シネマトブログ

映画の評論・感想を紹介するサークル「ブヴァールとペキュシェ」によるブログです。不定期ですが必ず20:00に更新します

オタクが妄想する理想の恋愛/「トゥルー・ロマンス」  

 

トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版(字幕版)

 

トム・クルーズが主演し、ミュージックビデオを思わせる音楽の使い方とレイバンのサングラスやMA-1などで注目を浴びた「トップガン」、その監督を務めたトニー・スコット監督による、オタクのための理想の恋愛を描いた作品が「トゥルー・ロマンス」です。


キル・ビル」や「パルプ・フィクション」などでおなじみ、クェンティン・タランティーノ監督が脚本をつくったという、映画好きはだいたい見てしまうだろう作品となっておりますが、その魅力の一旦について語ってみたいと思います。

オタクの妄想

本作品を簡単に説明してしまえば、好きになった女性の過去を清算するために映画のように戦いにいったら、間違えて大量の麻薬を手に入れてしまい、それを現金化して彼女と楽しく暮らそうとする話しです。

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マエダ・エスカープメント/メル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

 Hacksaw Ridge [Blu-ray]

 

本作品は、「アポカリプト」以来となるメル・ギブソン監督作品となっています。

メル・ギブソンといえば、オーストラリア映画を一気に広めたジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」に主演し、映画監督としても数々の作品をつくりだしてきた人物です。


キリストがシオンの丘に行き磔になる一連の出来事を描いた「パッション」や、マヤ文明時代の人狩りをモチーフにした「アポカリプト」をつくり、痛々しい作品を作り出してきた監督が、第二次世界大戦の中でも、激戦地の一つとして知られている「前田断崖」での戦いを生々しく描いた作品となっています。

 

この作品は、反戦映画としてみることもできますが、それだけにとどまらない魅力がありますので、そのあたりも含めて語ってみたいと思います。

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『アウトレイジ 最終章』予告編公開記念!!

10月7日から公開が予定されている北野武監督の『アウトレイジ 最終章』。その予告編が公開されました。

一分半の映像の中に、銃撃・怒号・そしてアウトレイジを象徴する「車」の映像が詰め込まれています。

 

そもそもなぜ北野監督は執拗にヤクザ映画を繰り返し撮るのでしょうか。

この予告編の冒頭のマシンガン乱射シーンは『3-4x10月』を彷彿とさせますし、釣りのシーンは何となく『ソナチネ』の空気感を思い出しますね。相手を首まで埋めて拷問するのは深作欣二『北陸代理戦争』のエッセンスを感じます。

このように予告編を見るだけでも、これまでの北野映画やヤクザ映画の細部を(無自覚に)引っ張ってくる「自己言及」というのは、それこそ北野映画の醍醐味です。その作家性が肥大化した結果が怪作「TAKESHIS'」です。

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恋をしたほうが負け/キューブリック版「ロリータ」

ロリータ (字幕版)

 

スタンリー・キューブリック監督といえば、神という存在を示した「2001年宇宙の旅」や、夫婦円満の秘訣を描いた遺作「アイズ・ワイド・シャット」、ジャック・ニコルソン主演「シャイニング」から「フルメタル・ジャケット」など、あらゆるジャンルにおいて金字塔をうちたてている、偉大すぎる監督です。

そんなキューブリック監督が、1962年につくったのが「ロリータ」です。


記事を読んでいただくまえに断っておきますが、「ロリータ」は少女偏愛のあまり破滅に進んでしまう悲しい中年男性を描いた作品ではありません。

性的な描写はほぼ皆無です。

原作となるロシア人作家V・ナボコフによる小説とはテーマが異なりますので、「ロリータ」を通じて、キューブリック監督が何を描きたかったのかを含めて解説してみようと思います。

 

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ライプスタッフ。老人だって宇宙を目指す/スペースカウボーイ

スペース カウボーイ(字幕版)

 

 クリント・イーストウッド監督は、「ダーティー・ハリー」シリーズなどにおいて俳優として有名ですが、ハリウッドの中でも数少ないA級監督の一人でもあります。

映画を見終えた後にも余韻が残るのが特徴の一つであり、映画を見終えたあとで考え直すことができる作品ばかりを作っています。

ですが、そんなクリント・イーストウッド監督の中で「スペース・カウボーイ」はすこしばかり様相が異なります。エンターテインメント寄りともいえる本作品について、考えてみたいと思います。

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アン・ハサウェイの代表作/プラダを着た悪魔 感想&解説

プラダを着た悪魔 (特別編) (ベストヒット・セレクション) [DVD]

 

ファッション系のおしゃれ映画なのかと思ってしまう題名「プラダを着た悪魔」ですが、この作品は、社会を知らない若者が、ものすごい理不尽に触れながら、仕事を通して成長していく仕事映画といっていい作品となっております。

アン・ハサウェイという類まれな女優と、超大女優であるメリル・ストリープとのやり取りも含めて、脚本も素晴らしいできとなっておりますので、感想と解説を含めながら

みてみたいと思います。

 

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家族はお互いが異星人/映画 美しい星/感想

美しい星 (新潮文庫)

 

吉田大八監督による三島由紀夫原作「美しい星」。

主演を務めるのは、「おでんくん」や「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン」で有名であり、俳優としても実力を発揮するリリー・フランキーです。

現代に蘇った三島由紀夫の作品がどのように展開されていくのか。

どういったところを楽しむべきなのかを含めて、考えてみたいと思います。

 

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