なのか、ミステリー仕立てということもあって、面白さの一旦を伝えづらいところでは…

ジーン・ハックマンは容赦しない/フレンチ・コネクション

アカデミー賞を5部門も受賞し、アメリカンニューシネマを代表する作品の一つでもある「フレンチ・コネクション」。 1971年に公開された映画ということもあって、一体何がそんなに面白いのか。どうしても古い映画は、後発の映画に影響を与えてしまって、…

放課後を待ちながら/内田けんじ「アフタースクール」

内田けんじ監督といえば「鍵泥棒のメソッド」で日本アカデミー賞で最優秀脚本賞も受賞し、そのストーリーづくりに定評のある監督です。 パズルのようにくみ上げられたシナリオ術は、物語を書く人間は一度はみておいて損はないものとなっています。 見ている…

アカデミー賞を総なめか。感想&解説/ラ・ラ・ランド

ミュージカル映画でありながら、圧倒的な人気を誇る「ラ・ラ・ランド」 いきなり踊ったり歌ったりする映画というのは、なじみがある人と無い人とでは大きく印象が異なるものと思います。 英国アカデミー賞も受賞し、その後も次々と受賞していくであろう「ラ…

貴方は踏み絵を踏みますか?/沈黙ーサイレンスーマーティン・スコセッシ

マーティン・スコセッシ監督が、28年の歳月を経て完成させた大作。 遠藤周作がつくりあげた宗教と人間について語られた「沈黙」を、圧倒的なスケールで映画化した傑作です。 本作品は、江戸時代初期のおけるキリスト教の弾圧を受けながらも、信仰を続ける…

人間どこで頑張るのか/内田けんじ「鍵泥棒のメソッド」

邦画のオススメを紹介するブログなどの中でも、高確率で選ばれる作品の一つとしてあげられるのが、内田けんじ監督「鍵泥棒のメソッド」です。 鍵、泥棒、メソッド。 という、まとまりそうでなんだかよくわからなそうなタイトルに惹かれる人もいれば、なんと…

純愛・爆走。ライアン・ゴズリング主演「ドライブ」

「最もセクシーな男性」2位にも輝いた男でもあるライアン・ゴズリングですが、そのライアン・ゴズリングが主演を務め、寡黙なドライバーを演じた「ドライブ」について、非常に映画的である作品の見所について考えてみたいと思います。 ドライブというタイト…

連続ドラマも。園子温監督「愛のむきだし」感想&解説

園子温監督の数ある映画の中でも、傑作中の傑作の一つとされる映画が「愛のむきだし」です。 4時間近くに及ぶ長い作品に、さらに1時間を追加し、30分ごとのドラマにするという試みがJ:COMで独占放送されることもあり、改めて、「愛のむきだし」の、…

疑心暗鬼になった男の末路/黒澤明監督「蜘蛛巣城」

黒澤明映画の中でも評価の高い作品の一つに、「蜘蛛巣城」があります。 シェイクスピア「マクベス」をもとにして作られた作品であり、黒澤明による映像や、日本の戦国時代に置き換えた内容は、今見ても色あせることはありません。 「蜘蛛巣城」について、ど…

受験生は必見の映画。有村架純主演/映画「ビリギャル」

成績というのは、なかなかよくならないものです。あがるのも一朝一夕であれば、下がるのもまた一朝一夕です。 受験生にとっては、どうやって受験へのモチベーションを保つかというのが重要なところですし、受験生がいる親からしても、その姿勢というのは非常…

息も、できない。/映画「ドント・ブリーズ」

低予算ながら、その設定によって圧倒的な人気を誇ったホラー・サスペンス映画「ドント・ブリーズ」について、サム・ライミ製作という意味、老人の意味を、ネタバレも含みながら、語ってみたいと思います。 デトロイトが舞台 「ドント・ブリーズ」の舞台は、…

