ジャコ・ヴァン・ドルマルの世界 その4/神様メール
寡作な映画監督であり、公開されるたびに良作を放ち続けてきたジャコ・ヴァン・ドルマル監督の4作品目の映画が「神様メール」です。
ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は、独自の世界観が特徴となっており、その世界観の中で作品がつくりだされてきましたが、今回紹介する「神様メール」では、その世界観をつくっている側が登場してきます。
世界観と共に、その魅力について、ネタバレありで語ってみたいと思います。
神はブリュッセルにいる。
この作品を鑑賞する際のポイントとしては、映画の中は我々が住んでいる世界と非常に似た世界ではありますが、我々の住む世界とはまったく異なる世界である、ということを意識しておくことではないでしょうか。
「神ははじめにブリュッセルをつくった」
死霊のはらわたは必見。実はコメディ「キャビン イン ザ ウッズ」
ホラー映画が好きな人は、大体わかってしまうことがあります。
男にこびていくような女性は、すぐに死ぬ。
危機感ばかりを唱えるやつや、頭のおかしいやつは、あっという間に死ぬ。
最後には、心や身体が清らかな人が生き残る、というのが定番です。
ホラー映画は、お約束なしには語れない作品となっているのです。
古今東西あらゆるホラー映画は、なぜそのお約束が存在するのか。
それを、ちょっと、メタ的に捉えた作品こそが、「キャビン」なのです。「キャビン」の魅力について考えてみたいと思います。
まずは、死霊のはらわた
この映画をみる人は、楽しむための事前準備が必要になります。
事前準備をしなくても、この映画はある程度楽しむことができますが、この映画は、「ホラー映画ファンのためのご褒美」のような作品ですので、ホラー映画に対する愛着が薄い場合は、「キャビン」を見るのはもったいないと思いますのでご注意ください。
この世界の片隅に、を見たあとに/マイマイ新子と千年の魔法
圧倒的なクオリティと、積み上げてきた時代考証によって、日本アニメ映画の歴史に壮絶な存在感を示した「この世界の片隅に」。
その監督である片淵須直氏の前作品である「マイマイ新子と千年の魔法」について、「この世界の片隅に」と関連性を考えながら、なぜ、ここまで片淵監督の作品が愛されることになるのか、その理由について考えてみました。
当ブログでは、「この世界の片隅に」の感想&解説も記載しておりますので、是非ご覧いただきたいと思います。
想像力豊かな女の子
「マイマイ新子と千年の魔法」の主人公である新子(しんこ)は、山口県に住む女の子です。
麦畑が広がる村で、大好きなおじいちゃんに千年前の風景や人々について教えてもらうことで、彼女は、想像力を働かせながら日々を生活しています。
続きを読むこの世界の片隅に。ネタバレ必須の感想&解説。原作と映画の違いも含めて。
片淵須直「この世界の片隅に」は、こうの史代氏の漫画が原作の映画です。
各所で話題になっている本作品ですが、その圧倒的なまでに作りこまれた世界。アニメ映画ならではの表現。伝わってくる感情の分厚さ。いずれをとっても、とんでもない作品です。
「アニメ映画で、しかも、戦争ものだし」と思う人もいるかもしれませんが、見る前の人は、ネタバレなしの前半を、見た後の人は、ネタバレをしている後半部分もふくめて「この世界の片隅に」の魅力について、その圧倒的な情報量を紐解きながら語ってみたいと思います。
原作漫画も非常に面白いのですが、映画になるにあたって、カットされる部分もありますし、追加される部分もあります。
そのあたりから、映画でのねらいも含めた中で考えてみます。
続きを読む物語の意味は。/クラウドアトラス ウォシャウスキー姉弟
映画「マトリックス」シリーズで大ヒットを記録し、一躍有名監督になったウォシャウスキー兄弟ですが、そのウォシャウスキー兄弟が映像化不可能といわれていた作品を映画化した「クラウドアトラス」について、考えてみたいと思います。
「マトリックス」をつくったときはウォシャウスキー兄弟でしたが、クラウドアトラスのときは、兄が性転換して姉になり、そして、2016年現在では、弟まで性転換して妹になり、ウォシャウスキー姉妹になった、という変わった経歴の監督です。
映画との関連性は考える必要ありませんが、「クラウドアトラス」は3時間を越す時間であり、6つの物語が同時進行していく映画ともなっています。
監督の手腕により、6つの物語は混乱せずみることができますが、そもそもこの物語は何なのでしょうか。
6つの物語。
それぞれ物語のあらすじについては、wikipedia等を参考にしていただきたいと思いますが、この映画をみていて思うのは「一体誰が主人公なの?」といったところではないでしょうか。