シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

強さとは何か。ポール・バーホーベン監督「エルELLE」

エル ELLE(字幕版)

 

ポール・バーホーベン監督といえば、「氷の微笑」によってとんでもない悪女を見せ、もちろん、「ロボコップ」をつくったことでも知られる巨匠のひとりです。

 

ロボコップ (字幕版)

ロボコップ (字幕版)

 

 

そんなバーホーベン監督が撮ったのが「エル ELLE」です。

暴行を受けた女性の日常を描く、と書いてしまうと非常に重々しい話に聞こえるかもしれませんが、本作品は、強烈なブラックジョークを放つ映画となっています。

また、悲劇的なことは起こったとしても、被害者だけではいつづけないという強い意志。


あまりに過酷な世界であっても、自分自身がセカイを握っている感覚が大事だ、ということを教えてくれる強烈な作品になっています。

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コメディは世相を示す。「グリーンブック」感想&解説

グリーンブック~オリジナル・サウンドトラック

 

アカデミー賞3部門受賞した映画「グリーンブック」。

ロードオブザリングでお馴染みアラゴルン役を演じたヴィゴ・モーテンセンと、「ムーンライト」でも助演男優賞をとったマーシャラ・アリが出演するデコボココンビの差別やそれに対する姿勢をみせたロードムービーとなっています。

映画に込められた思いも含めて、感想&解説をかいていってみたいと思います。

映画をまだみていない人でも問題ないようには書きますが、物語のネタバレが苦手な人は気を付けてみていただきたいと思います。

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亡くなった家族の受け入れ方。映画「ラブリーボーン」

ラブリー・ボーン (字幕版)

ラブリーボーンは、ハリーポッターシリーズの監督でおなじみピーター・ジャクソン監督による作品です。

14歳で殺された女の子が、現世と天国との間から家族や友人を見守るというファンタジーさと犯罪が入り混じった稀有な作品となっています。

残酷な話に見えますが、愛らしくも感動的な本作品について語ってみたいと思います。

隠れオタクは毎日が戦い。次回作も期待。ドラマ「特撮ガガガ」

NHKドラマ10「トクサツガガガ」オリジナル・サウンドトラック

 

特撮ガガガは、園子温監督の東京ガガガとはまったく関係ないそうです。

特撮ガガガは、中堅の会社に勤めるOL中村叶(なかむら かの)が、自分自身の特撮オタクを隠しながら、日常をかいくぐっていく物語となっています。

特撮ガガガを見て、「別に特撮は好きじゃないし」と、自分とは関係ないものと思う方もいるかもしれませんが、現代社会においては、だれしもが思う本質的なことが描かれた稀有な作品となっていますので、そのあたりを含めて解説してみたいと思います。

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じじぃ活躍映画。老人VSゾンビはいい勝負。映画「ロンドンゾンビ紀行」

ロンドンゾンビ紀行 [Blu-ray]

 ゾンビ映画は数多くありますが、その大半は、謎のゾンビウイルスが蔓延することで人々が戦いゾンビになりながらも、希望を胸に生きていく。
ジョージ・A・ロメロ監督の偉大さをひも解くまでもなく、ゾンビというのは物語におけるモチーフとして非常に面白いものとなっています。

さて、「ロンドンゾンビ紀行」では、イギリスを舞台にしたゾンビ映画となっています。
イーストエンドオブロンドンという、ロンドンの中でも貧困層が住む場所を舞台にし、そこで老人たちが活躍するという珍しい舞台の作品となっています。
はたして、ゾンビと老人、どちらが勝つのでしょうか。

深い悲しみを癒すためには。感想&解説。デイミアン・チャゼル監督「ファースト・マン」

ファースト・マン 上: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 (河出文庫)

 
人類初の月到着を達成した人物こそが、ニール・アームストロングです。
彼はNASAの中でももっとも冷静と言われた人物であり、その内面がわからない人物でもあることから、彼を題材にした作品は困難とされておりました。
それでなくとも、はじめて月に降り立った男です。
宇宙を舞台にした映画が数ある中で、ニール・アームストロング船長という格好の題材が、長い年月をかけてようやく映画化。

しかも、夢を追うものたちが集まる場所ニューヨークで挫折と夢を描く「ラ・ラ・ランド」や、あまりに過酷なジャズという音楽で戦うものを描く「セッション」といった、強烈な作品をつくりだすデイミアン・チャゼル監督が映画をつくるということで、その見どころ含めて解説してみたいと思います。
そのすべては原作を基にした実話となっておりますので、ネタバレをそれほど気にせず語ってみたいと思います。
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笑えるのに、笑えない。映画「帰ってきたヒトラー」感想&解説

帰ってきたヒトラー(字幕版)

アドルフ・ヒトラーという人物は、物語の中でいまだに悪役として強い存在感をもって使われる人物です。
政治手腕や、演説の巧みさ。
後世への影響力含めてタブー視される人物でもありますが、このドイツ映画でヒトラーを現代に復活させ、しかも、それをドキュメンタリー風にとっていくという離れ業をつかった手法を含めて、本作品は、非常に面白い映画となっています。

ブラックユーモアというだけにとどまらない内容となっていますので、解説してみたいと思います。
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