サントリー胡麻麦茶でもCM。三船敏郎と加山雄三出演/赤ひげ

黒澤明監督が誇る有名な作品の一つに「赤ひげ」があります。 黒澤明監督の白黒映画最後の作品であり、医療を通じて、その当時の人間模様を描き、同時に、現代の我々にとっても色あせることのない金言が含まれた作品です。 サントリーの胡麻麦茶でも、三船敏…

2016年映画10本 シネマトブログ振り返り

2016年も当シネマトブログでは、新旧問わずに色々な映画を紹介してまいりましたが、本ブログで今年公開され、本ブログでも掲載した映画を改めて紹介していきたいと思います。

ジャコ・ヴァン・ドルマルの世界 その4/神様メール

寡作な映画監督であり、公開されるたびに良作を放ち続けてきたジャコ・ヴァン・ドルマル監督の4作品目の映画が「神様メール」です。 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は、独自の世界観が特徴となっており、その世界観の中で作品がつくりだされてきましたが、今…

死霊のはらわたは必見。実はコメディ「キャビン イン ザ ウッズ」  

ホラー映画が好きな人は、大体わかってしまうことがあります。 男にこびていくような女性は、すぐに死ぬ。 危機感ばかりを唱えるやつや、頭のおかしいやつは、あっという間に死ぬ。 最後には、心や身体が清らかな人が生き残る、というのが定番です。 ホラー…

この世界の片隅に、を見たあとに/マイマイ新子と千年の魔法

圧倒的なクオリティと、積み上げてきた時代考証によって、日本アニメ映画の歴史に壮絶な存在感を示した「この世界の片隅に」。 その監督である片淵須直氏の前作品である「マイマイ新子と千年の魔法」について、「この世界の片隅に」と関連性を考えながら、な…

この世界の片隅に。ネタバレ必須の感想&解説。原作と映画の違いも含めて。  

片淵須直「この世界の片隅に」は、こうの史代氏の漫画が原作の映画です。 各所で話題になっている本作品ですが、その圧倒的なまでに作りこまれた世界。アニメ映画ならではの表現。伝わってくる感情の分厚さ。いずれをとっても、とんでもない作品です。 「ア…

物語の意味は。/クラウドアトラス ウォシャウスキー姉弟

映画「マトリックス」シリーズで大ヒットを記録し、一躍有名監督になったウォシャウスキー兄弟ですが、そのウォシャウスキー兄弟が映像化不可能といわれていた作品を映画化した「クラウドアトラス」について、考えてみたいと思います。 「マトリックス」をつ…

誘拐映画。娘のためなら父は/リーアム・ニーソン主演「96時間」  

シリーズ3作目まで作られ、リュック・ベッソンが脚本し、リーアム・ニーソンが主演を務め、娘のために悪いやつらをガンガン処分していく男の物語、「96時間」について考えてみたいと思います。 本記事では、シリーズ2、3作品目では薄らいでしまった、1作目…

「終わらない人 宮崎駿 NHKスペシャル」を見て/感想  

宮崎駿監督が「風たちぬ」を公開し、その後引退宣言をしてから3年が過ぎました。 「もののけ姫」の時から、監督引退宣言を何度もした監督ではありましたが、そうはいっても今度こそ本当に引退してしまったのではないか、という思いを持っていたのが実際のと…

生きている実感がない/アメリカン・サイコ

クリスチャン・ベールが主演し、アメリカ人だけではなく、全ての人間がもちうる問題を浮き彫りにした作品、「アメリカン・サイコ」について、解説してみたいと思います。 名刺バトル さて、この映画は冒頭から問題を見せ付けてきます。 高級そうなレストラン…

正しいアメ車の譲り方/クリント・イーストウッド「グラン・トリノ」

クリント・イーストウッド監督といえば、俳優としても監督しても抜群の存在感と才能を発揮する人物です。 そのクリント・イーストウッドの最高傑作と呼び声の高い「グラン・トリノ」について、その魅力を語ってみたいと思います。 頑固ジジィ 物語は奥さんの…

