地元に居づらい人はよくわかる。解説。マンチェスター・バイ・ザ・シー
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は、アカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞、そして、主演のケーシー・アフレックがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品であり、それ以外にも数々の賞にノミネート・受賞した良作となっています。
そんな、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」ですが、過去に辛い思いをした男が再び地元に戻り、兄の子供と共に過ごすことで少しずつかわっていく姿を描いたと紹介される作品であり、人間の苦悩が描かれた作品でもあります。
たしかにいい映画ですが、なぜそこまで評価が高いのか。
より映画のよさを理解しやすくするために、補助線をひきながら、本作品の魅力について語ってみたいと思います。
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騙されるより、騙されたい。マッチスティック・メン
騙されるということは不幸なことなのでしょうか。
多くの場合、騙されることはいいことではなく、残念な出来事であることは間違いありませんが、時には騙されたほうがいいことだってあったりします。
リドリー・スコット監督が描く、詐欺師を主人公にした映画「マッチスティックメン」について、その魅力を語ってみたいと思います。
強迫神経症の男
主人公を演じるのはいわずと知れたニコラス・ケイジです。
特徴的な顔立ちと、演技力の高さは「マッチスティック・メン」の中でも如何なく発揮されています。
主人公であるロイは、自らを詐欺のアーティストと呼ぶほど、詐欺師としての自分にプライドを持って生きています。
完璧な仕事ぶりで、人をだまして大金をせしめることで、彼は、ものすごい豪邸に一人で住むことができています。
続きを読む会社か、法令順守か。リドリー・スコット監督「エイリアン」
言わずとしれた、SFホラーの古典であり、「エイリアン」という名前を聞けば、誰しもが、だいたいどういう映画かわかってしまう有名作品でもあります。
ただし、エイリアンシリーズも後半になるに従ってその影響力を徐々に失っていき、ついには「エイリアンVSプレデター」といった、お世辞にも「エイリアン」としての、ビックネームの威厳が失われつつあったのは、事実といえるでしょう。
当時、なぜか、「フレディVSジェイソン」あたりにはじまって、他作品との対決ものがでてきたりする不思議な時代だったりしました。
それでも、「エイリアンVSプレデター」は3まで公開され、かなり色物として扱われてしまっていましたが、リドリー・スコット監督が再びメガホンをとり、エイリアンシリーズということを伏せて作られたのが「プロメテウス」でした。
いずれにしても、「エイリアン」のはじまりである一作目がどのような作品だったのか。どんな魅力があったのかを、振り返ってみたいと思います。
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女性の戦い方。アトミック・ブロンド
映画にでてくる女性のアクションスターというのは、だいたいが細腕です。
「トゥームレイダー」や「ミスター&ミセススミス」などで、アクションもバリバリこなしていたアンジョリーナ・ジョリーや、バイオハザードシリーズでお馴染み、ミラ・ジョヴォヴィッチなどもおりますが、見た目でいえば、華奢な女性です。
さて、「アトミック・ブロンド」では、女性がいかにして屈強な男達を倒していくか、というのを、非常にストイックに考えられた作品となっています。
賛否両論あるところではありますが、感想を述べてみたいと思います。
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人生の選択ミス。17歳に戻れるならどうする/セブンティーンアゲイン
人生の中で、誰しも一度は「あのとき、こっちを選択していれば今頃は」と悔しく思ったことがあるのではないでしょうか。
一度選択してしまった事柄を帰ることはできませんが、もしも、やり直すことができれば違った人生を歩んでいただろうなと考えてしまうのもまた人間の性です。
そんな、誰の心にも潜んでいる願望に対して、コメディタッチでみせてくれる映画が「セブンティーンアゲイン」です。
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隣人トラブル! ネイバーズ2
大人になろうとする大人と、子供であり続けたい男との隣人トラブルを描いた「ネイバーズ」ですが、その続編が「ネイバーズ2」です。
ご近所トラブルという、家をもっている人間であれば、いつ発生してもおかしくないデリケートな問題を含んだ内容をコメディとしてつくりあげた「ネイバーズ」でしたが、2ではクロエ・グレース・モレッツが引越しして新たな隣人トラブルが発生してしまいます。
そんな「ネイバーズ2」について、簡単に解説してみたいと思います。
続きを読む毒親。デンゼル・ワシントン主演・監督「フェンス」
デンゼル・ワシントンといえば、ハリウッドの歴史上の中でも、黒人俳優に大きく貢献し続けている人物でもあります。
「フェンス」という映画でもでてくるところですが、黒人差別というのは、確実に存在しており、その中で、黒人は様々な制約があったことは、残念ながら事実でした。
そんな時代背景にありながら、デンゼル・ワシントンが、黒人俳優として様々な映画に出演し成功をおさめていき、コメディ映画や、悪役ばかりに出演することが多かった黒人俳優の扱いが変わっていく、きっかけをもつくっていきました。
そして、デンゼル・ワシントンがメガホンをとり、且つ主演として作った「フェンス」は、非常に意義深い作品といえます。
一見すると、「フェンス」は、黒人差別によってひねくれてしまったデンゼル・ワシントン演じるトロイという男が、家族に対して、暴君として振舞う話しに見えるところですが、その中に見えるテーマを含めて、解説してみたいと思います。