シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

アカデミー賞脚本賞。感想&解説 映画「ゲット・アウト」

ゲット・アウト(字幕版)

 

差別というのはよくないことです。
ただ、歴史と言うのは残酷なもので、差別が行われてきた事実はありましたし、それを利用する人たちも多く存在していました。

その歴史の中で、移民国家であるもののアメリカは白人が支配する国であったという歴史的事実はあり、黒人差別というのは法律として存在していたことは歴史の教科書をひもとくまでもないと思います。


とはいえ、差別というのはやっていはいけない、という風潮が強まっていく流れの中で、アメリカでは初のアフリカ系の大統領が誕生し、そして、トランプ大統領になって再び歴史が戻ったりしながら進んでいます。


差別はよくないけれど、差別というのは存在していることを示した映画「ゲットアウト」について、考えてみたいと思います。

差別なんて存在していない、という人のほうが、実は差別している人よりも恐ろしいかもしれません。

続きを読む

戦中の同姓愛に踏み込んだ意欲作 山田洋二監督「ちいさいおうち」

小さいおうち

「ちいさなおうち」は、中島京子による直木賞受賞作品を、山田洋次監督によって映画化した豪華な作品となっています。

戦争中に、旦那の部下と恋に落ちてしまうという昼ドラのような展開を、女中であるタキという女性の自叙伝によって、半世紀近くたってから語られることになる、というミステリアスな設定でつくられています。

タキが戦前の日本でみたものとはいったいなんなのか。彼女が、死ぬ間際までもっていたものとはいったい何を意味するのか。

そんなあたりを解説しつつ、考えてみたいと思います。

 

続きを読む

サブカル系男子必見 映画「モテキ」

モテキ

 

漫画原作である本作品は、ドラマ化を経て、さらに映画化もされました。

映画「モテキ」では、原作のキャラクターのいいところを凝縮し、物語的にも、小道具や歌をうまくつかった、素晴らしいできとなっています。

今回は、映画「モテキ」における楽しみかたを解説しつつ、ある時代をうまく切り取っているその面白さを見ていきたいと思います。

続きを読む

ネタバレ解説。コメディ傑作。面白さの理由は。カメラを止めるな!

【Amazon.co.jp限定】カメラを止めるな!  [Blu-ray] (バンドル特典:カメラを止めるな!  Tシャツ (オレンジ・ フリーサイズ)付)(「ONE CUT OF THE DEAD 現地リハーサル通しver.」DVD付)

 


カメラを止めるな!」は、製作費300万程度というものすごい低予算でつくられている映画でありながら、数々の映画館で放映が行われているヒット映画です。

ゾンビ映画を撮影中に、本物のゾンビがまじっていたら、という劇中劇で行われるドタバタ作品を、37分のワンカットでとるという技術的にはすごくです。

ですが、はたしてそこまで面白いのか、という半信半疑な中で気にしている人も多いのではないでしょうか。


この作品は、ネタバレをしても面白いですが、事前情報なしでみたほうがはるかに驚きがありますので、まだ作品を見ていない方は、ネタバレ前の記事をみた後で、再び本記事に戻ってきていただければと思います。

 

cinematoblog.hatenablog.com

 


では、この記事は、ネタバレをふんだんにいれながら解説をし、その面白さの要因や、おすすめの映画を含めて語っていきたいと思いますので、スタッフ全員が一丸となって映画をつくるように、映画をみたわれわれもまた、楽しみを共有することで、もう一つの映画を語ってみたいと思います。

続きを読む

ネタバレなし解説 面白い?つまらない? カメラを止めるな!

カメラを止めるな! 【B2変形サイズオリジナルポスター付】

 

各所で話題沸騰の「カメラを止めるな!」ですが、あまりの面白さと、その脚本の巧妙さから、ネタバレをするのが惜しくなる作品となってしまっています。

どんな映画かわからないけど、自分と合うかどうかもわからない、といった方の為に、一般的にこういうものではないか、というイメージをもとに作品を紹介してみたいと思います。

ネタバレ解説については、別の記事で紹介します。

続きを読む

妄想の成れの果て マーティン・スコセッシ映画「キング・オブ・コメディ」

The King of Comedy (字幕版)

  

マーティン・スコセッシ監督とロバート・デニーロといえば「タクシードライバー」が有名すぎるところです。

映画史に残る作品であり、数多くの人たちに影響を与えた映画ですが、1976年につくられた「タクシードライバー」よりも、ある意味はるかに危険な作品「キング・オブ・コメディ」についてかたってみたいと思います。

 

続きを読む
スポンサードリンク