娘が誘拐されたとき、どうするべきか/プリズナーズ

人は何かによって囚われているものです。 道徳や倫理、国家や宗教。世間など、あらゆる物事は自分たちを囚われの身にしてしまうのです。 ジェイク・ギレンホールとヒュー・ジャックマンが主演する作品にして、同年に「複製された男」も公開したドゥニ・ヴィ…

ブラック企業勤めの心理状況がわかる。映画「セッション」

人は誰でも心が弱ってしまうときがあるものです。自分自身の決断に迷い、後悔するときもあります。 しかし、そんな時でも、人間は進まなければいけませんが、周りが見えなくなってしまい最悪のことを行ってしまう場合もあるのが現実です。 さて、人間という…

私の敵は、私です。/ジェイク・ギレンホール主演「複製された男」

「脳力が試される究極の心理ミステリー」と称された本作品は、一見すると難解にみえる作品ですが、ある程度のキーワードを抑えておくことで、非常に身近で、バカな男の性がわかる作品としてみることができる作品となっています。 ネタバレはあっさりめにして…

スタンフォード監獄実験は、何を語るのか/ES(エス) エクスペリメント

普通の人たちが、理由もなく囚人と監視人にわかれたとき、人はどのような行動をとるようになるのか。 人間の狂気と心理に迫る映画こそが、2001年につくられた「エス」であり、2010年に公開された「エクスペリメント」なのです。 エクスペリメントの…

問題行動を起こすのは何が悪い? ネタバレあり/エスター   

「この娘、どこかが変だ」のキャッチフレーズでお馴染み、「エスター」は、衝撃的なラストと呼ばれる後半もあって、話題作の一つでありました。 この映画は、事前情報なしでキャッチフレーズや画像だけみると、霊能力とかをもった少女の話になるかと思ってし…

潰れた魂に義足は付かない。アル・パチーノ主演/セントオブウーマン 夢の香り  

「セントオブウーマン 夢の香り」は、名優アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を獲得した作品です。 劇中で、瞬きをほぼしないという演技もさることながら、メソッド演技法を駆使した徹底した役作りによる迫力は、見るものを圧倒します。 名作と呼ぶに相応…

シン・ゴジラのあとには岡本喜八を。ブルークリスマス

庵野秀明監督が多大なる影響を受けたという岡本喜八。 当ブログでも、「日本のいちばん長い日」を取り上げましたが、特にエヴァンゲリオンの使徒の血が青いという点でも、リスペクトを捧げている「ブルー・クリスマス blood type:blue」も解説してみたいと思…

「君の名は。」感想&解説/新海誠

新海誠といえば、「ほしのこえ」で鮮烈なデビューを飾り、美しい映像・アニメーションを駆使して少年と少女のセカイを描く監督です。 爆発的なヒットをしている「君の名は。」をより理解することができるように、新海誠の特徴や、作品の解説・感想を語ってみ…

スティーブン・スピルバーグに捧げる/J・J・エイブラムス「スーパーエイト」  

スティーブン・スピルバーグといえば、「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「E.T」「プライベート・ライアン」「インディ・ジョーンズ」など、いずれも大ヒット作品を手がけた、ハリウッドにおける超ヒットメーカーです。 そして、そのスピルバーグ監督…

中二病は止まらない。リブート「ゴーストバスターズ」2016年版  

ゴーストバスターズといえば、海外ではいまだにゴーストバスターズの衣装で活動している人もいるという根強い人気がある作品です。 1984年に公開され、新作が公開されないままにきてしまった本作品が、満を持して公開されたことから、第一作目と比較をし…

リメイク版を見る前に。ゴーストはいます!/1984年 ゴーストバスターズ

2016年に主人公を女性に一新してリメイクされる、ゴーストバスターズ。 そのオリジナルを見ないことにはゴーストバスターズははじまりません。 ゴーストバスターズがなぜヒットしたのか。そんな背景も視野にいれながら、1984年に公開されたゴースト…

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